Oracle Database 12cを核としたオラクルのクラウド戦略はなぜOPEX削減にも効果があるのか:12cへの移行がクラウドのメリットを最大化する(1/2 ページ)
製品名にクラウドの名を冠した「Oracle Database 12c」が、さらなる進化を続けている。オラクルのハイブリッドクラウド戦略で核となる同製品が指向する次世代のデータ管理アーキテクチャとは、どのようなものなのだろうか?[パブリッククラウド][プライベートクラウド/データベース統合][Oracle Database 12c][Oracle Cloud][Oracle Mutitenant][Oracle Enterprise Manager]
オラクルのデータ管理ソリューションはどのように進化していくのか?
オラクルは現在、クラウドの開発に膨大な投資を続けており、その技術とサービスラインアップを急速に拡充している。なかでもオンプレミス製品をPaaS(Platform as a Service)として提供する「Oracle Cloud Platform」は、オラクル製品を利用するユーザーのメリットをさらに高めるものとして注目を集め、中核となるデータベースサービス「Oracle Database Cloud Service」の活用が国内でも進みつつある。
クラウド時代が本格化する中、Oracle Databaseを核にしたオラクルのデータ管理ソリューションは今後、どのように進化していくのか。その方向性をつかむために、日本オラクルが2015年12月に開催した「Oracle Cloud Days Tokyo」で米オラクル データベースサーバ技術担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのアンディ・メンデルソン氏が実施した基調講演の内容を振り返ってみたい。
ご存じの通り、2013年にリリースされたOracle Database 12cでは「マルチテナントアーキテクチャ」が導入され、個々のデータベースの独立性を保ちつつ、効率的な集約と統合管理を行うことが可能になった。具体的には、「プラガブルデータベース(PDB)」によって迅速なプロビジョニングやクローニング、サーバ間での柔軟なデータベース移動が実現。CPUやストレージ、メモリなどのリソースに対する独立性を保ちつつ、それらを複数インスタンスで効率的に使用するための技術基盤が整った。
このOracle Database 12cが追求する「マルチテナント」「俊敏性」「柔軟性」といったテーマは、当初よりクラウドへの展開を強く意識したものであった。メンデルソン氏は、「Oracle Database 12cは、まさにクラウドのために設計されたデータベース」だと強調する。
ここで、あらためて、クラウドに対するオラクルのビジョンを確認しておこう。そのコンセプトは極めて明快であり、要約すれば次のようになる。
クラウドに対するオラクルのビジョンとは?
従来オンプレミスで利用されてきた「全てのオラクル製品」をクラウドに対応させるとともに、それらをベースにしたクラウドサービス(PaaS)をOracle Cloud Platformとして提供する。
これにより、オンプレミスとプライベートクラウド、そしてパブリッククラウドが全て同じアーキテクチャで実装可能となる。このため、企業はオンプレミスかクラウドかを意識することなく、これまでに蓄積したアプリケーション資産やデータ資産を自由に配備し、同じスキル/ノウハウで運用できるようになる。
実際にメンデルソン氏の講演では、統合管理ツール「Oracle Enterprise Manager 12c Cloud Control」を用いて、オンプレミスにあるPDBを、管理画面上の簡単な操作によって瞬時にクラウド上に移せることが示された。
ラインアップ強化で適用範囲が広がるOracle Database Cloud Service
このように、企業が既存資産を生かしながらクラウドを活用するための技術的な環境が整いつつある一方で、国内ではクラウドの本格導入に二の足を踏む企業がまだ少なくない。その主な理由として、クラウドの「セキュリティ」に対する不安や法制度などの「規制」が挙げられる。だが、こうした状況もいずれ大きく変わるとメンデルソン氏は見ている。
「今後数年のうちに、一般的なデータセンターよりも、クラウドの方がセキュリティに関する評価が高くなるでしょう。オラクルは、その前提で環境整備を進めています」(メンデルソン氏)
パブリッククラウドのセキュリティに関して、オラクルは自社が確実かつ堅牢な「データセキュリティ」を提供し、ユーザー企業がデータへのアクセスを「コントロール」するという責任分掌の仕組みを提案している。クラウドに送信/保管されるデータは全て暗号化して秘匿性を高め、ユーザー企業側において暗号化のためのキーや監査証跡を正しく管理することで、適切なアクセスコントロールを行う。それを実現する技術として、オラクルは豊富な実績を誇る「Oracle Key Vault」や「Oracle Audit Vault」などをクラウドに対応させるという。
こうした環境が整うことで、Oracle Database Cloud Serviceの適用範囲はこれまで以上に大きく広がる。メンデルソン氏は、次のようにさまざまな用途でクラウドのメリットを享受できると説明している。
- アプリケーション開発
- データベースアプリケーションのテスト
- データベースアップグレードのテスト
- バックアップ
- 本番環境
- ビジネスインテリジェンス、ビジネスアナリティクス
- ディザスタリカバリー(DR)などの災害対策
また、「Oracle OpenWorld 2015」で発表された「Oracle Database Cloud Exadata Service」により、クラウド上でのOracle Databaseの活用範囲もさらに広がる。
「Oracle Database Cloud Exadata Serviceは、パブリッククラウド上でOracle Databaseに最高のパフォーマンスと管理性を与える極めて重要なサービスです。これこそ、データベースに対するハイエンドのニーズに対応したサービスであり、Amazon Web ServicesやMicrosoft Azureでは決して提供できないものでもあります」(メンデルソン氏)
Oracle Database Cloud Exadata Serviceは、ミッションクリティカルなシステムや大規模な統合データベース基盤で広く利用されているOracle Exadataを、パブリッククラウドサービスとして提供するものだ。Oracle Database向けに特別に設計された専用ソフトウェアと最適なハードウェア構成による高いパフォーマンスとスケーラビリティはもちろん、「Oracle Real Application Clusters(RAC)」や「Active Data Guard」による信頼性や可用性などの面でも、オンプレミスのOracle Exadataと完全に同等のスペックを実現している。これをパブリッククラウドサービスとして利用することで、重要な業務をクラウド上にシフトするに当たり、パッチ適用やアップグレード、バックアップなどを含む運用管理作業の負担を大きく軽減できるというメリットが得られる。
Oracle Database Cloud Serviceには、このOracle Database Cloud Exadata Serviceに加えて、開発用途で利用できる無料版の「Free」、中小規模の企業や部門規模での利用に向けた「Express」「Standard」、そして大規模アプリケーションでの利用が可能な「Enterprise」といったメニューがラインアップされている。こうした豊富なラインアップにより、Oracle Database Cloud Serviceはエントリーレベルからミッションクリティカルなシステムまで、企業の全てのワークロードをカバーしているのである。
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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2016年4月14日