インダストリー4.0時代を見据えた日本精工のIT戦略とは:「売上高1兆円」を支え、円滑に動かすIT基盤(2/3 ページ)
システムごとにサイロ化/個別最適化が進んだITインフラを全社統合し、ガバナンス強化、コスト削減、安定運用を図る──日本精工が中期経営計画の下で進めるITインフラ全体最適化において、データベースの統合基盤に選ばれたのは「Oracle Exadata」であった。[プライベートクラウド/データベース統合][Engineered System]
ノンチューニングで約60%の性能改善 多くの部門がOracle Exadataへの移行を希望し、ITガバナンスをスムーズに強化
このように、日本精工は「ITガバナンス強化」「コスト削減」「安定運用」という3つの観点からOracle Exadataの導入を決めたわけだが、それぞれにおいて、具体的にどのような効果を得たのだろうか。
まずITガバナンス強化については、Oracle Exadataの高い性能が大きな効果を発揮したようだ。
「やはりOracle Exadataは他のプラットフォームと比べて格段に速いですね。そのため、多くのシステムのオーナー部門がOracle Exadataへの移行を希望しました。これによってITインフラの集約化がスムーズに進み、結果としてガバナンスの強化を図ることができました」(吉澤氏)
実際に、グローバル販売システムはノンチューニングで最大約60%もの性能改善が見られたという。データベースがボトルネックとなってレスポンスの低下などの問題が生じているシステムが多い昨今、この数値が持つ意味は極めて大きい。ただし、吉澤氏は「ネットワークトラフィックの影響などにより、思い通りに性能が改善しないケースもある」と指摘し、レイヤー全体を見渡して最適化することが必要だと説いた。
コスト削減効果については、「ハードウェアやOSを個別に調達する場合と比べて、初期導入コストを約60%削減できることが分かりました」とした上で、「運用が進めば、Oracle Exadataの優位性はさらに増していくでしょう」と期待をにじませる。
専用サポートサービスと周辺ソリューションも活用して万全の運用環境を構築
ITガバナンスの強化とコスト削減を実現できたとしても、安定した運用が行えなければ、基幹業務を支えるシステムのインフラとしては心もとない。その点を考慮し、日本精工では「Oracle Platinum Services」と「Oracle Active Data Guard」、そしてオラクルのセキュリティソリューションを組み合わせて信頼性の高いITインフラを実現している。
Oracle Platinum Servicesは、Oracle Exadataをはじめとするオラクルのエンジニアドシステム向けに提供されているサポートサービスであり、リモート監視障害やアップデートサービスなどを受けることができる。仮にシステム障害が発生したとしても、オラクルによるプロアクティブな監視によって即座に通知を受けられるため、迅速な対応が可能になる。また、パッチ適用サービスも含まれていることから、Oracle Exadataを常に最新の状態に保てることも大きなメリットだ。
日本精工が災害対策として導入したのが、データベース連携ツールの「Oracle Active Data Guard」である。同社は本番環境として使用している第1データセンターのOracle Exadataに加えて、遠隔地の第2データセンターにもOracle Exadataを設置し、両者をOracle Active Data Guardによって同期している。これにより、災害などの影響を最小限に抑え、安定したシステム運用を実現した。
新たなデータベース基盤では、セキュリティにも十分に配慮している。その背景について、吉澤氏は次のように説明する。
「昨今、企業の機密情報を扱うデータベースから顧客の個人情報を抜き出される事件が起きるなど、セキュリティリスクが高まっていると感じています。そこで、オラクルのセキュリティソリューションを利用して、データベースの暗号化やアクセスログの監査などを行い、より安全性を高めるための取り組みを進めています」(吉澤氏)
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アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2016年4月23日