人気のコードエディタ「Zed」が、AIコーディングエージェントとの連携を進化させる新プロトコル「ACP」を発表した。これにより、開発者は自分の好きなエディタとコーディングエージェントを自由に組み合わせることが可能になる。その参照実装となるGemini CLIとZedとの統合が発表された。
人気のコードエディタ「Zed」は、2025年8月27日に、エディタ内でサードパーティのAIエージェントと直接連携するための新しいプロトコル「Agent Client Protocol」(ACP)を発表した。
このACPの導入は、開発者が自分好みの環境でAIを活用するための大きな一歩となる。ACPは、エディタとAIエージェント間の通信を定義するプロトコルであり、これによりエディタとエージェントを自由に組み合わせられるようになる。ZedではACPの参照実装としてGemini CLIがエディタに統合された。
これが意味するところは、開発者はACPをサポートしたエディタとコーディングエージェントがあれば、自分の好きな環境で自分の好きなエージェントを利用できるようになるということだ(エディタやIDEに縛られた特定のエージェントを使うために、エディタを切り替える必要がなくなる)。例えば、Zedを常用しているのであれば、ACPをサポートした複数のエージェントをZed内で自由に切り替えられるようになるだろう。
これは、かつてVisual Studio Codeから生まれたLSP(Language Server Protocol)と同様の考え方だ。つまり、LSPがエディタと特定の言語サーバ機能(自動補完など)を分離し、さまざまなエディタで同じ言語サーバを使えるようにしたのに対し、ACPはエディタとAIエージェントを分離することを目指している。
ACPの設計に当たっては、ZedはGoogleと協力した。GoogleのGemini CLIチームは、Zedの統合ターミナルで自分たちのエージェントを使っていた経験から、より深い統合に興味を持っていた。その一方で、Zedはエージェントを使ったコーディング体験を拡張可能なものにしたいと考えていた。Gemini CLIは多くの支持を得ているオープンソースなプロジェクトであり、具体的なユースケースをもってZedの拡張可能なエージェントの設計を進めるために最適な選択に思えたということだ。
Zedでは以前より、統合ターミナルからGemini CLIを実行できていたが、エスケープシーケンス付きのコードをやり取りするのではなく、より構造化された通信方法が必要であり、その結果としてユーザーの要求とエージェントをつなぎ、それに対する対応を描画するための最小セットのJSON-RPCエンドポイントが定義された。これがACPである。
ACPについては「Introduction - Agent Client Protocol」が詳しい。また、Googleからの発表については「Beyond the terminal: Gemini CLI comes to Zed」を参照されたい。
どうもHPかわさきです。
エディタとコーディングエージェントを分離する動きは、普段からAIを活用してコードを書いている人(筆者ももちろんその一人です)にとっては歓迎できるものといえるでしょう。自分が普段使っているエディタで、好みのエージェントが使えるようになる時代が来るのかもしれません。もちろん、それにはACPの普及と、ACPをサポートしたエージェントの普及が必須ではありますが。他のエディタやIDEでのACPのサポートが進むのか、何よりWindows版のZed(開発途中)がいつ登場するのか、目が離せませんね。
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