456万TPS、応答遅延219ナノ秒の処理性能を持つ RDBMS「劔(Tsurugi)」開発 ノーチラス・テクノロジーズ:「ハードウェアの性能が高まるほどシステム性能も向上する」
NECとノーチラス・テクノロジーズは、処理性能が世界最速レベルのRDBMS「劔(Tsurugi)」を開発した。次世代のデータベースに不可欠なメニーコア、大容量メモリに対応しており、ハードウェアの性能が高まるほどシステム性能も向上する特性があるという。
NECとノーチラス・テクノロジーズは2023年7月10日、リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)「劔(Tsurugi)」を開発したと発表した。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発」で開発したもので「世界最速レベルの処理性能を発揮する」としている。
「多くのRDBMSは性能が低いハードウェア環境を想定して設計されている」
NECとノーチラス・テクノロジーズによると、「多くのRDBMSは旧来の性能が低いハードウェア環境を想定して設計されている。そのため、高性能なハードウェアがあってもそれを生かせず、大量のデータを高速に処理できないことが大きな課題になっていた」という。この課題を解決するため劔が開発された。
両社が実施したベンチマークテスト(「YCSB」(Yahoo! Cloud Serving Benchmark))では、1コアのシステムの処理性能は5万3249TPS(Transaction Per Second)、応答遅延は1万8780ナノ秒。32コアのシステムでは、処理性能は100万4982TPS、応答遅延は1231ナノ秒。112コアでは、処理性能は456万475TPS、応答遅延は219ナノ秒だった。
劔はデータベースの分散化を前提としており、構成要素のほとんどを従来とは異なる方針で実装した。開発に当たっては、実運用に耐える管理システムとしての実地検証も実施。例えば定点観測カメラを用いた人流解析のリアルタイムデータベース処理や、時間がかかる業務系のバッチ処理、3Dモデルを利用した災害対策地理情報システム(GIS)アプリケーションなどで検証し、有効性を確認した。
劔のアーリーアクセス版はすでに公開されており、コミュニティーサイトで申し込んだ希望者に直接提供するという。オープンソース版は2023年9月に提供予定だ。
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