利用料金を賢く節約しよう Google Cloudのコスト管理術Google Cloudチートシート(8)

パブリッククラウドは基本的に従量課金制です。このため、利用料金の管理が非常に重要です。Google Cloudでもそれは変わりませんが、コスト管理を助けてくれるさまざまな機能があります。今回の記事では、Google Cloudが提供している関連ツールと、その使い方を紹介します。

» 2025年03月13日 05時00分 公開
[小林千亜暉ジーアイクラウド株式会社]

この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。

 本連載「Google Cloudチートシート」では、Google Cloudを活用する上でのさまざまなコツを、できるだけ分かりやすく、簡潔に紹介しています。

 Google Cloudは従量課金制、つまり使った分だけ料金がかかります。このため「予想外に高額な請求が来てしまうんじゃないかと不安」「どのサービスでどのくらい料金がかかったのか分からない」「どれくらい費用がかかるか知りたい」「利用料金をもっと安くしたい」「使っていないリソースに無駄な費用がかかってしまう」といった悩みがよく聞かれます。

 一方で、Google Cloudではコストを賢く管理するための機能やツールが充実しています。今回は、コストの検知、サービスの分析、利用見積もり、割引の確認方法、そしてよくあるリソース管理方法を、実際の具体的な設定方法とともに紹介します。

予算を設定して使いすぎを防止

 Google Cloudでは、予算を設定して、利用料金が一定額を超えたらアラートを受け取ることができます。このアラートを設定することで、予定の金額に近づいたり、超えたりした場合に、メールなどで通知を受け取れます。

 設定の手順は以下の通りです。

参考:予算と予算アラートの作成、編集、削除

  1. Google Cloudコンソールで、請求>予算とアラートに移動
  2. 予算を作成をクリック
  3. 予算名、予算額、アラートの条件などを設定

 アラートの条件としては、予算額に対する割合や、特定のサービスの利用料金などを細かく設定できます。

具体的な設定方法

 まず、管理対象範囲を設定します。対象のプロジェクトを選択し、割引やプロモーションを差し引くかどうかを設定できます。毎月の利用量を把握したいのであれば、割引やプロモーションのチェックを外します。支払金額を把握したいならば、そのままにしておきましょう。

 次に、予算金額を設定します。金額を設定してもいいですし、前の月の金額を選択することもできます。

 最後にアラートを送るタイミングと通知の設定です。設定した予算に対する割合を、自動的に計算してくれます。要らない場合は削除してしまいましょう。

 終了をクリックします。

 これで、予算とアラートを設定できました。設定しておけば、使いすぎを防止できて安心です。

請求レポートでコストの内訳を把握

 Google Cloudの請求レポートを活用すれば、どのサービスに、どれだけ費用がかかっているかを詳細に把握することができ、想定と異なる費用が発生していないかどうかをチェックできます。

 請求レポートは、Google Cloudコンソールでお支払い>レポートから確認できます。

参考:レポートを使用して請求データと費用の傾向を分析する

 レポートの内容は、プロジェクト別、サービス別、期間別など、さまざまな条件で絞り込むことができます。

 特に以下のようなコスト変動の異常なパターンを見つけて、何が原因なのか調査していくことが、効率的な運用につながります。無駄な費用を見つけて削減していきましょう。

  • 急激な増加:特定のサービスやリソースの費用が、前月や前週と比べて急激に増加している。
  • トレンドからの逸脱:毎月の費用が、一定の範囲で推移している中で、特定の月に大きく逸脱している。
  • 平均からの乖離(かいり): 他のサービスやリソースと比べて、特定のサービスやリソースの費用が平均から大きく乖離している。

 なお、下の画面に表示されていますが、こんなところにも生成AI(人工知能)の「Gemini」が組み込まれています。今後はレポートの作成も、自然な対話形式でできるようになるかもしれません。

 ちなみに、最近よく聞かれるGeminiの利用料金は、「Vertex AI」のダッシュボード画面で表示できます。

料金計算ツールで事前に見積もり

 Google Cloudの料金計算ツールを使えば、事前に利用料金を見積もることもできます。これを使い、利用料金が予算内に収められそうかどうかの判断が可能です。

 料金計算ツールは、Google Cloudの公式サイトから利用できます。

 画面右上のAdd to estimateボタンで、使いたいサービスを選択し、そのサービスの設定を入力すると、簡単に料金を計算できます。また、shareボタンで、他の人と見積もりを共有できます。

 事前に見積もりを行って、予算計画を立てていきましょう。

割引制度を活用

 Google Cloudでは、さまざまな割引制度や無料プログラムが用意されています。例えば、確約利用割引(CUD)や継続利用割引(SUD)などがあります。これらの割引制度をうまく活用することで、大幅なコスト削減が可能です。

 なお、割引制度の内容は随時更新されるので、最新情報をチェックしておきましょう。

参考:
Google Cloud の無料プログラム
継続利用割引
確約利用割引

アイドル状態のリソースは停止/削除

 費用を削減できるよくあるケースとして、使っていないリソースを停止または削除することが挙げられます。

 特に、「Google Compute Engine」の仮想マシンは、アイドル状態でも料金が発生しますので、利用していない時間でも、料金を発生させてしまっていることは多いです。

 しかし、使わない時は停止するように設定することで、無駄な費用を削減できます。

 Compute Engineのインスタンス設定画面からスケジュール起動・停止を行うことができるので、営業時間内しか利用しないなど、使わない時間帯がある場合は、ぜひ設定しましょう。

 設定方法は以下の通りです。

参考:VM インスタンスの起動と停止をスケジュールする

 Compute Engineの画面のインスタンススケジュールタブからスケジュールを作成ボタンを押すと設定できます。

 CRON式によるスケジュール設定も可能ですが、時間をそのまま入力する方法がデフォルトになっていて、感覚的に設定できます。

 スケジュールを作成したら、これをクリックし、スケジュールにインスタンスを追加ボタンで、インスタンスを追加します。

 このように、小まめなリソース管理で、コスト削減を心がけましょう。

まとめ

 今回は、Google Cloudのコストを賢く管理するための具体的な方法をご紹介しました。以上の方法を参考に、コストを意識しながら、クラウドの可能性を最大限に引き出しましょう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

スポンサーからのお知らせPR

注目のテーマ

4AI by @IT - AIを作り、動かし、守り、生かす
Microsoft & Windows最前線2025
AI for エンジニアリング
ローコード/ノーコード セントラル by @IT - ITエンジニアがビジネスの中心で活躍する組織へ
Cloud Native Central by @IT - スケーラブルな能力を組織に
システム開発ノウハウ 【発注ナビ】PR
あなたにおすすめの記事PR

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。