Java Solution

第2回 読者アンケート結果
〜モバイルJavaシステムの方向性と課題〜

小柴豊
アットマーク・アイティ マーケティングサービス担当
2001/5/8


 2001年も3分の1を経過したが、Java周辺でこの4カ月間に最も話題となったのは、iモードに代表されるモバイル機器のJava対応だろう。各種端末への組み込みが急速に進み、Javaは文字どおり“Run Anywhere”な環境を手に入れようとしている。今年度は、モバイルJavaシステムが大きく飛躍する1年になるのだろうか? 第2回 Java Solution フォーラム読者アンケートから、一線で活躍するJavaエンジニア諸氏の見解を紹介しよう。

モバイルJavaを業務システムに組み込め

 まず各種モバイル端末を利用したJavaシステム/プログラム開発について、読者が2001年度に取り組みたい内容を聞いた(図1)。最も意向が高かったのは「顧客/在庫情報の参照や受発注処理等の業務システム」、「グループウェアやイントラネットとのシンクロ」といった、業務系のシステムであった。モバイルJavaの用途は、現在話題のコンシューマ系にとどまらず、企業システムと連携する方向へ進むと思われる。

図1 2001年度に取り組みたいモバイルJavaシステム(3つまで複数回答可)

 上記のようなシステムを開発する際、ターゲットとなる端末は何だろうか? 最も利用したいものを1つだけ選んでもらったところ、NTTドコモの「iモード」の支持が5割に達し、「MIDP仕様携帯電話」、「PalmOS搭載PDA」がそれに続く結果となった(図2)

図2 モバイルJavaシステムで最も利用したい端末(モバイルJavaシステム開発意向者 n=132)

 参考までに上位3端末の選択理由について、読者のコメントをまとめてみよう。

iモード ユーザー数の多さ/シェアの高さ+通信一体による常時接続環境
MIDP仕様携帯電話 Java標準にのっとった汎用性への期待
PalmOS搭載PDA 操作性/表示領域/動作の軽快さ+PDAとしてのシェアの高さ

モバイルJavaの課題は互換性

 では今後モバイルJavaシステム開発を推進するうえで、重要なこととは何だろうか? 複数回答で尋ねたところ、「メーカーごとの端末間のプログラム互換性の向上」、「MIDPとiモードJava仕様などのプロファイルの互換性向上」、「無線パケット通信費の低額/定額化」がTop3に選ばれた(図3)

図3 モバイルJavaシステム開発推進のために重要なこと(3つまで複数回答可)

 ユーザー需要を左右する通信費以上に“互換性”が重視されている点に、Java開発者としての現状への不満がうかがえる。iモードで生じたこれら互換性問題を、MIDP陣営のKDDI/J-フォン両社はJava実行環境にアプリックスの“MicroJBlend”を採用(http://www.atmarkit.co.jp/news/200104/13/kddi.html)することで最小化する模様だ。現段階では圧倒的なシェアを背景としたiモードの優位は揺るがないだろうが、今後企業システムにJava端末を組み込んでいくためには、こうした互換性についての開発者ニーズにこたえていく必要があるだろう。

Javaによるシステム開発の目的/開発期間

 さて後半では、読者が現在かかわっている(または最近かかわった)Javaシステム開発案件の用途とその開発期間についての集計結果を紹介しておこう。Javaシステム開発の用途では、「B2C EコマースなどのWebシステム」の比率が最も高く、「営業支援や人事管理などの業務システム」、「ホスト連携などの基幹システム」がそれに続く結果となった(図4)

図4 最近かかわったJavaシステム案件の用途

 Javaシステムの開発期間では、「1ヶ月〜3ヶ月」、「3ヶ月〜6ヶ月」という回答がおよそ35%ずつあり、案件のおよそ7割がこの期間に集中していることが分かった(図5)。これらJavaシステムの用途や開発期間については、今後定期的にアンケートしたうえでその推移などを紹介していきたい。

図5 最近かかわったJavaシステム案件の開発期間

調査概要
調査方法
 Java SolutionサイトからリンクしたWebアンケート
調査期間
2001年3月12日〜5月5日
有効回答数
140件

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