検索
連載

クラウド学習のランクバトルで、日本1位を制した男基礎から分かるMicrosoft Virtual Academy(2)(2/2 ページ)

マイクロソフトが提供している無償のオンライントレーニングサイト「Microsoft Virtual Academy(MVA)」の基礎を解説。

Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

テキストを読むだけでポイントをもらえる仕組みが巧み

――ゲーム型学習コンテンツはいろいろあると思いますが、MVAならではの特徴というのはありますか? 海外ランキングが1つあると思いますが、他には。

初音:面白いことに、MVAは、試験を受けるだけでなく、テキストを読んで勉強するだけでもポイントがもらえるのですよね。しかも、テキストを読むことと問題に正解することのポイント数があまり変わらない。

 最初は、「なんで問題に正解したのに、ポイントが低いんだろう」とちょっと不満だったのですが、このバランスが実は絶妙でした。逆にとらえれば、読むだけで10ポイントになるセクションを探して読めば、ランキングを上げることができます。「知識を獲得する」ことそのものが、重視されている設計ですね。ゲーム性をうまく取り入れつつ、きちんと勉強できるという「バランス感覚」がいいコンテンツだと思います。

──MVAには相当な時間を掛けたからこそ、1位まで上り詰めた、という印象です。

初音:いや、実はそうでもないんですよ。MVAを始めてから3週間ぐらいで、日本語のコースは全部受講できました。行き帰りの電車の中でIS12T(au製のWindows Phone7.5搭載スマートフォン)を使って受講したり問題を解いたり。

――意外と簡単に受講できるんですね。

初音:そもそも問題の制限時間が10〜15分程度なので、5分ぐらいあれば回答できてしまいます。すきま時間に受講するのにちょうどいいですね。さすがに動画を見るのはスマートフォンではきつかったので、昼休みにPCを使うなどしましたが。

既存の教育コースや資格制度にはないコンテンツがある

──受講したコースの中で、これは勉強になった、というものはありますか?

初音:Windows Azureのセキュリティ関連の資料はありそうでなかったので、SQL Azureとセキュリティ関連の資料は普通に読んで勉強になりました。Azureの情報は一見たくさんあるように思いがちですが、実は最新バージョンの資料は少ないので、これは助かりました。例えば「知っていないと顧客に売りに行けない」ような種類の知識が網羅されています。Windows Azure以外でも管理ツールSystem Center Virtual Machine Manager(SCVMM)のコンテンツも、他の教育コースではまだ登場していないものだと思います。

──既存の教育コースや資格制度との違いがあるわけですね。

初音:そうだと思います。MCPなどの公式資格は、作るのにものすごい手間と時間がかかるはずです。なので当然、System Centerなどの新しい技術についての資格はまだ始まっていません。

 でも、MVAにはさらりと勉強用コンテンツが置いてあるんですよね。最新技術で、まだ資格制度や教育コースで取り上げられていないまとまった知識がMVAにはあるし、問題形式だから、どこが重要なポイントなのかも分かる。新技術の勉強に興味があるエンジニアには、うってつけだと思います。

アプリ開発者こそ、インフラ知識を身に付けるべき

──MVAのコンテンツで、印象的だったものがあれば教えてください。

初音:すごいと思ったのは、問題の作り方ですね。「ある製品でできないことをすべて選んでください」という問題で、解答が全部「できない」だったりするんですよ。「Microsoftさん、それはぶっちゃけすぎでは」と心の中で突っ込んだりもしたのですが、現場の人間にとって、実はこの「できないこと」の情報はすごくありがたい。

 できることは書いてあっても、できないことなんて普通書かないじゃないですか。だから、サポート情報をくまなく見ても「結局分からない」ということがままある。「できないこと」をはっきり教えてくれることは評価が高いですね。

──MVAはどういう人にお勧めですか?

初音:MVAのコンテンツは、インフラ寄りの技術が多いですが、あえてアプリケーションを開発するエンジニアに、強くお勧めしたい。仮想環境でアプリケーションを動かして問題が出る場合、アプリケーション側に原因がある場合が多いのです。ですが、知識がないと、まずは「仮想環境サイドが悪いのでは」と思ってしまう。

――アプリ開発する際にも、インフラ周りの知識が求められる、ということでしょうか。

初音:だと思いますね。メモリを気にしてアプリを組むことを、若手エンジニアはほとんどしないと思うのですが、仮想環境で共有するようなときはメモリを気にすることで全体最適化ができます。それだけではなく、例えばスマートフォンアプリの開発なども、そうした下層レイヤに気を配れる方が全然いい。

 知識が乏しいと、検索で調べようにも用語を知らなくてそもそも検索できない場合がありますが、MVAをひととおりやってみれば、少なくとも「必要な単語」は分かりますし。さっきも言いましたが、初級者がとっつきやすい仕組みになっているので、インフラや下層関連の知識が弱いと感じているエンジニアは、触ってみて損はないと思います。

――実際に現場で仮想関連の仕事に携わっている人にとっても有用ですか?

初音:ええ。MVAで得られる情報は、まさに現場ですぐ使える情報です。プライベートクラウドの構築をこれから検討しようとしている、あるいは経営層から「ちょっと検討してみてよ」と言われている人にはうってつけですね。すでに仮想環境を構築しているエンジニアにとっては、MVAは知識の確認にちょうどいいと思います。

――ちょっと気になり始めたエンジニアにメッセージなどあれば。

初音:手軽にはじめられるのがMVAの良いところだと思うので、まずは触ってみると面白いのではないでしょうか。新しいライバルに負けないよう、私も頑張らないとですね(笑)。

※本インタビューは猫だらけのコワーキングスペース「ネコワーキング」で行った。猫が足元を全力疾走している中でのインタビューは、なかなか刺激的であった。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る