EPFのテーラリング機能
EPFでは、以下の3種類のテーラリング機能があります。これらのテーラリング機能は、ロール、タスク、ワーク・プロダクト、ガイダンスの任意の要素に適用できます。
テーラリングの方法 | 説明 |
---|---|
寄与(Contributes) | 元のメソッド・コンテンツを変更することなく、定義を付け加える |
置換(Replaces) | 元のメソッド・コンテンツを別のメソッド・コンテンツに入れ替える |
拡張(Extend) | 元のメソッド・コンテンツを継承して新たなメソッド・コンテンツを定義する |
それでは、具体的な使い方について、順を追って説明します。
■「寄与」によるテーラリング
メソッド・プラグイン「標準開発プロセス(standard)」で作成した「データ設計」タスクと「AP外部設計」タスクを変更せずに、FP計測の手順を以下のように追加します。
これらのテーラリングは、EPFの「寄与」というテーラリング機能で実現できます。
メソッド・プラグイン「FP計測手順(function_point)」に「ファンクションポイント」というコンテンツ・パッケージを作成し、その中にタスク「データファンクションの計測」と「トランザクションファンクションの計測」を作成してください。作成したタスクの中のコンテンツの[可変性]という見出しの中に、[可変性のタイプ]と[基本]という項目があります。[可変性のタイプ]に[寄与]を選択し、[基本]は追加先のタスクを指定します。続けて、FPの計測手順や作成する成果物などを定義します。
■「置換」によるテーラリング
先ほどは、寄与によって既存のメソッド・コンテンツに情報を追加しましたが、今度は内容を差し替える方法を紹介します。
ここでは、シンクライアント用の画面仕様書テンプレートをリッチクライアント用の画面仕様書テンプレート(リッチクライアント用)へ差し替えます。
置換により差し替えを行うには、メソッド・プラグイン「リッチクライアント(rich_client)」に新たなテンプレート「画面仕様書テンプレート(リッチクライアント用)」を定義し、コンテンツの[可変性のタイプ]に「置換」、[基本ガイダンス]に標準開発プロセスの「画面仕様書テンプレート(シンクライアント用)」を指定します。
■「拡張」によるテーラリング
3つ目のテーラリング方法として、既存のタスク「試験」を拡張して「単体試験」タスクと「結合試験」タスクを定義する方法を紹介します。
メソッド・プラグイン「標準開発プロセス(standard)」の「試験」タスクの入力となる成果物をいったん削除してください。次に、「単体試験」タスクを作成し、可変性のタイプに「拡張」、基本に「試験」を指定し、入力となる成果物「モジュール設計書」と「ソースコード」を指定します。続けて、「結合試験」タスクも同様に可変性のタイプと基本を指定し、入力となる成果物を定義します。このように拡張を利用することで重複なく複数のタスクを定義できます。
なお、「試験」タスク、「単体試験」タスク、「結合試験」タスクが同一のコンテンツ・パッケージの中で同列に見えていると不自然なので、新たに「ベース・メソッド・コンテンツ」というコンテンツ・パッケージを作成し、「試験」タスクをそこに移動します。「試験」タスクを右クリックして[移動]を選択すれば、任意の場所に移動できます。
最後に、デリバリー・プロセスを開いて「試験」タスクのタスク記述子を削除し、「単体試験」タスクと「結合試験」タスクのタスク記述子を作成してください。
テーラリング結果の確認
テーラリングの定義が終わったら、追加先のメソッド・プラグインの中にあるデリバリー・プロセス「標準開発プロセス」を開き、右クリックして[メソッド・コンテンツからのデフォルト同期]を選択してください。そうすることで、先ほど定義した寄与、置換がデリバリー・プロセスに反映されます。
パースペクティブを[ブラウズ]にして、AP外部設計を見てみると、図23のようにFPに関する成果物や手順が追加されたことが分かると思います。
画面仕様書テンプレートについても、図24のようにリッチクライアント用のものに入れ替わっています。
タスク「単体試験」では、拡張元で定義した情報とマージされていることが分かります。
開発プロセス作成のススメ
EPFを使った開発プロセスの新規作成およびテーラリングの方法を一通り紹介しました。皆さんのプロジェクトもしくは所属している組織で、利用している開発プロセスをぜひ作成してみてください。
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