「意図的に壊れている権威DNSサーバ」を再現する「IBDNS」をオープンソースで公開 AFNIC:意図的に壊れている環境を再現する理由とは
AFNICは意図的に壊れている権威DNSサーバを再現する「IBDNS」をOSSとして公開した。DNSクライアントやDNSリゾルバがDNS権威サーバからの不正確なメッセージや異常動作にどう対処するかをテストできるという。
.frドメインを管理するAFNIC(French Association for Cooperative Internet Naming)は2024年5月29日(フランス時間)、意図的に壊れている権威DNS(Domain Name System)サーバを再現する「IBDNS(Intentionally Broken DNS)」をOSS(オープンソースソフトウェア)として公開した。
IBDNSはAfnic LabsのGitLabリポジトリで公開されており、ライセンスはGPL v3.0(GNU General Public License Version 3)となっている。
なぜ意図的に壊れている環境を再現するのか
IBDNSは、RFCで定められたDNSプロトコルから意図的に逸脱する、異常なDNS権威サーバの動作を再現するOSSだ。DNSクライアントやDNSリゾルバがDNS権威サーバからの不正確なメッセージや異常動作にどう対処するかをテストできるという。
「DNSテストツールやDNSリゾルバを開発する場合、DNSプロトコルに準拠していない権威DNSサーバとやりとりする際の動作を検証できると便利だ。優れたDNSクライアントは、不完全なメッセージやネームサーバの誤った動作に対して、誤動作せずに処理できなければならないためだ」とAFNICは述べている。
AFNICによると、Internetstiftelsen(スウェーデンのインターネット財団)と共同で取り組んだDNSゾーンの健康評価ツール「Zonemaster」が、IBDNSを開発するきっかけになった。課題となったのは、あらゆる異常を的確に診断できるようにすることだった。
「Zonemasterのテストスイートでは、ゾーンの誤設定を意図的に再現したが、DNSサーバは問題なく動くものだった。この方法は90%の異常に対してうまく機能したが、残りの10%にはより特殊なツールが必要となった。IBDNSを用いることで、インターネット上で観測されるような異常を忠実に再現することができる。これにより、Zonemasterの診断の信頼性や精度を向上させる」
AFNICは「DNSリゾルバやDNSテストツールの開発者、セキュリティ担当者、研究者、そしてDNSの動作に興味がある人はぜひIBDNSを利用してほしい」と呼びかけている。
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