Windows 10 May 2020 Update(バージョン2004)で失われた機能まとめ:その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説(167)
Windows 10の新バージョンでは、すぐにドキュメント化されない、あるいは今後もドキュメント化されることがないかもしれない重要な変更が行われることがあります。2020年5月末にリリースされた「Windows 10 May 2020 Update(バージョン2004)」をこれまで使ってきて、筆者が気が付いた、そのような変更点をまとめました。
Windows 10 バージョン2004から削除された機能の公式情報
「機能更新プログラム」と呼ばれる「Windows 10」の各バージョンでは、新機能が追加される一方、以前のバージョンで利用できていた機能が削除される場合もあります。Microsoftの公式ドキュメントでは各バージョンで削除された機能の一覧を確認できます。リリース直後は以下の3つの機能が削除されたことが公開されていました(現在はさらに幾つか追加されています)。
Windows 10に統合されたパーソナルアシスタント「Cortana」
「Cortana」は、独立したユニバーサルWindowsプラットフォーム(UWP)アプリに変更されました。しかし、新しいCortanaアプリは2020年6月末時点でまだβ版で、7月に入ってβ版が取れたばかりであり、ウェイクアップワード(“コルタナ(さん)”)の機能は無効化されている他、以前はできていた多くの操作(アラームのセットなど)はできない状態です。
Windows To Go
「Windows To Go」は、Windows 10 バージョン1903で開発終了(非推奨)となり、「Windows 10 May 2020 Update(バージョン2004)」からは削除されました。
ビルトインUWPアプリとしての「モバイル通信プラン」と「メッセージング」アプリ
これらのアプリは「Microsoft Store」から引き続き入手できます。また、OEMベンダーはプリインストールPCにこれらのアプリをプリインストールして提供することが可能です。
Windows To Goは、「Windows 8 Enterprise」で初めてサポートされたEnterpriseエディション(評価版を含む)限定の機能です。Windows To Goに対応したUSBリムーバブルドライブにWindowsのイメージをインストールすることで、USBリムーバブルドライブからWindowsを起動できます。Windows 10 バージョン1703からはProエディションにも「Windows To Goワークスペースの作成」ツールが搭載されましたが、ワークスペースの作成にはEnterpriseエディション(評価版を含む)のインストールメディアが必要です。
Windowsの新バージョンにアップグレードできないといった制約や、OEMベンダーによるWindows To Go認定デバイスの供給やサポートの終了などを受け、Windows 10 バージョン1903で開発終了扱いとなり、Windows 10 バージョン2004で削除されました。
ただし、削除されたのは「Windows To Goワークスペースの作成」ツール(C:\Windows\System32\pwcreator.exe)であり、Windows 10 バージョン1909以前のツールでWindows 10 Enterprise バージョン2004のワークスペースを作成し、ワークスペースを起動して使用することは可能でした。
つまり、Windows 10 バージョン2004では、Windows To Go環境で動作するための仕組みが完全に削除されたわけではないということです。しかし、Windows 10 Enterprise バージョン2004ベースのワークスペースの使用がサポートされるかどうかは別の話です。公式に削除された機能の一覧に追加されたのですから、サポートされないと考えるべきでしょう(画面1)。
画面1 Windows 10 バージョン1909以前にあった「Windows To Goワークスペースの作成」ツール(pwcreator.exe)は、Windows 10 バージョン2004には存在しない
Windows To Goのように、何がどう削除されたのか、公式ドキュメントの削除された機能の一覧からは分からないこともあります。もっと言えば、一覧に掲載されていなくても、削除された機能もあります。本連載や他の連載、個人ブログでバラバラに書いてきましたので、今回は総括してみます。なお、今回紹介するものの中には、意図的にそうされているのか、意図せず生じてしまった不具合(バグ)なのか判断できないものもあります。
機能/品質更新プログラムのクライアント側延期設定
Windows 10のPro以上のエディションは、「Windows Update for Business(WUfB)」というポリシー設定(グループポリシー、ローカルポリシー、Microsoft Intuneポリシーなど)が利用可能です。管理者はこのポリシーを利用して、機能更新プログラムや品質更新プログラムがリリースされてからインストールするまでの延期日数を設定し、更新サイクルを制御することができます。
Windows 10 バージョン1703からは「設定」アプリの「更新とセキュリティ」の「Windows Update」にある「詳細オプション」を使用して、ユーザー自身が同様の延期設定を行うことを可能にする「更新プログラムをいつインストールするかを選択する」オプションが追加されました。
Windows 10 バージョン2004でもWUfBポリシーは引き続き利用可能ですが、ユーザーが利用できる「詳細オプション」の「更新プログラムをいつインストールするかを選択する」オプションは廃止されたようです(画面2)。
画面2 Windows 10 バージョン1909以前のProエディション以上に存在した「更新プログラムをいつインストールするかを選択する」オプションは(画面左)、Windows 10 バージョン2004からは削除された(画面右)
Windows 10 バージョン1909以前で設定されていた延期設定は、バージョン2004にアップグレードすると消えてなくなりますし、Windows 10 バージョン1909以前で延期設定を保持していたレジストリ値はバージョン2004では無視されます。この変更については、以下の公式ドキュメントの「Windows Update for Business」の項に2020年6月24日に追記されました。
- What's new in Windows 10, version 2004 for IT Pro[英語](Microsoft Docs)
2019年から、機能更新プログラムの自動配布はサポート終了が近いデバイスのみを対象とするように方針が変更され、自動更新に任せている多くのデバイスでは年に1回の機能更新しか行われなくなりました。この方針変更を最大限ユーザーに提供しつつ、かつ混乱を避けるために、「詳細オプション」から削除されたそうです。
なお、このオプションが削除された代わりというわけではないと思いますが、Windows 10 バージョン1803以降のWUfBポリシーには新たに「ターゲット機能更新プログラムのバージョンを選択する」のオプションが追加され、明示的に機能更新プログラムのバージョンのロックやスキップができるようになっています。
Windows Update関連ではこの他にも、PowerShell(Windows PowerShellおよびPowerShell Core)で利用できる「WindowsUpdateProvider」モジュールによるWindows Update関連の操作が、Windows 10 バージョン2004では利用できなくなるということも確認しました。これらの変更点について詳しくは、以下の連載記事をご覧ください。
- Windows 10 May 2020 Update後のWindows Updateに変化あり(連載:山市良のうぃんどうず日記 第183回)
- WindowsUpdateProviderモジュールとWindows Update WMIプロバイダーの廃止によるWindows Update自動化への影響(連載:企業ユーザーに贈るWindows 10への乗り換え案内 第78回)
自動ログオン構成オプションが消えた?
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