知っていると何かのときに役に立つかもしれないITに関するマメ知識。プログラミング言語の名前の由来を幾つか紹介します。プログラミング言語の数は、何百もあるので、同じ名前にならないように苦労があるようですが、意外と安易な名付けも多い?
TIOBE Softwareが毎月発表しているプログラミング言語の人気ランキング「TIOBE Index」を見ると、人工知能(AI)ブームの影響か、Pythonの人気が急上昇していることが分かります。
このランキングを見ると、AdaやLisp、COBOLといった懐かしい(?)プログラミング言語がまだまだ現役なのにちょっと驚きを感じます。こうしたプログラミング言語の名前には、意外な由来や面白い背景を持つものがたくさんあるようです。幾つか紹介しましょう。
最近人気のプログラミング言語「Python」は、大蛇のパイソン(ニシキヘビ)が名前の由来と思われがちです。ロゴやアイコンもヘビを連想させるようなデザインのため、そのように思う人も多いようです。
実際には、開発者のGuido van Rossum(グイド・ヴァンロッサム)氏が英国BBCのコメディー番組「空飛ぶモンティ・パイソン(Monty Python's Flying Circus)」のファンだったことから「Python」と名付けられました。ちなみにMonty Pythonは、英国を代表するコメディーグループの名前です。
他の言語を開発するためのプログラミング言語「BCPL (Basic Combined Programming Language、Basic-CPL)」で開発された「B言語」が前身であったことから、その次という意味で「C」と名付けられました。
また「C++」は、C言語を拡張したことを意味するインクリメント演算子「++」を付けたもの、「Objective-C」はC言語をベースにオブジェクト指向を取り入れた言語ということで名付けられています。
ワークステーションベンダーのSun Microsystems(2010年にOracleに吸収合併)によって開発された「Java」は、当初、オフィスの側に立つ樫の木(Oak Tree)にちなみ「Oak」という名前で開発されていたそうです。しかし、「Oak」が既に他社に商標登録されていたため、一部の開発メンバーがよく出入りしていた近くのコーヒーショップで出されていたジャワコーヒー(Java Coffee)から「Java」と名付けられたというのが定説です。
確かにJavaのロゴやアイコンは湯気の立つコーヒーカップだし、Javaのソフトウェアコンポーネント「JavaBeans(Java豆)ということからも、コーヒー豆が由来であるというのは間違いないでしょう。
「Perl」は、リリース直前まで新約聖書のマタイ福音書13章46節に登場する「高価な真珠」に由来して、「真珠」を意味する「Pearl」という名前だったそうです。しかし、既に同名のプログラミング言語が存在したためにつづりを「Perl」に変えました。
開発者のまつもとゆきひろ氏の同僚が7月生まれで、誕生石がルビーであったことから「Ruby」と名付けられたといわれています。また、6月の誕生石である真珠(Pearl)の次の月である7月の誕生石「ルビー」にすることで、Perlの次の言語という意味も込められているそうです。
1980年代の第5世代コンピュータブーム(人工知能ブーム)で脚光を浴びた「Lisp」は「list processor」の略といわれています。Lispは、変数の定義や関数をやたらと括弧で囲うため、「Lots of Irritating Superfluous Parentheses(多くの煩わしい不要な括弧)」の略だというのはジョークです。
他にもPascal(パスカル)は数学者のBlaise Pascal(ブレーズ・パスカル)、Ada(エイダ)は世界初のコンピュータプログラマーとされるAugusta Ada King(オーガスタ・エイダ・キング)から名付けられています。
このようにプログラミング言語の名前にはいろいろな由来があります。プログラミング言語は何百種類もあるということなので、気になる言語は、名前の由来も調べてみると意外な歴史が分かるかもしれません。
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