自動車各社がSDVによるビジネス変革を急ぐ理由 業界が直面するレガシー問題とその解決策とはSDV、AIとクルマの近未来(1)

自動車業界では、「SDV」という言葉が飛び交っている。「クルマのスマホ化」などとも言われるが、これは誤解を招きやすい表現でもある。自動車メーカーは、何を目的に、どんなことをやろうとしているのか。日産自動車の山内進一郎氏による講演の内容をお届けする。

» 2025年02月04日 05時00分 公開
[三木泉@IT]

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 自動車業界では「SDV(Software Defined Vehicle)」が合言葉になっており、あらゆる自動車メーカーが自社の取り組みをアピールしている。

 なぜ各社はSDVに取り組まざるを得ないのか。SDV化が自動車メーカーにもたらす具体的なメリットとは何なのか。

 本記事では、日産自動車の山内進一郎氏が、2024年11月末に開催された「EdgeTech+」で行った講演から、抜粋・要約してお届けする。

 山内氏は車載・民生・医療業界でIoTプラットフォームの開発・導入を推進。現在は日産自動車のプログラムダイレクターオフィスでコネクテッドカーを起点とした先進機能とサービスプラットフォームの戦略的な投資提案に従事している。また、山内氏は日産自動車で先進機能&サービスプラットフォーム本部 プログラムマネージメント部 部長、M'S・モビリティサービスシステム部 担当部長、Japan-ASEAN企画本部 プログラムマネージメント部 担当部長を兼務し、同社のプラットフォームビジネス推進に深く関わっている。

自動車メーカーにおけるビジネスモデルの変化

 山内氏は、まず自動車業界におけるビジネスモデルの変化を説明した。

山内進一郎氏 1999年よりパナソニックでデジタル家電向け統合プラットフォームを開発。2007年より、トヨタ自動車でマルチメディアプラットフォーム/内製OSの開発に従事。2014年にシスメックスへ入社して海外製造拠点を立ち上げ。2016年より本田技術研究所で「コネクテッドプラットフォーム/24PPX連携構想」に携わる。2019年には日産自動車に入社。現在は先進機能&サービスプラットフォーム本部 プログラムマネージメント部 部長、M'S・モビリティサービスシステム部 担当部長、Japan-ASEAN企画本部 プログラムマネージメント部 担当部長を兼任。

 自動車メーカーは、「ライフタイムバリュー(LTV)」の向上に取り組んでいる。その背景はビジネスモデルの変化だ。従来は、車を売り切るモデルで収益を得ていたが、車両収益率は低下を続けている。そのため、顧客に長期間価値を提供し続け、その対価として持続的な収益を獲得することを目指し、ストックモデルやリカーリングモデルによる収益の割合を増やそうとしている。

 また、同時に従来の自動車エコシステムによる収益だけではなく、他エコシステムとの新しい収益源を増やす努力も進めている。異業種の企業との連携を通じ、B2BおよびB2B2Cのビジネススキームを構築、自動車購入顧客とパートナーの双方から収益を得ようとしている。

 山内氏は成功例として、「Plug&Charge」のビジネスモデルを説明した。

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