深刻なランサムウェア被害が相次いでいることを受け、VPNを利用する企業に不安が広がっている実態が明らかになった。リモートアクセスサービスを手掛けるe-Janネットワークスが調査した。
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深刻化するランサムウェア(身代金要求型マルウェア)被害。その背景の一つにあるのが、「VPN」(仮想プライベートネットワーク)の脆弱(ぜいじゃく)性が悪用されている問題だ。
その状況を受け、リモートアクセスサービスを提供するe-Janネットワークスは、VPNなどのリモートアクセス手段の課題を明らかにすることを目的に「VPN利用実態調査とセキュリティ対策」に関する調査を実施。IT管理者や情報システム担当者、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進部門担当者など1011人を対象に調査した。
2025年11月19日に同社が発表した調査結果では、多くの企業がVPNの利用に不安を感じている実態が明らかになった。
ランサムウェアの主な感染経路になっていると指摘されているのがVPNだ。調査報告書「令和7年上半期における サイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」(令和7年9月 警察庁サイバー警察局)では、令和7年上半期にランサムウェア被害に遭った企業・団体45件のうち、28件が「VPN機器が感染経路だった」と回答している。
調査では、導入済みリモートアクセス手段(複数回答)としてクラウドVPN(52.5%)が最多となり、従来型VPN(46.9%)を上回った。一方でゼロトラストネットワークアクセス(ZTNA)も30.1%と一定数利用されており、接続方式のクラウド化と多様化が進んでいる実態が明らかになった。
利用中のVPNに関する課題では、「セキュリティへの担保に不安がある」(37.9%)が最も多く、「利用端末の制限や管理が煩雑」(31.5%)、「運用管理が属人化している」(27.8%)が続いた。
VPN利用中にセキュリティ面の不安を感じた経験については、「よくある」(42.5%)と「ときどきある」(43.7%)を合わせ、約9割が何らかの不安を抱えていることが分かった。
VPNの導入や切り替え時の障壁としては、「セキュリティ要件を満たすか不安」(40.2%)がトップとなり、「他システムとの互換性や連携の懸念」(32.0%)や「社内の合意形成・稟議の難しさ」(28.0%)を上回った。導入には技術面だけでなく、既存システムとの連携や社内調整がハードルとなっている。
導入時に重視するポイントでは、「セキュリティの高さ」(34.4%)が最も多く、「管理のしやすさ」(27.2%)、「設定や導入の簡単さ」(25.2%)が続いた。
「VPN導入後に理想とする状態」では、以下の回答が上位を占めた。
VPNへの改善要望としては、「セキュリティリスクへの対応が強化されていること」(42.1%)に次いで、「端末やユーザーの制御が容易になること」(35.7%)が挙がった。現場では、安全性はもちろんのこと、日々の運用負荷を軽減できる「使いやすさ」や「管理性」が切実に求められている。
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