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エンジニアが注目すべき新機能はこれだ次世代SQL Server“Denali”の姿に迫る(1)(2/2 ページ)

Microsoft SQL Serverの次期版、開発コード名「Denali」。SQL Serverとしては第4世代となり、機能や性能で大きく飛躍すると期待している開発者も多いかと思う。本連載ではDenaliの姿に迫っていく。

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エンジニア注目ポイントその1:高可用性

 米マイクロソフトの資料によると、Denaliの新機能は大きく3つのキーワードで表現できる。1つ目は“MISSION-CRITICAL CONFIDENCE”。可用性や性能の強化に関係する部分だ。2つ目は“BREAKTHROUGH INSIGHT”。データをさまざまな方法で表現するBI(Business Intelligence)の機能拡充だ。3つ目は“CLOUD ON YOUR TERMS”。クラウドコンピューティング基盤「Windows Azure」などと連携するシステムを手早く構築することを可能にする機能。言い換えれば、開発者の生産性に貢献するための機能だ。

 この3本柱は今後よく目にすることになるだろう。しかし、この3本柱は広く一般への説明で使う分類となる。北川氏は「ITエンジニアや開発者の関心事からすると、4つの特徴が挙げられます」とし、それそれのポイントを列挙する。

 繰り返しになるが、1つ目は北川氏が最も強調する可用性向上に関する強化点となる。先に挙げた「SQL Server AlwaysOn」だ。さらにプロジェクト「Apollo(アポロ)」と呼ぶ新機能も加わる。これは「Column store index」と呼び、カラム(列)単位でデータの格納、圧縮、インデックス作成を可能とする機能だ。この機能を利用すると、データを格納するためのストレージ領域を縮小できるほか、クエリの処理性能が10倍ほど向上するという。パフォーマンスチューニングの労力も減ると期待できそうだ。

エンジニア注目ポイントその2:セルフサービスBIの拡張

 これは、先述した3つのキーワードの2番目であるBREAKTHROUGH INSIGHTに当たり、2008 R2で強化されたセルフサービスBIの延長、強化にあたると考えていいだろう。なかでもプロジェクト「Crescent(クレセント)」はデータを可視化するツールで、レポートビルダーをさらに柔軟に使えるようになる。

 例えば、プレゼンテーションの間に最新のデータをプレゼンテーションに反映させるといったことが可能になる。これで、幅広い層のユーザーがより表現豊かなレポートを作成できることになるわけだ。

エンジニア注目ポイントその3:開発者の生産性向上

 北川氏が挙げる3つ目のポイントは、開発者の生産性を向上させるための新しい開発環境。コードネームは「Juneau(ジュノー)」。Visual Studio上で「SQL Server Management Studio」のようにデータベースを管理できるようになる。さらに、ローカルネットワークでつながったSQL Serverにあるデータベースだけでなく、SQL Azureにあるデータベースも同時に管理できるようになるそうだ。

エンジニア注目ポイントその4:相互運用性

 最後のポイントはデータの相互運用性だ。これだけは開発コード名はないが、Denaliでは意外なほどオープンソースソフトウェアや他社製品へと手を伸ばしている。例えば、多様なドライバを提供することになっているのが分かる。既存のPHPドライバやJDBCドライバなどに加えて、「ODBC for Linux」の提供も始める。そして、Apache Hadoopと接続するためのドライバも用意するという。

 そして、Oracle Database用のCDC(Change data capture:変更データキャプチャ)も提供する。CDC自体は2008からの機能で、更新履歴を保管するものだ。ただしこれまではSQL Serverにしか対応していなかった。DenaliではOracleにも対応するとのこと。なかなか興味深い。

Denaliの新機能ハイライト

 最後にDenaliの新機能ハイライトをお見せしたい。左から列タイトルを日本語にすると「高可用性」「スケーラビリティとパフォーマンス」「セキュリティと管理の容易さ」「リレーショナルデータベースを超えた機能」「Web対応機能と広い守備範囲」「BI」「企業情報管理」となる。

 今回挙げたエンジニア注目ポイントと照らし合わせると、ポイント1が「高可用性」、「スケーラビリティとパフォーマンス」、「セキュリティと管理の容易さ」となり、2が主に「BI」と「企業情報管理」となる。そして3が「リレーショナルデータベースを超えた機能」と「Web対応機能と広い守備範囲」となり、4がPHP DriverやODBC for Linuxなどのドライバに当たる。

 今回はDenali連載初回ということで主要なポイントをざっと列挙してみた。次回以降は各項目により詳細に迫っていく。


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