「使わない手はない!」 朋和産業はOracle Enterprise Managerによりデータベースの安定稼働とコスト削減を実現:安定稼働の秘訣は“SQLの継続的な改善”(3/3 ページ)
朋和産業はOracle Database Applianceの導入を機に、システム統合管理ツールとして「Oracle Enterprise Manager」を導入。SQLチューニング・アドバイザを効果的に利用し、基幹データベースの安定稼働を実現している。同社 情報システム部長の野上博司氏は、「このツールを活用すれば、Oracle Databaseのコストを抑えて安定運用できる。使わない手はありません」と話す。[パフォーマンス改善][運用管理効率化][高可用性/災害対策][Oracle Enterprise Manager][Engineered System][Data Integration]
可用性向上とデータ分析効率化のために2つのソリューションでデータベースを同期
朋和産業がデータベースの安定稼働のために活用しているのは、Oracle Enterprise Managerだけではない。可用性向上とデータ分析業務の効率化を図る目的から、「Oracle Active Data Guard」と「Oracle GoldenGate」という2つのデータ同期ソリューションも利用している。
Oracle Active Data GuardはOracle Databaseの全データの同期を実現するソリューションであり、主にデータベースの災害対策や負荷分散などの用途で使われている。Oracle GoldenGateもデータベース間のリアルタイムデータ連携を実現する製品だが、こちらは異種バージョン/プラットフォームや他社データベース間のデータ同期もサポートする。一部のデータだけを同期することも可能なため、分析用データの切り出しなどを目的としたデータ連携にも使われる。
朋和産業では、新たに導入したX5を本番系、既存のV1を待機系とし、両者間でデータを同期することによって災害対策を実現した。このX5とV1のデータ同期にActive Data Guardを利用している。また、同社は北海道札幌市にバックアップサイトを持つが、同サイトのOracle DatabaseはStandard Editionであるため、こちらはOracle GoldenGateを使ってX5との間でデータ同期を行っている。
こうして用途に合わせたソリューションにより可用性向上や災害対策を実現しているほか、パッチ適用時には一時的に待機系に切り替えて運用系をアップグレードするローリングアップデートも実施。Oracle Active Data GuardとOracle GoldenGateを活用し、文字通り“止まらないデータベース”を実現しているわけだ。
加えて、朋和産業ではOracle GoldenGateをデータウェアハウス(DWH)構築の用途でも活用している。一般に、DWHの構築では、基幹システムとの間でデータをどのように同期するかが大きな課題となる。基幹システムの性能に影響を与えることなく、極力リアルタイムにデータを同期することが求められるからだ。同社では、X5上に生産系データベースと経理系データベース、DWH(データ連携基盤)の3つのインスタンスを統合しており、生産系/経理系からDWHへのデータ同期にOracle GoldenGateを活用。生産系/経理系システムの処理性能に影響を及ぼすことなくリアルタイムなデータ連携を実現した。
もはや不可欠。Oracle Enterprise Managerが朋和産業のデータベース運用を変えた
このように、朋和産業ではOracle Databaseのオプション機能も駆使しながらデータベースの活用と安定稼働に取り組んでいるが、その中でOracle Enterprise Managerは極めて大きな役割を果たしていると野上氏は話す。
「もしシステムが停止してしまったら、工場の生産活動に多大な影響が生じるため、データベースを止めることはできませんし、障害やスローダウンが発生してから対策を検討していたのでは間に合いません。そのため、常にシステムの状態を監視し、問題が起きそうな時は早急に対策を打つことが求められます。その中で最も重要な“データベースの状態監視”を行ううえで、Oracle Enterprise Managerは不可欠なツールとなっています」(野上氏)
Oracle Enterprise Managerを導入する前は、データベースサーバのパフォーマンス不足もあり、性能改善を目的としたサービス停止が頻繁に発生していた。原因を探ろうにも、開発環境ではデータ量の違いなどから再現せず、またプログラムを頻繁に修正することもできないため、対策を打てなかったという。そのため、生産活動への影響を極力抑える目的から、深夜にシステムを停止してExport/Importでデータを入れ替え、データベースのパフォーマンス低下を改善する作業を行っていたのだ。野上氏は、「この作業のために、何度も徹夜しました」と振り返る。データベース運用の負担はそれほど大きかったのである。
しかし、Oracle Enterprise Managerを導入したことで、Active Session HistoryやSQLチューニング・アドバイザを使って問題が発生する前に適切な手を打てるようになり、「精神的にも非常に楽になりました」と野上氏は明かす。
「たとえ安定稼働しているように見えても、新機能のリリースやデータ量の増加、検索条件の変化によって性能は変化していきます。安定しているようでも、実は無駄なリソースやコストを使っているかもしれないのです。データベースの稼働状況を可視化し、自動機能を活用してチューニングしていくことにより、驚くほど低いリソースで運用を続けられます。それに要する手間も、毎朝行う数分間のチェックだけで済みます」(野上氏)
データベースのパフォーマンス劣化はシステム全体の性能に大きな影響を及ぼし、業務に多大な支障を来すことも少なくない。システム/業務を常に安定運営していくために、データベースの継続的なチューニングは不可欠な取り組みだ。しかし現実には、問題のあるSQLを特定し、人手によって適切にチューニングを行うのは難易度が高く、負担の大きい作業である。そのため、多くの企業はハードウェアの増強により、この問題の解決を図っている。だが、それではシステムの処理量が増えるのに伴い、ハードウェアやソフトウェアのコストが肥大化していくばかりである。
この課題に対し、朋和産業は“Oracle Enterprise Managerの活用”という策で臨み、継続的に大きな成果を得ることに成功した。「データベースの安定稼働とコスト削減の両立」という課題に悩む多くの企業にとって、同社の取り組みは1つの模範例だと言えよう。
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