日常業務の中で自然にアナリティクスを実践。Analytics 3.0時代を加速するオラクルのビッグデータアナリティクスソリューション:データ分析を現場の武器にするための道具立てとは?(3/4 ページ)
企業に日々蓄積されていく大量かつ多様なデータ。それらを業務の中でスピーディーに分析/活用し、ビジネス上の成果を得ていくためには、従来と異なるアプローチが必要だ。その考えの下、アナリティクスを現場の武器に変えるべくオラクルが提供しているのが各種のビッグデータアナリティクスソリューションである。[ビッグデータ][Big Data]
Oracle Spatial and Graphが支えるガーミンのバーチャル自転車レース
一方、「Oracle Spatial and Graph」も、業務の生産性や顧客サービスの向上に直接的に寄与するテクノロジである。
「今日、世の中にある情報の約8割は位置情報にひも付いていると言われますが、人/モノ/位置情報の関係性は非常に複雑です。これまでは、それらを一括して効率的に管理できるプラットフォームが存在せず、そのことが位置情報の有効利用を阻害してきました。そうした状況を劇的に変えつつあるのがOracle Spatial and Graphに他なりません」(犬塚氏)
Oracle Spatial and Graphは、人/モノ/位置情報の関係性を一元的に管理し、高度な分析と可視化を行うためのツールであり、その特徴は大きく次の3点に集約できる。
- 特徴1 位置情報と多様な情報を組み合わせた分析を支援
- 特徴2 位置情報の高度な活用に必要となる分析関数を提供
- 特徴3 Oracle Databaseの高い処理性能を生かした高速分析を実現
これら三つの特徴を併せ持つOracle Spatial and Graphは、オラクルが長年にわたって開発に力を注いできたテクノロジであり、これを業務の効率化や顧客サービスの向上、製品の付加価値創出に役立てている企業は少なくない。
例えば、自転車用ナビゲーションシステムなどの開発/販売を手掛ける米ガーミン(Garmin)は、Oracle Spatial and Graphを用いて、自社製品ユーザーの走行データを収集/蓄積/分析するサービス「Garmin Connect」を展開している。
このサービスは、多彩な分析軸(走行経路、走行距離、時間、心拍数など)でユーザーの走行データを分析し、その結果を提示するというものだ。また、自分の走行データと同じコースを走る他のユーザーのデータと比較し、リアルタイムに順位付けするバーチャルレースサービス「Garmin Segment」も提供している。このサービスを実現するために、ガーミンは40億マイルにも及ぶ世界中のユーザーの走行履歴データを蓄積しており、そのデータ量は40Tバイトから50Tバイトに達するという。
また、Garmin Segmentには「コースアウトがなったかどうか」といった走行データの妥当性を判定する仕組みや、GPSの誤差を調整する仕組みなどが組み込まれている。これらの仕組みでOracle Spatial and Graphの機能が使われており、それによってユーザーは常に公正なレース結果を得ることができる。レースが公正に行われればサービスの信頼性が高まり、それが既存ユーザーの離反防止や新規ユーザーの獲得につながる。公正なレースが行えることこそ、Garmin Segmentが成功している理由の一つなのである。
Garmin Segmentの高いサービス品質の実現には、Oracle Spatial and Graphに備わるGPSデータの重複を排除する機能や、GPSデータの欠落を補塡(ほてん)する機能も貢献している。GPSデータは5秒〜10秒間隔で取得されるが、(通信状況などの影響で)ほとんどの場合、データには欠落が生じる。Oracle Spatial and Graphでは、その欠落部分のデータを前後のデータから自動的に推測して補完する関数が用意されている。そのため、「保持データ量の削減」と「精度の高いデータの利用」の両立を実現できるのである。
グラフデータベースで、人/モノ/位置情報の関係性をセマンティックに管理/可視化する
ガーミンの事例はOracle Spatial and Graphの位置情報分析機能によって自転車向けサービスの付加価値を高めたケースだが、同製品のもう一つの機能である「グラフデータベース」も、さまざまな領域で活用することができる。
実際、Oracle Spatial and Graphのグラフデータベースを利用すると、企業は社内外のさまざまなデータを意味的に関連付け、それを基にして検索を行うといったことが可能になる。つまり、人やモノ、位置情報に関する各種データの間にどのような関係性があるのかを一括して管理し、「特定の関係にあるデータだけを全て引き出す」といったことが行えるのである。
こうしたデータ管理は、従来のリレーショナルデータベース(RDB)によって行うことも不可能ではない。ただし、データ間の意味的な関連性は、データの活用シーンやデータの種類、規模などに応じて増大していく。RDBを利用する場合、それに応じてスキーマやテーブル構成を適宜変更しなければならず、管理に膨大な手間とコストが掛かってしまう。
それに対して、Oracle Spatial and Graphのグラフデータベースの場合、人やモノ、位置情報を表す「ノード」を「エッジ」によって結び付け、そのエッジに特定の意味を付与するだけでノード間の関係性を柔軟に管理できる。これにより、例えばソーシャルネットワークにおけるユーザー間の関係性や企業内に散在するデータの関係性を一括して管理し、「関係ネットワーク」として可視化するといったことが容易に行えるようになる。もちろん、物流における最短経路の割り出しなどでも、Oracle Spatial and Graphのグラフデータベースは威力を発揮する。
「大量のデータへの対応」という点でも優れた特徴を備える。Oracle Spatial and Graphを使うと、1兆レコードを格納可能なグラフデータベースモデルを構築できるのだ。「オープンソースのソフトウエアも含めて、ここまで大量のレコードを格納可能なグラフデータベースモデルを作れるのはOracle Spatial and Graphだけでしょう」と犬塚氏は胸を張る。
また、Oracle Spatial and GraphはW3Cが策定するRDF(Resource Description Framework)に準拠したデータモデル(RDFセマンティックグラフ)に対応する他、「Oracle Database Enterprise Edition」上でグラフデータベースモデルを作ることもできる。
提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2015年8月30日
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.