キョーテイ、オワハラ、内々定、研究室推薦――スタート前に知っておきたい「就活のジョーシキ」:就活のトリセツ(1)(2/3 ページ)
IT業界への就職を考えている学生のために就活のイロハを伝授する連載「就活のトリセツ」。第1章は、押さえておきたい「就活のジョーシキ」を手ほどきしよう。
3月解禁で念願の内定ゲットは10月!?
ルール的に見れば、3月1日の解禁に合わせて一斉に就活がスタートし、10月1日以降にゴール、ということになる。理想的に進んでも就活期間は7カ月。結構長い道のりに見えるだろう。しかし就活期間は人によって大きく異なる。短い人なら1カ月、長い人だと1年以上だと言われる。
どうしてこんなに差が出てしまうのだろう。
就活は短ければいい、というものでもないが、実際期間が短いと学生生活への支障は少なくなる。特に学生生活の後半は、学業面でもサークル活動でも成果を出す時期と重なるので、就活期間の長短は大きく影響する。
例えば就職情報が出そろった4月に活動を開始し、説明会への参加を集中的に行って、候補を絞って応募。ゴールデンウイーク明けに面接を受けて、5月半ばには内々定をゲットする。このように約1カ月という短期決戦で就活を終了する学生もいる。
ここで疑問を持つ学生も多いはずだ。「選考活動は8月1日以降って書いてあるのに、面接時期が早過ぎる!」「内々定って何? 内定とどう違うの?」と思うのがフツーだろう。ここがルールの難しいところだ。
説明してきた通り、就活のルールは「経団連」が定めているのだが、経団連というのは大手上場企業が加盟する経済団体であり、大半の中堅中小企業や外資系企業などは参加していない。
つまりこのルールは、法律ではないし(守らないと罰則があるような)拘束力もない、一団体が定めた方針にすぎない。となると、ルールとは関係なく採用活動を進める企業が数多く出てくる。同時に、優秀な学生を獲得すべく、大半の大手企業が3月の解禁以降、水面下で採用活動を進めている、というのが実態なのだ。
早い企業だと、4月に入って面接などの選考活動を積み重ね、ゴールデンウイーク明けには、優秀な学生に内定を実質的に約束する「内々定」を出している。学生にとって希望企業からの内々定であれば、そこで就活は終了となる。しかし早期に内々定をもらうと、「もっといい企業から内々定をもらえるかも」と考える学生も多い。そこで内々定をキープしながら、さらに就活を続ける学生も出てくる。
しかし内々定を出した企業からすると、「もう就職活動は終えて当社に入社すると決めてほしい」と思うのが本音。そこで「もう就活は終わってね」コールを送ってくる企業も出る。これがエスカレートすると「就活終了して当社に入社することを書面で提出してください」や「内々定者懇談会に出席してくれないと内々定を取り消すことになります」など、あの手この手で決断を迫ってくる。このような要望を示す行為を「就活オワりなさい、というハラスメント」、略して「オワハラ」と呼ばれている。
先の指針では、その第1項に「学生の自由な就職活動を妨げる行為(正式内定日前の誓約書要求など)は一切しない」と明記し、このような行為を慎むよう企業に通達している。しかし拘束力がないこともあり、各大学の「キャリアセンター」(※3)には、オワハラに苦しむ学生からの相談が年々増加しているという。
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