通信方式とは? コネクション指向型とコネクションレス型の違い、3つのキャストを分かりやすく解説

通信方式は、通信相手と「これから通信を始めよう」と確認し合った後で始めるか、事前の確認なしに始めるかという点で、コネクション指向型とコネクションレス型の2つに分けられます。また、一度の通信で情報を送り届ける相手の数によって、3つの「キャスト」に分類することもできます。

» 2025年11月12日 05時00分 公開
[福永勇二@IT]

※本稿は、SBクリエイティブ発行の書籍『ネットワークがよくわかる教科書 第2版(2025年3月31日発行)』の中から、アイティメディアが出版社の許可を得て一部編集の上、転載したものです。

コネクション指向型とコネクションレス型とは

 通信方式は、通信相手と「これから通信を始めよう」と確認し合った後で始めるか、事前の確認なしに始めるかという点で、コネクション指向型とコネクションレス型の2つに分類することができます。

photo コネクション指向型とコネクションレス型

コネクション指向型

  • これから通信を始めることを確認し合った後で始める方式
  • 通信を開始する時点から通信相手に情報が届くことが保証される
  • 通信終了時も、通信相手との間で通信終了を確認し合ってから終える

コネクションレス型

  • 事前の確認なしで、いつでも通信相手に情報を送ることができる方式
  • 通信相手の準備が整っていないと、送った情報を受け取ってもらえない可能性がある
  • 通信終了時も、確認し合うことはない

 コンピュータ同士の通信は、コネクションレス型が基本です。なぜなら、ネットワークのためのハードウェアや、その機能を利用する基本的なプロトコル(IP)がコネクションレス型だからです。しかし、IPと一緒に利用するTCPがコネクション指向型の通信を提供しているため、結果として、コネクション指向型とコネクションレス型を使い分けられるようになっています。

プログラムの内部に見える特徴

 コンピュータ同士の通信がコネクション指向型で行われているかどうかは、アプリケーションプログラムの外部から見てもなかなか分かりませんが、プログラムの内部を見ると、よく分かります。

 C言語で記述したプログラムで通信を利用する際、一般に次ページの図の順序で通信機能(関数)を呼び出します。コネクション指向型のTCPを用いるときは、先にconnect()を呼び出してから、その後、send()を呼び出します。connect()は相手との間で接続(これから通信を始めることの確認)を行う関数です。つまりTCPは、このconnect()によって相手と通信を始めることを合意したうえで、send()で情報を送信しているというわけです。ここにコネクション指向型の特徴が見て取れます。

 一方、コネクションレス型のUDPを用いるときは、connect()を呼び出すことをせず、いきなりsendto()を呼び出します。sendto()は指定相手に情報を送信するための関数です。事前の接続などをせずに即送信するというUDPのコネクションレス型の特徴が、このような処理の流れに現れています。

photo TCPとUDPの通信処理

通信方式の3つのキャスト

 通信方式は、一度の通信で情報を送り届ける相手の数によって、次の3つに分類することもできます(図)。

ユニキャスト

 1対1での通信形態のこと。ある送信者が送出した情報は、宛先として指定した受信者だけが受信します。ユニキャストは最も汎用的な通信方式で、宛先には相手を特定するアドレスを指定します。

ブロードキャスト

 ある送信者が送り出した情報を、ネットワークに属する全ての対象が受信する形態。ブロードキャストには「放送」の意味があります。ブロードキャストは全対象に対する一括的な問い合わせなどに用い、宛先としてブロードキャスト専用のアドレスを指定します。

マルチキャスト

 ある送信者が送出した情報を、グループに属する特定の対象が受信する形態。マルチキャストは特定対象へのストリーミング配信などに用い、宛先としてマルチキャストのグループを表す専用のアドレスを指定します。

photo ユニキャスト、ブロードキャスト、マルチキャスト

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