日本オラクル、エンジニアド・システムで需給予測・計画と業績予測の確度を高めるアプリケーション群を発表:製品動向
日本オラクルは、高速・高信頼をうたう「エンジニアド・システム」を生かすアプリケーション製品をリリース。需給計画、ロジスティクス計画のシナリオ策定を高速化する狙いがある。
2013年9月17日、日本オラクルは、自社が展開する「エンジニアド・システム」(垂直統合システム)を基盤とした、企業サプライチェーン管理・計画業務向けのアプリケーションの提供を開始した。
サプライチェーン管理・計画では、膨大かつ大量のトランザクションが発生する基幹システムの情報を基に、品目や地域ごと、販売会社ごとなどの多様な軸による集計・分析を行う必要がある。こうした目的に対して、自社チューニングを施したエンジニアド・システム上にアプリケーションを用意することで、処理性能を高めることが狙いだ。
サプライチェーン管理・計画においては、納入部品の品目や数量の他に、原価や収益予測など「金額」に関する情報も併せて計算する必要がある。また、国際的な原材料・部品取引においては、関税や為替、輸送方法など、多様な要素を加味して予測する必要がある。このため、需給予測や供給計画策定と事業計画は、多様なシナリオをシミュレーションして検討できることが望ましい。
今回オラクルが発表した製品はこうした市場ニーズに即した4製品だ。
原価計算処理を実行、シミュレーションする「Oracle In-Memory Cost Management」は、複雑なBOM情報を持つ製品の原価計算、為替や材料価格変動、市場動向など、多様なファクタを組み込んだシミュレーションを実行できる。
配送や倉庫計画などのシミュレーションを行う「Oracle In-Memory Logistics Command Center」では、物流計画についてのシミュレーションを高速実行する。複数シナリオによる計画・予測を作成し、コストやCO2排出量、リードタイムなど、定義済みKPIを基に、各シナリオを比較検討できる。
POS情報などを基にデマンド主導の計画をシミュレーションする「Oracle In-Memory Consumption Driven Planning」では、顧客の購買情報などを基にした需要トレンドをシミュレーションできる。事業全体での分析のほか、日次・店舗ごとの販売計画や補充計画など、比較的粒度の細かな計画作成にも対応する。
地域や組織といったセグメントを横断したサプライチェーン計画処理を実行する「Oracle In-Memory Performance Driven Planning」では、地域・組織・品目別で組織横断的な分析が可能であり、部門間共通のサプライチェーン計画策定による効率化を検討する際に有効だ。
これら製品の対象となる分野では、いずれも、企業グループや販売会社を含む長大なサプライチェーンを横断的に多様な軸で分析し、複数のシナリオを検討する必要があることから、システム基盤には計算速度と精度が重視される。
このため、今回発表となったアプリケーション群は、いずれもオラクルが提供するエンジニアド・システムである「Oracle Exadata Database Machine」「Oracle Exalogic Elastic Cloud」「Oracle Exalytics In-Memory Machine」での運用を前提としている。
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