「IaaSの利用が拡大し、市場構造の転換が加速する」 IDCが国内ITインフラ市場を予測:2027年までの年間平均成長率は8.4%
IDC Japanは、国内ITインフラ市場の予測を発表した。2022〜2027年の年間平均成長率を8.4%と見込み、2027年の同市場の売上額を7兆6643億円と予測する。特にIaaS市場が急成長しており、2027年の国内ITインフラ市場に占めるIaaSの構成比は36.8%に達するという。
IDC Japanは2023年8月10日、国内ITインフラ市場の予測を発表した。同社は、2022〜2027年の年間平均成長率(CAGR)を8.4%と見込み、2027年の同市場の売上額を7兆6643億円と予測している。
サービス管理ソフトウェアやマネージドサービスの需要が拡大
クラウドマイグレーションの進展やデジタルビジネスへの取り組み拡大に伴って、IaaS(Infrastructure as a Service)の利用が拡大している。この拡大に伴い、国内ITインフラ市場の市場構造の転換が加速するとIDC Japanはみており、2027年の国内ITインフラ市場に占めるIaaSの売上額構成比を36.8%と予測している。
ITインフラストラクチャサービス市場は、サービスプロバイダー(SP)向けのコロケーションやエンタープライズ向けのクラウド導入コンサルティング/構築の需要が拡大する見込みだ。IDC Japanは「ITインフラのハイブリッド化による運用複雑化の課題が顕在化しており、SP以外の運用サービス(マネージドサービス)に対する需要も高まる」としている。
システムインフラストラクチャソフトウェア(SIS)市場は、パブリッククラウドサービスの環境を運用、管理するための管理ソフトウェアの需要が拡大している。同市場についてIDC Japanは「ライセンス販売からSaaS(Software as a Service)やサブスクリプションなどのリカーリングモデルへと急速に変化している」と分析している。
IDC Japanの宝出幸久氏(Infrastructure & Devices リサーチマネージャー)は、「デジタルファースト時代にビジネス価値を創出するために、多種多様なITインフラの使い分けが進んでいる。今後、AI(人工知能)があらゆるビジネスプロセスに組み込まれる『AI Everywhere(どこでもAI)』化が急速に進むだろう。ITサプライヤーは市場構造の転換に対応して事業戦略を再構築するとともに、統合管理やITインフラコストの継続的な最適化を実現する『FinOps』の支援などを通じて、顧客のデジタルビジネスの継続的な発展を支援すべきだ」と述べている。
なお、本予測における「国内ITインフラ市場」には以下の市場が含まれている。
- エンタープライズインフラ(サーバおよびエンタープライズストレージシステム)市場
- データセンター向けイーサネットスイッチ市場
- SIS市場
- ITインフラストラクチャサービス市場
- パブリッククラウド接続用途WANサービス市場
- IaaS市場
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