知っていると何かのときに役に立つかもしれないITに関するマメ知識。Windows XPの小高い丘と草原、青い空という壁紙は、実は奇跡が生んだ風景だったって知っていますか? この壁紙が撮影された場所は、Googleマップに「有名なWindows XPの『Bliss』壁紙写真の撮影場所」と登録されているのです。しかし、今ではこの風景は見られません。壁紙の風景が生まれた背景について紹介します。
下の写真を見ると、多くの人が「Windows XPの壁紙」と気付くのではないでしょうか。Windows XPのサポートが終了したのは2014年4月9日と、もう10年以上たっています。それでも、インターネットの普及期に登場したWindows XPは爆発的なヒットとなったこともあり、この壁紙は多くの人の記憶に焼き付いているようです。ちなみにこの壁紙には「Bliss(ブリス:至福、日本語版では草原)」という名前が付けられています。
小高い丘と草原、青い空というこの壁紙は、あまりにも整った写真のため、コンピュータグラフィックス(CG)で描いたものと思っている人もいるようです。しかし、この壁紙は実際の風景を写したものです。それもかなり奇跡的な写真なのです。
たぶん、こんな感じだったのではないでしょうか。1996年のある日のこと、写真家のCharles O’Rear(チャールズ・オレア)氏が、カリフォルニア州北部のソノマ郡をクルマで走っていると、いつもとは違う光景が目の前に広がっていました。小高い丘に草原が広がるその風景に、O’Rear氏は思わず道端にクルマを止め、いつも持ち歩いているフィルムカメラ(当時はまだフィルムカメラが主流)で写真に収めたのです。
なぜ、驚く光景だったのでしょうか。カリフォルニア州のソノマ郡といってもピンと来ないかもしれません。しかし、ナパ郡の隣というと、この辺りがワインで有名な地ということに思い当たるかもしれません。
本来、この辺りはワイン用のぶどう畑が一面に広がっている土地だったのです。
ではなぜ、このようなきれいな草原が広がっていたのでしょうか。実は、当時、この一帯のブドウには、フィロキセラ(ブドウ根アブラムシ)と呼ばれる葉や根にコブを生成して枯らしてしまう害虫が猛威を振るっていました。対策として、ぶどうの樹は抜かれ、畑は耕されることになりました。その結果、一時的にこの一帯は美しい草原になっていたのです。害虫がもたらした奇跡の風景というわけです。
実際、Googleマップで確認すると、いまでは一面のぶどう畑が広がっています。ちなみにGoogleマップには、O’Rear氏が壁紙の写真を撮影した場所が「有名なWindows XPの「Bliss」壁紙写真の撮影場所」としてピンが立っています。ストリートビューで2007年〜2024年の丘の風景が確認できますよ。
また、Windows 11でWindows XPの壁紙を利用したい場合は、Microsoftの「Custom Backgrounds Gallery for Microsoft Teams」ページを開き、左メニューで「Microsoft nostalgia」を選択するとダウンロード可能です。ただし、Windows XPの壁紙と比べると、空の感じとか違っています。これは、Microsoft Teamsのチームが、オンライン会議向けに空や丘の高さや影などを修正したからだそうです。オリジナル通りでないのが残念です。
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