島根編:就業も支援! コミュニティーも支援! 呑み会も支援! ――八面六臂の“おせっかい”ぶりを発揮する、松江のスーパー公務員トリオ座談会:ITエンジニア U&Iターンの理想と現実(14)(2/4 ページ)
「本気」と書いて「マジ」と読む――U&Iターンの理想と現実をお届けする本連載。島根編第3回は、U&Iターンエンジニアたちに大人気のスーパー公務員たちをお招きして座談会を開催しました。
スーパー公務員はいかにして誕生したか
羽角 「杉原・福田は島根のスーパー公務員コンビ」という話をよく聞きます。お二人のなれ初めを教えてもらえますか?
佐藤さん なれ初め(笑)。
福田さん 始まりは2006年です。松江市の人口が初めて減少に転じました。当時の松江市役所は観光振興が中心で、産業振興にはあまり取り組んでいなかったのですが、当時松江市の産業振興を担当していた田中哲也という私の元上司が、Rubyに注目した地域おこしを考えついたんです。「Ruby City MATSUE プロジェクト」の始まりです。
杉原さん そして2008年、「島根でRubyの国際イベントをやりたい、島根がRubyの聖地だよねって発信できるイベントをやりたい」と思って、「RubyWorld Conference」の準備を始めた。
羽角 すごいな。杉原さんがカンファレンスの仕掛け人なんですか?
杉原さん いえ、裏方です(笑)。次に関わったのは「Rubyアソシエーション(以下「RA」)」の強化です。「RAの拠点を松江に置こう!」と。2011年のことです。
ちなみに私は県の職員で、福田さんは市の職員です。県と市が協力してRAを支援しようとなったとき、松江市の課長だった田中さんから「松江市は何をしようか」と聞かれたので、「福田くんを差し出してください」と(笑)。
福田さん 私はそこから深く関わっていくことになりました。杉原さんのせいですね(笑)。
杉原さん 県と市という別の立場でIT産業振興に関わっていたのですが、たまたま同時に島根県の東京事務所に転勤になって、一緒にIT企業の誘致を担当しました。IT企業が島根県の誘致対象の大きな柱になり、エンジニア不足が課題になり始めたころです。
福田さん 全国的なエンジニア不足ではあるものの、国が地方創生を掲げ、震災後に価値観が大きく変化していくタイミングだったこともあって、誘致やU&Iターンへの追い風を感じました。企業誘致とエンジニアのU&Iターンの両輪を進めるために、二人でいろいろ取り組みました。
3号機はイベント番長
羽角 スーパー公務員の初号機が杉原さんで、福田さんは2号機ですね。そしてニューフェースとして最近異動してきた3号機が松江市役所の佐藤さん。
杉原さん 佐藤くん、U&Iターンしたエンジニアたちを自宅に招いてお酒を飲む定例会をやってるよね? Facebookの写真で見たけど楽しそうだよね。そもそもどうやって始まったの?
佐藤さん ある日、王祿(おうろく。島根県の有名な日本酒)を自宅で飲みながら写真をFacebookにアップしていたら、羽角さんが「飲みたい」ってコメントをくれて。羽角さんとそんなに親しくなかったけれど「うちに来ますか?」って返信したら、本当に来て。ふつう来ないですよね(笑)。
そうしたら「ミラクル・リナックス」の押田さん(※)が「私、呼ばれてませんけど」と言い出して。「じゃあ、次はちゃんと集まってやりましょう」ってなったんです。
杉原さん そして「お勤め開発」ね。なぜ、やることになったの?
羽角 佐藤さんの実家のお寺でお花見したときに思いついたんです。木魚をたたいて精神統一をしてプログラムを書いたらいい仕事ができるんじゃないかって。
佐藤さん それで「明日、モンスター・ラボさんが実家の寺で開発するんで、サポートのため仕事を休みます」って上司に話したら、「それ業務でいいよ」って(笑)。
羽角 市役所ゆるい(笑)。
福田さん ゆるいっていうか、IT企業のオフィスやU&Iターンするエンジニアが増えてきた。もっともっと進めようとなったときに「U&Iターンしたエンジニアの活動をサポートしたりPRしたりしていくのは立派な仕事だよね」って。お勤め開発も地元の新聞で記事になってPRできたし、少しずつ結果が出始めているから、市役所の中もそういう(活動をサポートする)雰囲気になってきた。
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