秘密のWindows Update for Businessショー:その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説(111)(1/3 ページ)
Homeエディションを除くWindows 10では、「Windows Update for Business」が利用可能です。今回は、おそらく多くのユーザーが誤解しているであろう、Windows Update for Businessにおける品質更新プログラムの扱いを、筆者による実際の動作確認に基づいて明らかにします。
実は知られていない、品質更新プログラムの延期設定の本当の意味
「Windows Update for Business(WUfB)」は、Windows 10 バージョン1511(既にサポートは終了)から利用可能になった(Homeエディションは除く)、Windows 10の“新しい更新オプション”です。その仕様や方針は、Windows 10の新バージョンが出るたびに大小の変更が加えられてきました。
「Current Branch/Current Branch for Business」から「Semi-Annual Channel(半期チャネル)」への名称変更は、さまざまな変更のほんの一端を示すものに過ぎません。Windows Update for Businessは企業向けの機能ですが、新バージョンや新しい更新プログラムをすぐにインストールすることによるリスク(未知/既知の不具合の影響)を避けるために、Windows Update for Businessの延期設定を利用しているユーザーもいるのではないでしょうか。Windows 10 Creators Update(バージョン1703)以降では、Windows Update for Businessのポリシー設定を「設定」アプリのUI(ユーザーインタフェース)からも手軽に構成できるようになりました。
企業では、「Windows Server Update Services(WSUS)」による更新管理も引き続き利用できますが、Windows Update for Businessは主にWSUSを導入していない企業向けの機能になります。WSUSは管理者の承認に基づいて、計画的に更新プログラムを配布するものですが、Windows Update for Businessはポリシーベースの延期設定に基づいて更新プログラムの受信を制御します。Windows Update for Businessのポリシーに基づいて、WSUSから更新を受け取るといったことはできません(Windows Update for Businessは常にMicrosoft Updateを検索し、WSUSで承認された更新は全てのPCにインストールされます)。このような勘違いも多いようなのでご注意ください。
Windows Update for Businessでは、年に2回提供されるWindows 10の新バージョンへのアップグレードである「機能更新プログラム」と、毎月提供される「品質更新プログラム」の延期設定が可能です。機能更新プログラムは「半期チャネル(対象指定)」(旧称、半期チャネル(ターゲット指定)、Current Channel)と、「半期チャネル」(旧称、Current Channel for Business)の更新チャネルの選択と、各更新チャネル向けの配布開始から受信するまでの延期日数(0日〜最大365日)を構成できます(延期する際には、各バージョンのリリース後18カ月のサポート期限に注意しましょう)。品質更新プログラムは、延期日数(0日〜最大30日)を構成できます。
Windows Update for Businessのポリシー設定だけであれば、更新チャネルの選択や延期日数の指定による単純なものに見えるかもしれません。しかし、Windows 10 Fall Creators Update(バージョン1709)以降(自動更新についてはバージョン1703から)では、ポリシー設定により品質更新プログラムの一部は延期されるのではなく、インストール対象として検出されなくなることをご存じでしょうか。別の勘違いというか、思い込みが入り込む余地がここにもあります。
突然ですが、ここで問題です
Windows 10 April 2018 Update(バージョン1803)には、2018年5月に2つの累積更新プログラム(OSの品質更新プログラム)がリリースされています。
- 2018年5月9日(水):2018-05 x64ベースシステム用Windows 10 Version 1803の累積更新プログラム(KB4103721)
- 2018年5月24日(木):2018-05 x64ベースシステム用Windows 10 Version 1803の累積更新プログラム(KB4100403)
KB4103721がインストール済みのPC(ビルド17134.48)で、「設定」アプリの「更新とセキュリティ」→「Windows Update」→「詳細オプション」にある「更新プログラムをいつインストールするかを選択する」が以下の画面1のように構成されているとしましょう。このPCで2018年5月25日(26日でも同じ)にWindows Updateの「更新プログラムのチェック」をクリックすると、KB4100403は検出およびインストールされるでしょうか。また、画面2のように構成されている場合はどうでしょうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 今度はWindows 7のWindows Updateでトラブル──でも、解決策はあります!
2017年12月4日ごろから、Windows 7で「Windows Update」を実行できないというトラブルに遭遇しているユーザーが少なからずいるようです。Microsoftによる公式なアナウンスや回避策は今のところないようですが、取り急ぎ、問題を解消できる可能性がある方法を紹介します。 - 年の初めに再確認、2018年にサポートが終了するMicrosoft製品は?
Microsoftは同社の製品およびサービスについて、明確なサポートポリシー(ただし、途中で変更あり)に基づき、更新プログラムを含むサポートを提供しています。2018年は主に10年前にリリースされた製品がサポート終了を迎えます。どのような製品があるのか、年の初めに再確認し、使用していないかどうかを調べておきましょう。 - Windows 10 Fall Creators Updateがやってきた! 急いでアップグレードするその前に……
Windows 10の最新バージョン「Windows 10 Fall Creators Update バージョン1709(ビルド16299)」がリリースされました。「出勤しようとしたら、突然、アップグレードが始まって困った」「早く帰りたいのにPCの電源を落とせない」なんてことにならないよう、まだ準備ができていない、そして、まだWindows Updateで検出されないのであれば、今が備えるチャンスですよ。 - はじめてのWindows 10入門講座――最新OSとうまく付き合っていく方法
本連載では、Windowsユーザーとしての筆者が、日々遭遇する疑問の調査やトラブル解決を取り上げてきましたが、たびたび深入りし過ぎ、一般ユーザーには余計な情報を提供したかもと反省しています。そこで今回は、はじめてWindows 10に触れるという方に向けて、Windows 10とうまく付き合うヒントを紹介します。