秋田編:人口減少は単なる事実、課題は別にある:ITエンジニア U&Iターンの理想と現実(20)(2/2 ページ)
田舎の生活は単調で、仕事もつまらないに決まっている?――秋田県五城目町でクリエイティブな仕事や働き方を模索する若者が考える「協働のポイント」とは?
IT企業は「テーマ」にどう貢献するか
地域のテーマに、IT企業はどのような貢献ができるでしょう。例えば筆者が働くウェブインパクト五城目コア(事業所)でしたら、Pepperが1つのツールとして有効です。
わが社は豊橋コアでPepperを取り扱った実績を受け、ソフトバンクロボティクス社の「ロボアプリパートナー(Basic)」に認定され、「みんなのPepper」というサービスを展開しています。その技術力を使えば、五城目の特性を生かしながら、教育や観光、福祉といった多様な分野でPepperを利活用できるかもしれません。
今はまだ単なる妄想ですが、地域のさまざまなプレイヤーと協働できる状況を作っておけば、チャンスが到来した際にはすぐに行動に移せる予感がします。それも、このBABAME BASEおよび入居企業とのコラボレーションの可能性を筆者が肌で感じているからかもしれません。
田舎で創造的な仕事をするための必須条件
田舎ならではのテーマや話題があり、人々がそれぞれの強みを越境的に持ち寄り合う――これは、五城目町の注目すべき側面です。「自然が豊か」「満員電車と無縁」といった暮らしやすさはもちろんのこと、「創造的な仕事ができる可能性がある」ことも五城目町に移住するメリットです。
逆にいえば、田舎で創発的、共創的な働き方を実現するためには、次の2つが必用です。
- 地域の目指す方向性や掲げているテーマと、自分の興味、関心の領域に重なりがある
- 多種多様な交流を通して柔軟にアイデアを膨らませられるオープンマインドを持っている
田舎でもテーマ性を持ったクリエイティブな働き方ができることを筆者の経験に沿ってお伝えしました。
とはいえ、筆者は田舎暮らしを全面的に皆さんにお勧めするわけではありません。都市部の当たり前と田舎の当たり前は異なりますので、移住後に「こんなはずじゃなかった……」という事態になってしまうかもしれません。次回はこうした「移住のよくある落とし穴や見るべき観点」を紹介します。
@IT式 U&Iターンスタイル
全国各地のU&Iターンエンジニアたちが、地方での生活の実情や所感などをセキララに伝えます。Uターン、Iターン、Jターンに興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
ご当地ITライター募集
現在、または元ITエンジニアかIT企業社員、かつ現在住んでいる地域へUターン/Iターン/Jターンし、記事執筆に興味のある方は、下記まで連絡ください。
- @IT自分戦略研究所 代表メール「jibun@atmarkit.co.jp」(@を半角にしてください)
- @IT自分戦略研究所 Facebookページ
- @IT自分戦略研究所 公式Twitter
筆者プロフィール
ウェブインパクト五城目コアリーダー 秋元悠史
秋田県大仙市出身。新卒でIT企業に入社するも、1年半後には縁もゆかりもない島根県海士町に移住。離島で約5年半教育の仕事に携わる。
2016年4月にこれまた地縁も血縁もない秋田県五城目町に移住。「地元を捨てたのか」といじられながら、ウェブインパクトにジョインしながら、個人としても教育事業に携わり、2足の草鞋を履く日々。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 秋田編:ノマド制度を利用して地元に拠点を開設――人口減少の最先端で“余白”に挑め
小学校も中学校も1校ずつ、65歳以上人口45%超の過疎地で何ができるのか……。U&Iターンの理想と現実をつづる本連載。秋田編は五城目町の廃校を利活用したオフィスで創造的な仕事に取り組む男の奮闘記です - 子育て中のエンジニアが、移住先選びでチェックすべき4つのポイント
ダンナが「移住する」と言いだしても、帯同するパートナーには、見知らぬ土地での子育てや人間関係などの不安があります。NPO法人マミーズ・ネットの中條美奈子さんに、地方へ移住する子育て中の家庭が抱えがちな悩みや解決策について伺いました - 長野編:仕事の「数」はある、しかし……既婚エンジニアの移住と長野のIT求人事情
仕事、家族、家、地域との関わり……移住にはさまざまな課題や心配事があります。エンジニアのU&Iターン事情をお届けする本連載、今回はこれまでのキャリアを捨てる覚悟で長野へ移住、転職、独立したITコンサルタントにインタビューしました - 北海道編:ハドソンを覚えていますか?――年収、家賃、IT企業
北海道の生活は自然との闘いなのか、IT企業やエンジニアの求人はあるのか?――U&Iターンの理想と現実をお届けする本連載、北海道編のスタートです - 島根編:就業も支援! コミュニティーも支援! 呑み会も支援! ――八面六臂の“おせっかい”ぶりを発揮する、松江のスーパー公務員トリオ座談会
「本気」と書いて「マジ」と読む――U&Iターンの理想と現実をお届けする本連載。島根編第3回は、U&Iターンエンジニアたちに大人気のスーパー公務員たちをお招きして座談会を開催しました - 沖縄編:ヤギはめったに食べないよ!――沖縄の歴史、言葉、通勤着
沖縄といえば、「ちんすこう」「シーサー」「スピード」「ビギン」「米軍基地」。でも、それだけじゃないんです。U&Iターンの理想と現実「沖縄編」のスタートです! - 岡山編:立ち乗客3人で「すげー満員じゃあ」――岡山の交通、住宅、生活事情
岡山編第2回は、交通事情や住宅情報など、移住検討者が気になる情報をセキララにレポートする - 高知編:はちきん娘がプライベートを大公開――高知の家賃、生活費
高知編 第2弾は、家賃や食費など生活面で掛かる費用について、はちきん娘(土佐弁で男勝りでハツラツとした女性)がセキララにお伝えする。高知をはじめたとした地方への移住を検討するエンジニアの参考になれば幸いだ - エンジニアは、もっと自由に働ける――U&Iターンのススメ
地方への移住を検討するITエンジニアに、全国のご当地ITライターがリアルな情報を届けるポータルサイト、それが「@IT式 U&Iターンスタイル」だ