Project Zeroとは「Zero complexity, Zero overhead, Zero obstacles」(複雑さゼロ、オーバヘッドゼロ、障害ゼロ)をスローガンとして掲げたIBMの新プロジェクトで、次世代の動的Webアプリケーションのアジャイル開発にフォーカスしており、スクリプト言語とAjaxをサポートしているのが特徴です。
Project Zeroは、Java版、PHP版、コマンドライン版の3つのディストリビューションが用意されています。本稿では、Eclipseプラグインとして提供されているJava版のディストリビューションを用い、ブログアプリケーションの作成を通してProject Zeroの概要を紹介します。
Java版では、アプリケーションの実装言語として、Groovyを利用します。Groovyは、Javaの構文をベースとした、Javaで記述されたスクリプト言語です。Groovy自身はJavaで記述されているため、Javaとの親和性が高く、JavaのクラスをGroovyから自由に呼び出して利用できます。Groovyは、Javaの言語をベースとしながらもスクリプト言語のように、変数宣言を省略できたり、配列やハッシュに簡略化した表現でアクセスできたり、クロージャを利用できます。
例えば、ハッシュを下記のように利用できます。
email = new HashMap(); email['okamoto'] = "okamoto@minotake.org"; s = email['okamoto'];
ブログアプリケーションのビュー部分は、一般的なJavaのWebアプリケーションで利用されるJSPではなく、Groovyをベースとしたテンプレートを利用することにします。
ZeroはAjaxに対応しています。リソースと呼ばれるスクリプトでJSONによる通信処理を行ったり、Ajaxフレームワ−クであるDojoのサポートをWebページに追加することが簡単にできるようになっています。
Zeroで利用するプロジェクトにモジュールを追加する際には、Zero独自のリポジトリとMavenのリポジトリを利用できます。Mavenのリポジトリに対応しているため、Mavenのリポジトリで提供されている豊富なモジュールを利用できます。
Java版をインストールするには、アップデートサイトからEclipseプラグインをインストールします。
インストールフィーチャのルートのProject Zeroにチェックを入れてAptana、Groovy、Project Zero、Project Zero Examplesの各コンポーネントをインストールします(図2)。
本稿では、Project Zeroのバージョン「1.0.0.P20070730-1983」を利用し、検証しました。Project Zeroは発展途上で、APIが今後変更される可能性があります。現に、本稿執筆中にAPIが変更になり、作成中のサンプルが動かなくなりました。サンプルがうまく動作しない場合は、このバージョンをご利用ください。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.