[Pythonクイズ]Python 3.14リリース記念 3つのLLMがイチオシする機能はどれ?Pythonステップアップクイズ

Python 3.14がリリースされることを記念して(あるいは祈念して?)、その新機能で一番の推しがどれかを3つの言語モデルに聞いてみました。さて、イチオシの機能はどれでしょう。

» 2025年10月07日 05時00分 公開
[かわさきしんじDeep Insider編集部]
「Pythonステップアップクイズ」のインデックス

連載目次

3つのLLMがイチオシする機能はどれ? 3つのLLMがイチオシする機能はどれ?

【問題】

 Python 3.14のリリースを記念して、今回はChatGPT(GPT-5)/Gemini(Flash 2.5)/Claude(Sonnet 4.5)の3つの大規模言語モデルに「What's new in Python 3.14」にある「リリースハイライト」で挙げられている新機能/変更点を示し、その中からオススメの新機能を順位付きで3つ挙げてもらった。その結果、全てのLLMがある新機能を1位とした。それは以下のうち、どれだろう(python.orgのドキュメントでは「Free-threaded Python」となっているのを、ここでは「フリースレッド版Python」と表記している)。

  1. フリースレッド版Pythonの公式サポート
  2. concurrent.interpretersモジュールにより複数のインタプリターを単一プロセスで実行可能に
  3. JITコンパイラのバイナリの同梱
  4. compression.zstdモジュールの追加

かわさき

 どうもHPかわさきです。

 いやー、やってきましたね。Python 3.14のリリース予定日が。といっても、このクイズが公開されるタイミング(日本時間で2025年10月7日の朝5時)にはまだリリースされていないと思うのですが。それどころか、原稿を書いているのは2025年10月3日の金曜日。完全に勇み足です。

 というか、リリースされなかったらどうしよう(笑)。でも、リリースが少し延期されたところで問題はないとしましょう。

 しかし、上の選択肢の中から選べと言われてもアレしかなさそうですよねぇ。クイズになっているんでしょうかね?

 なお、Deep Insiderではこの後、Python 3.14の新機能を幾つかピックアップしてなる早のペースでご紹介していく予定です。楽しみにしていてください。もちろん、3つのLLMが推しているアレについてもご紹介する予定ですよ。


【答え】

 3つのLLMの全てが1位に挙げたのはもちろん選択肢1の「フリースレッド版Pythonの公式サポート」でしたー。それはそうなりますよねぇ。

それはそうなりますよねぇ それはそうなりますよねぇ

 フリースレッド版Pythonは、従来のPythonが持っていたGIL(Global Interpreter Lock:グローバルインタプリターロック)を取り外すことで、CPUが持つ複数のコアを活用できるようになったPythonのこと。ちなみに筆者的にもこれがイチオシの新機能です。

【解説】

 3つのLLMは以下のようなことを理由として、フリースレッド版Pythonの公式サポートを1位に挙げています。

  • Pythonの並列性モデルを根本から変える歴史的マイルストーン(ChatGPT)
  • 長年の制約であったGIL(Global Interpreter Lock)が公式に克服され、CPythonがマルチコアCPU上で真の並列処理をスレッドレベルで実行できるように(Gemini)
  • 30年来の根本的変革。Pythonの未来を変える基盤技術(Claude)

 表現こそ異なりますが、言っていることはみな同じです。GILありのPythonには「一度に実行できるPythonスレッドは1つだけ」という制約があって、複数のCPUコアを活用するのが難しいことがPythonの弱点となっていました。この制約を取り除き、複数のCPUコアを活用できるようになったのがフリースレッド版のPythonです。数値計算や機械学習を初めとする多くの分野でPythonは優位的な立場にありますが、その立ち位置をより強固なものにする改善点といえるでしょう。

 ただし、Python 3.14では「公式にサポート」はされたものの、あくまでもその位置付けは「オプション」です。以降のバージョンのどこかでこれが「デフォルト」になり(同時にGILありのPythonがおそらくはオプションとなり)、最終的には唯一のCPython実装となるのでしょう。Python 3.15でデフォルトになるかどうかはまだ分からないのが実際のところです。


かわさき

 この辺のお話を広く浅く掘ってみた記事は近日公開予定です。なので、ここではそれほど深くは語らないことにしましょう。


 そして、ChatGPTがオススメする3つの新機能は以下のようになっていました。

  • 1位:フリースレッド版Pythonの公式サポート
  • 2位:concurrent.interpretersモジュールにより複数のインタプリターを単一プロセスで実行可能に
  • 3位:compression.zstdモジュールの追加

 Geminiのオススメは以下の通り。

  • 1位:フリースレッド版Pythonの公式サポート
  • 2位:JITコンパイラのバイナリの同梱
  • 3位:concurrent.interpretersモジュールにより複数のインタプリターを単一プロセスで実行可能に

 Claudeのオススメはこうでした。

  • 1位:フリースレッド版Pythonの公式サポート
  • 2位:concurrent.interpretersモジュールにより複数のインタプリターを単一プロセスで実行可能に
  • 3位:JITコンパイラのバイナリの同梱

 単一のPythonプロセスで複数のインタプリターを同時に実行可能とするconcurrent.interpretersモジュールやJITなど、Pythonの高速化にまつわる機能が推されているようですね。

 CPythonではC APIを使うことで、単一プロセスで複数のインタプリターを実行できていたのですが、Python 3.14ではこれをPython側でもできるようになりました。その鍵となるのがconcurrent.interpretersモジュールということです。

 JITについてはmacOS版とWindows版で実験的なJITコンパイラが含まれるようになったとのこと。ただし、プロダクト用途での使用は推奨されていません。また、環境変数PYTHON_JITを1にセットする必要もあります。筆者もRC版でJITを試してみましたが、単純なコードではJITの効果があまり見られませんでした。実験的ということもあって、高速化については今後に期待という感じでしょう。

 最後にChatGPTが3位に挙げた「compression.zstdモジュールの追加」ですが、新たにcompressionパッケージが追加されて、そこに既存の圧縮/アーカイブ用のモジュールが整理統合されると同時にZstandardと呼ばれる圧縮アルゴリズムをサポートするzstdモジュールが追加されたことになります。既存のlzmaなどのモジュールはそのまま「import lzma」のようにインポートすることも可能ですし、「from compression import lzma」のようにインポートすることも可能です(既存のモジュール名が削除されるまでには5年以上の猶予があるとのことなので、古いコードをPython 3.14以降で使うときにも安心ですね)。


かわさき

 というわけで、今回はクイズというよりもPython 3.14の新機能の幾つかをつまみ食いする感じの回となりました。皆さんのオススメ機能は何でしょう。教えてくれるとうれしいです。そして、個人的にはここから2週間くらいは「Python祭り」と称して、Python 3.14の新機能の紹介をしていく予定ですので、楽しみにしていてくださいね。


「Pythonステップアップクイズ」のインデックス

Pythonステップアップクイズ

Copyright© Digital Advantage Corp. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

スポンサーからのお知らせPR

注目のテーマ

4AI by @IT - AIを作り、動かし、守り、生かす
Microsoft & Windows最前線2025
AI for エンジニアリング
ローコード/ノーコード セントラル by @IT - ITエンジニアがビジネスの中心で活躍する組織へ
Cloud Native Central by @IT - スケーラブルな能力を組織に
システム開発ノウハウ 【発注ナビ】PR
あなたにおすすめの記事PR

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。