Linuxカーネルのコンフィグレーション手順:実践でも役立つLPICドリル(5)(4/4 ページ)
本連載は、Linux 認定試験 LPICに対応しています。一般的なLinuxユーザーレベルのトピックは省略し、システム管理とサーバ管理の内容を取り上げています。また、LPIC対策だけでなく、関連するトピックについて系統的な理解を問う問題も出題しています。連載の特徴は、対象となるプログラムのバージョンを可能な限り明記していること、比較的新しくまとまった解説がまだ少ないトピック、重要だが理解しにくいトピックを優先して取り上げていることです。問題を解き、その解説を読むことにより実践でLinuxを活用できる力を身に付けます。
問題5
カーネルを生成しようとしてmake zImageを実行したところ、次のようなエラーが表示されて失敗してしまいました。このエラーを解決できる可能性のある手順はどれですか?(2つ選択)
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
[試験対策の重要度:(level1)* (level2)**]
a.Cコンパイラgccを最新バージョンに変えてから、再度make zImageを実行する
b.カーネルのヘッダファイルに文法上の誤りがあると思われるので、ヘッダファイルの記述をチェックする
c.不必要な機能を取り外すようにカーネルコンフィグレーションをやり直してから、再度make zImageを実行する
d.make bzImageを実行する
正解
c、d
解説
このエラーメッセージはSystem(圧縮カーネル)のサイズが、zImageの要件である512KB以内に収まらないことを示しています。コンフィグレーションをやり直してカーネルを小さくするか、512KB以上の圧縮カーネルに対応するbzImageを生成するか、いずれかの方法で対応できます。
選択肢aは、Cコンパイラの問題によるエラーではないので、間違いです。
選択肢bは、ヘッダファイルの誤りによるエラーではないので、間違いです。
問題6
カーネルコンフィグレーションにより新しいカーネルを作成したいのだが、いろいろとパラメータを変えて実験するのでできるだけ一般ユーザーで実験し、必要な場合のみroot権限で実行します。root権限でないと実行できない手順は次のうちどれですか?(2つ選択)
[試験対策の重要度:(level1)* (level2)*]
a.make mrproper
b.make bzImage
c.make modules_install
d.make install
正解
c、d
解説
生成したカーネルとローダブルモジュールをインストールする手順では、rootのみに書き込み許可のあるシステムディレクトリの下にファイルをコピーするので、root権限が必要になります。従って、選択肢cと選択肢dが正解です。
選択肢aと選択肢bは、カーネルソースを一般ユーザーのホームディレクトリ下に展開してもできる作業なので、間違いです。
問題7
新しいカーネルを生成した後、ブートローダGRUBの設定ファイルgrub.confの編集をしてシステムを再起動したら、ルートデバイスがないというエラーメッセージが表示されて、カーネルパニックになり、システムが立ち上がりません。そこで以前のブートエントリを指定してシステムを立ち上げ、rdevコマンドでカーネルにハードコードされたルートデバイスと、grub.confのエントリに指定されたルートデバイスを確認したところ次のようになっています。このエラーを解決するために適切と思われる手段はどれですか?(1つ選択)
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
[試験対策の重要度:(level1)* (level2)**]
a.grub.confの“root=/dev/sda2”の記述が間違っていると思われるので、正しい記述に変更する
b.grub.confのルートデバイスの記述と、カーネルにハードコードされたルートデバイスを/dev/sda1か/dev/sda2かどちらかに統一する
c.カーネルにハードコードされたルートデバイスの指定が間違っていると思われるのでrdevコマンドで修正する
d.ルートファイルシステムが損傷したと思われるので、インストールをやり直して修復する
正解
a
解説
ブートローダにルートデバイスの指定がある場合(通常は指定します)、カーネルにハードコードされたルートデバイスの情報より、ブートローダの指定が優先します。従って、選択肢aのみが正解です。
お疲れさまでした。次回は「システムの起動」について問題を出題します。
筆者プロフィール
大竹龍史
有限会社ナレッジデザイン 代表取締役。1980年代に日本コンピュータビジョン社にてサン・マイクロシステムズのWorkstation、Sun2に出合って以来、サン関連のサポート、社内教育、ユーザー教育に従事。1998年、Netscape(現在はサンのSJESプロダクトに引き継がれている)とLinuxのトレーニングを提供する有限会社ナレッジデザインを設立。現在はLinuxとSolarisのシステム管理、ネットワーク管理、サーバ構築を担当。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.