既存アプリの改修なしでOLTPとリアルタイムアナリティクスを高速化する「Oracle Database In-Memory」:データベースクラウドに求められる3つの要件(3)(1/4 ページ)
Oracle Database上に集約した統合データベース基盤上では、OLTPやデータ分析など、さまざまな処理が行われることになる。それらの処理をさらに高速化し、データのリアルタイム活用を推し進めたいという企業に向け、オラクルは「Oracle Database In-Memory」を提供している。[プライベートクラウド/データベース統合][高可用性/災害対策][Oracle Database 12c]
データ量の爆発的な増加が続く。その効率的な分析基盤の整備が急務に
近年、さまざまなモノをインターネットに接続し、そこから得た情報を通して新たな価値を作り出す「IoT(Internet of Things)」がIT活用の一大領域として注目を集めている。例えば、モバイル端末や各種センサーから情報を集めて分析することによって、これまで得られなかった知見を得ようというわけだ。また一方で、マーケティングや営業などの部門ではSNS(Social Networking Service)などソーシャルサービスの活用が広まっている。これらの動きも背景に、現在、企業が扱う情報の量は爆発的に増加しているが、この膨大な情報の分析を滞りなく高速に処理する際、求められる技術が「インメモリ処理」である。
こうした状況を受け、オラクルはOracle Database 12cでインメモリ処理を実現するソリューションとして「Oracle Database In-Memory」を提供している。オラクルが同ソリューションを開発する中で目指したのは、リアルタイムアナリティクス処理を現在の100倍、OLTPを2倍に高速化し、既存のアプリケーションを変更することなく使えて、最新世代のハードウェアを有効に活用することである。
ロー型とカラム型を共存させる独自技術でリアルタイムアナリティクスとOLTPを同時に高速化
リアルタイムアナリティクスとOLTPを同時に高速化するためにOracle Database In-Memoryで採用されているのが、ロー型とカラム型の両フォーマットをメモリ内に保持する「インメモリデュアルフォーマット」だ。
ロー型とカラム型はデータベースの主要なフォーマットであり、前者はOLTP処理、後者はアナリティクス処理(OLAP)、つまり集計や分析処理に適している。データベース処理において、OLTPとOLAPはシーソーのような関係にあり、いずれかの性能を向上させると、それによるオーバーヘッドでもう一方の性能が低下するというトレードオフが生じる。そのため、OLTPとOLAPを1つのデータベースで共存させるのは難しいというのが、これまでの常識であった。
これに対して、Oracle Database In-Memoryでは、メモリ内に両フォーマットを保持し、処理内容に応じてロー型とカラム型を使い分けるというアプローチを取っている。これにより、OLTPとOLAPの性能を同時に高めているのだ。
このインメモリデュアルフォーマットは、オラクル独自の技術である。他のインメモリデータベース製品では、最初にロー型とカラム型のいずれかを選択しなければならない。つまり、システム構築時に処理内容を想定する必要があり、また前述したようにOLTPとOLAPはトレードオフの関係にあるため、処理内容によっては十分なパフォーマンスを得られない可能性がある。しかし、Oracle Database In-Memoryでは、オプティマイザが常に最適なフォーマットを使って処理するため、事前にフォーマットを指定する必要はなく、OLTPとOLAPのいずれの処理でも高いパフォーマンスが得られるのだ。
メモリへのデータロードを待つことなく、すぐにアクセス可能
メモリへのデータロード(ポピュレート)が完了する前にデータベースに対してクエリを発行できることも、Oracle Database In-Memoryを利用する大きなアドバンテージだ。他のインメモリデータベース製品では数十分から数時間を要するポピュレートが完了するまでアクセスを待たなければならず、システム運用に際しては、その時間を考慮して計画を立てる必要がある。
これに対して、Oracle Database In-Memoryでは両フォーマットを同時に保持する強みを生かし、ポピュレート中でもロー型へのアクセスを可能にすることで、データベース処理が行えるようにしている。処理内容によってはポピュレート完了後のアクセスよりも速度が低下する可能性があるが、ポピュレートの完了を待つ必要がない点は、システム運用の柔軟性を高める上で大きな意味を持つだろう。
必要なデータだけをインメモリ処理の対象にできることも、Oracle Database In-Memoryの特徴だ。他のインメモリデータベース製品の中にはアクセス頻度にかかわらず、全てのデータをメモリ上に展開するものもあるが、それでは巨大なメモリ空間が必要となる。Oracle Database In-Memoryではパーティションやマテリアライズドビューの単位でのインメモリ化が可能であり、メモリを効率良く使用できる。
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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2016年3月15日