B200を384基まで利用可能 さくらインターネットのマネージドGPUクラスタサービス「さくらONE」とは

さくらインターネットが、GPUクラスタをマネージドサービスとして使える「さくらONE」というサービスを発表した。ユーザー組織は、構築や運用に手間をかけることなく大規模なクラスタを利用できる。本記事では、利用可能な構成を含めて新サービスを紹介する。

» 2025年10月22日 14時17分 公開
[三木泉@IT]

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 さくらインターネットは2025年10月20日、GPUスーパーコンピューター(HPCクラスタ)サービス「さくらONE」の本格提供を開始した。

 2025年9月30日より「NVIDIA H200」を使ったモデルを先行提供しているが、10月20日にはNVIDIAのデータセンター向け最新GPUである「NVIDIA B200」のモデルを選べるようになった。今後NVIDIAがリリースするGPUも順次導入するという。

 さくらインターネットは「高火力シリーズ」と呼ぶGPUクラウドサービスを展開している。これは一般的なAI(人工知能)需要に応えるサービス。一方、今回発表のさくらONEは、LLM(大規模言語モデル)開発や高度な科学技術計算の用途に向け、HPCクラスタをサービスとして提供するものだ。

 同社は北海道・石狩のデータセンターでGPUサービスインフラの構築を進めている。2027年度末までに約1000億円を投じてGPUやその他のインフラを整備する計画だ。H200については1072基を導入済み。B200は既に約400基を設置しているが、今年度中に約1100基を追加するという。

 総事業費約1000億円のうち50%は、経済産業省から経済安全保障推進法に基づく「クラウドプログラム」の補助を受けている。このメリットをユーザーに還元するため、国内事業者として、サービスを低価格で提供していきたいとしている。

さくらONEの具体的な内容は?

 さくらONEは、GPU8基を搭載したサーバを複数台構成で利用できるサービス。サーバーリソースの提供に加え、ユーザーアカウント管理、ジョブスケジューラー、障害時のノード交換対応などを提供する。

 ユーザーはサーバの台数と期間を予約して使うことになる。期間は1日単位で設定可能。ただし最低利用期間は30日となっている。最大構成は、 H200の場合55サーバノード(GPU440基)。B200の場合48ノード(GPU384基)となっている。H200は1基につき700W、B200は1基につき1000Wのフルパワー電力で利用可能という。

 このサービスではストレージを共有した上でH200とB200のクラスタを併用する構成が可能だ。H200が科学技術計算、BlackwellシリーズlはAIに最適なことから、「さくらONEは、科学技術とAIの両領域をカバーするスーパーコンピューターとして利用できる」と同社はいう。

H200とB200のクラスタの併用構成も可能
H200とB200の違い

 さくらONEは、医薬開発、ゲノム解析、気象防災、金融サービス・リスク解析、自動車・航空宇宙などの科学技術計算用途での利用を想定している。一方で、国産LLMの開発基盤としての役割を果たす。

 国産LLMを開発する意義について、同社は「国産LLMへの関心は、主に信頼性と安全性の確保にある。企業や研究機関がAIの推論結果を製品やサービスに組み込む際、誤りや著作権侵害の懸念が生じるリスクがあり、出所がはっきりした開発プロセスやデータを持つ国産モデルが、これらの懸念を解消する助けになる」としている。

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