Apache LDAP StudioでLDAPはもう怖くないCoolなEclipseプラグイン(21)(1/3 ページ)

» 2007年10月03日 00時00分 公開
[岡本隆史@IT]

「LDAPは難しいなぁ……」という人こそ

 ユーザー情報を管理するインフラとしてしばしばLDAPが利用されます。しかし、LDAPは非常に難解で取っつきにくいという印象があり、知識がない人には敬遠されがちです。本稿で紹介するApache Directory Studioを利用すると、Eclipseのビューを利用して視覚的にLDAPを操作できます。

 また、GUIによる入力の補助を行ってくれるので、LDAPを利用する敷居がぐっと下がります。LDAPに興味を持っているけど、その難解さで利用に挫折した方は本稿を読んでLDAPを利用してみてください。

編集部注LDAPについて詳しく知りたい読者は、セキュリティ用語辞典の[LDAP]をご参照ください。

LDAPとApacheプロジェクト

 LDAP(Lightweight Directory Access Protocol)とは、ディレクトリサービスへアクセスするためのプロトコルです。ディレクトリサービスは、ユーザー、組織、マシンなどの情報を管理するサービスで、企業では、メールアドレスの検索などでよく利用されています。

 LDAPを提供するソフトウェアとしては、WindowsのActive DirectoryOpenLDAPなどが有名ですが、WebサーバのApacheやアプリケーションサーバのTomcatの開発で有名なApache Foundationでも、「Apache Directoryプロジェクト」でLDAPに関するソフトウェアを開発しています。

編集部注Active Directoryについて詳しく知りたい読者は、Windows Server Insiderの「Active Directoryとは何か?」をご参照ください。

図1 Apache DirectoryプロジェクトのTOPページ 図1 Apache DirectoryプロジェクトのTOPページ

 Apache Directoryプロジェクトでは、LDAPサーバであるApacheDSや、LDAPクライアントであるApache Directory Studioが開発されています。

Apache Directory Studioで何が変わるのか?

 Apache Directory Studio(図2)は、Apache FoundationのApache Directoryプロジェクトで開発されているオープンソースのLDAPクライアントでEclipseをベースに優れたユーザーインターフェイスを提供しているのが、特徴です。

図2 Apache Directory Studioの画面 図2 Apache Directory Studioの画面(画像をクリックすると拡大します)

LDAPユーザーを視覚的に管理・利用できる

 Apache Directory Studioを利用すると、LDAP情報へのアクセスを簡単に行うことができ、LDAPに登録されたユーザー情報の検索、更新、追加、削除などがGUIを利用して簡単に利用できます。

初めてLDAPを利用する人にも分かりやすい

 また、グループを部署、担当、チームのように階層的に定義した場合、ツリー上でディレクトリの構造を見られるので、非常に分かりやすいです。

 OpenLDAPを利用した場合などは、LDAPの情報操作にコマンドラインでの煩雑な操作が必要でしたが、Apache Directory Studioと組み合わせて利用すると、初めてLDAPを利用する人でも簡単にLDAPを利用できます。

LDIFファイルやディレクトリ・スキーマの編集も楽々

 また、LDAPのエントリを定義するLDIF(LDAP Data Interchange Format)ファイルやデータ型を定義するディレクトリ・スキーマの編集を支援する機能があり、Eclipseのエディタでおなじみのキーワードの補完や誤った文法の部分にエラーを表示するバリデーションを行うことができます。

さまざまなLDAPサーバで利用できる

 そのほか、Apache Directory Studioと同じプロジェクトで開発されているApacheDSの設定を行う機能もあります。Apache DSの設定以外の機能は、LDAP汎用の機能となっていますので、OpenLDAPやActive Directoryなど、ほかのLDAPサーバでも利用できます。

Apache Directory Studio導入の準備

 以下、Apache Directory Studioの使い方を説明していきますが、Apache Directory Studioを利用するためには、LDAPサーバが必要です。ここでは、LDAPサーバであるApache DSのインストール方法も併せて紹介します。

ApacheDSのインストール

 ApacheDSのダウンロードサイトからApacheDSをダウンロードします。ここでは、執筆時点で最新である1.5.1のWindows版(ファイル名はapacheds-server-1.5.1-setup.exe)を利用しました。インストールしたファイルをダブルクリックするとインストーラが起動するので、画面の指示に従って操作していけばインストールは完了です。

Apache Directory Studioのインストール

 Apache Directory Studioは、こちらのアップデートサイトからインストールします。

 また、Eclipse RCP(Rich Client Platform)のアプリケーションとしても配布されています。Eclipse RCPのバージョンには、Eclipseも同梱されていますので、平素Eclipseを利用していない開発者でも簡単に利用することができます。Eclipse RCPバージョンは、こちらのURLからインストールできます。

編集部注Eclipse RCPについて詳しく知りたい読者は、連載「安藤幸央のランダウン」の第26回「Eclipse 3.0のリッチクライアントとは?」をご参照ください。

 本稿では、Eclipse 3.3Eclipse for Java EEPleiadesを適用して日本語化したバージョン(Eclipse 3.3とその日本語化の詳細はCoolなEclipseプラグイン(特別編)「徹底解剖!! Eclipse3.3 Europaの“新世界”」を参照してください)を用いて解説を行います。

 では、次のページからApache Directory Studioの具体的な使い方を解説します。

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