検索
連載

エンジニアはみんな「自分のプロジェクト」を持つべきGo AbekawaのGo Global! ビクトルさん from メキシコ(後編)(2/2 ページ)

「自分でやってみる」ことでしか、本当に学び、成長することはできません。

Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

フィードバックがありがたい

 現在、ビクトルさんは5人のチームで仕事をしている。

 チームメンバーは全員がエンジニアというわけではないが、それぞれ専門分野を持っている。メキシコ人であるビクトルさん、韓国人メンバー、残りが日本人という多国籍な構成である。チーム内は主に英語でコミュニケーションを取るが、「Slack」ではAI(人工知能)による日本語翻訳を活用して意思疎通を図っているという。

 異なる国籍のメンバーと働く上での難しさについて、ビクトルさんは「やはりコミュニケーションですね」と指摘する。

 オフィスで顔を合わせる機会が多く、Slackも活用できるため、通常は問題が少ないものの、ビデオ会議などでは「微妙なニュアンスを、瞬時に伝えなければいけないとき」に難しさを感じることがあるという。

 「日本語や英語のスキルを上げようと思っているのですが、業務に追われて時間がなく、それがちょっと悩みの種です」とビクトルさんは語る。しかしエンジニアである彼にとって、技術的な内容のコミュニケーションには問題はない。技術という共通言語が、文化や言語の壁を越える助けとなっているのだ。

 仕事へのモチベーションを高く維持するために必要なこととして、ビクトルさんは「仕事をすることで、エンジニアとしてのスキルが自然に向上できること」を挙げる。スケジュール管理やコードの記述、チームでの協調性といった能力が向上することで、モチベーションが高まると感じている。

 また、以前の勤務先では得られなかった「フィードバック」があることが、大きな喜びとなっている。「顧客が製品をどう使って、どう思っていたかなどが全く分からなかった」過去に対し、現在の職場では仲間からの指摘があり、「より良いコードを書くスキルが身に付きます」と、その価値を強調した。


ムキムキである

「マイ プロジェクト」の重要性

 新たな技術を学ぶ方法についても、ビクトルさんの姿勢は一貫して能動的である。

 「具体的に学びたいことがある場合は、『個人のプロジェクト(課題)』を立ち上げます」と語るように、実践を通じて知識を深めることを重視している。書籍から学ぶのはもちろんのこと、米国やメキシコのエンジニアコミュニティーに所属し、そこから情報を得ることも欠かさない。こうしたコミュニティーは「本当に有力な情報ソース」であると認識しており、自らの学びを加速させている。

 プライベートでも非常に充実しているようだ。最近「家を買った」という事実は、日本での永住を見据えているともとれる。奥さまもエンジニアであり、互いに理解し合える関係性が、彼の生活を支えている。

 国際結婚を円滑に継続する秘訣(ひけつ)は、「コミュニケーションをよく取ること」だという。夫婦それぞれが好きなことをする際には干渉せず、夕食時など共に過ごす時間には「極力いろいろなことを話すようにしています」と、バランスの重要性を説く。この考え方は、国際結婚に限らず、あらゆる人間関係や物事を継続する上でも有効だろう。

 エンジニアとしての夢は、「エンジニアリングスキルを向上させること」。過去に日本語学習アプリケーションを開発した経験から、今後はスペイン語学習アプリケーションの開発にも意欲を示している。また、「もっと日本中を旅行したい」という個人的な夢も抱いている。

Go's Thinking Aloud

 ビクトルさんはインタビュー中何度も、「プロジェクト」という単語を口にした。おそらく個人の興味がある分野、学ぶべきエリア、あるいは得意分野といった意味のことを、そう表現したのだと思う。自分のプロジェクトを立ち上げよ、と。

 やりたい仕事をして、楽しい家庭を築き、しっかり筋トレをする時間も作り、日本で家まで購入した。あえてワークライフバランスなどと意識せずとも、自然体でそれが実現されている。

 今後AIが今よりもっと職場に導入されれば、人間は人間にしかできない、想像や創造が本命となる仕事に自身の力をより発揮できるようになり、しかも、自由にできる空き時間が増えていくはずだ。だがビクトルさんはそれを待つまでもなく、自由なスタイルで仕事を楽しみ、その上でスキルを上げている。AIなぞ待たずとも、できている人はできている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る