ユーザー情報を管理するインフラとしてしばしばLDAPが利用されます。しかし、LDAPは非常に難解で取っつきにくいという印象があり、知識がない人には敬遠されがちです。本稿で紹介するApache Directory Studioを利用すると、Eclipseのビューを利用して視覚的にLDAPを操作できます。
また、GUIによる入力の補助を行ってくれるので、LDAPを利用する敷居がぐっと下がります。LDAPに興味を持っているけど、その難解さで利用に挫折した方は本稿を読んでLDAPを利用してみてください。
LDAP(Lightweight Directory Access Protocol)とは、ディレクトリサービスへアクセスするためのプロトコルです。ディレクトリサービスは、ユーザー、組織、マシンなどの情報を管理するサービスで、企業では、メールアドレスの検索などでよく利用されています。
LDAPを提供するソフトウェアとしては、WindowsのActive DirectoryやOpenLDAPなどが有名ですが、WebサーバのApacheやアプリケーションサーバのTomcatの開発で有名なApache Foundationでも、「Apache Directoryプロジェクト」でLDAPに関するソフトウェアを開発しています。
Apache Directoryプロジェクトでは、LDAPサーバであるApacheDSや、LDAPクライアントであるApache Directory Studioが開発されています。
Apache Directory Studio(図2)は、Apache FoundationのApache Directoryプロジェクトで開発されているオープンソースのLDAPクライアントでEclipseをベースに優れたユーザーインターフェイスを提供しているのが、特徴です。
Apache Directory Studioを利用すると、LDAP情報へのアクセスを簡単に行うことができ、LDAPに登録されたユーザー情報の検索、更新、追加、削除などがGUIを利用して簡単に利用できます。
また、グループを部署、担当、チームのように階層的に定義した場合、ツリー上でディレクトリの構造を見られるので、非常に分かりやすいです。
OpenLDAPを利用した場合などは、LDAPの情報操作にコマンドラインでの煩雑な操作が必要でしたが、Apache Directory Studioと組み合わせて利用すると、初めてLDAPを利用する人でも簡単にLDAPを利用できます。
また、LDAPのエントリを定義するLDIF(LDAP Data Interchange Format)ファイルやデータ型を定義するディレクトリ・スキーマの編集を支援する機能があり、Eclipseのエディタでおなじみのキーワードの補完や誤った文法の部分にエラーを表示するバリデーションを行うことができます。
そのほか、Apache Directory Studioと同じプロジェクトで開発されているApacheDSの設定を行う機能もあります。Apache DSの設定以外の機能は、LDAP汎用の機能となっていますので、OpenLDAPやActive Directoryなど、ほかのLDAPサーバでも利用できます。
以下、Apache Directory Studioの使い方を説明していきますが、Apache Directory Studioを利用するためには、LDAPサーバが必要です。ここでは、LDAPサーバであるApache DSのインストール方法も併せて紹介します。
ApacheDSのダウンロードサイトからApacheDSをダウンロードします。ここでは、執筆時点で最新である1.5.1のWindows版(ファイル名はapacheds-server-1.5.1-setup.exe)を利用しました。インストールしたファイルをダブルクリックするとインストーラが起動するので、画面の指示に従って操作していけばインストールは完了です。
Apache Directory Studioは、こちらのアップデートサイトからインストールします。
また、Eclipse RCP(Rich Client Platform)のアプリケーションとしても配布されています。Eclipse RCPのバージョンには、Eclipseも同梱されていますので、平素Eclipseを利用していない開発者でも簡単に利用することができます。Eclipse RCPバージョンは、こちらのURLからインストールできます。
本稿では、Eclipse 3.3のEclipse for Java EEにPleiadesを適用して日本語化したバージョン(Eclipse 3.3とその日本語化の詳細はCoolなEclipseプラグイン(特別編)「徹底解剖!! Eclipse3.3 Europaの“新世界”」を参照してください)を用いて解説を行います。
では、次のページからApache Directory Studioの具体的な使い方を解説します。
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