Red Hat Enterprise Linux 4

RHEL4の製品構成とサポート

 RHEL4には、使用用途や対応するシステムの規模により4つのエディションが用意されている。

  Red Hat Enterprise Linux AS
    大規模データベースやサーバアプリケーション用途
 
  Red Hat Enterprise Linux ES
    小規模オフィスでのプリンタサーバやファイルサーバといった部門サーバ用途
 
  Red Hat Enterprise Linux WS
    マシンパワーを必要とするパワーユーザー向けデスクトップ用途
 
  Red Hat Desktop
    インターネット端末などの用途(企業環境での大量一括導入用)

 
  
サーバ用途
クライアント用途
RHEL AS RHEL ES RHEL WS RH Desktop
x86、EM64T、AMD64
Itanium対応
×
IBM zSeries、POWER、S/390対応
×
×
×
サポート最大CPU数
2
2
1
サポート最大メモリ容量
16Gbytes
4Gbytes
表1 サポートシステム
※特に制約はないが、ハード/ソフトウェア、アーキテクチャなどの性能による上限以上はサポートしない。

 RHEL WSやRed Hat Desktopには、DNSサーバやDHCPサーバといったインターネットサービスを提供するパッケージが含まれない。ただし、カーネルやglibcなどのライブラリ、ユーティリティやデスクトップ環境といった主要パッケージは、全エディションで同一のものを使用している。どのエディションを選択するか検討する際は、CPUやメモリといったシステム上の制約()を基準にすることになるだろう。

注:Intel Xeonのハイパースレッディングのように、1個のプロセッサが2個の論理プロセッサの振る舞いをする場合も、物理的なCPUを1個と数える。

収録されているパッケージとそのバージョン

 SUSE LINUXなどに比べてカーネル2.6の採用で慎重であったことからも分かるように、安定性がRHELの基本コンセプトとなっている。そのため、収録されているパッケージを表にまとめると(表2)、やや保守的ともいえる安定版と最新版がバランスよく混在しているように見える。

パッケージ バージョン
カーネル 2.6.9
glibc 2.3.4
GCC 3.4.3
Apache 2.0.52
sendmail 8.13.1
BIND 9.2.4
vsftpd 2.0.1
Samba 3.0.10
MySQL 4.1.10a
X.org 6.8.1
 
パッケージ バージョン
GNOME 2.8.0
KDE 3.3.1
OpenOffice 1.1.2
Firefox 1.0.2
Evolution 2.0.2
OpenSSL 0.9.7a
OpenLDAP 2.2.13
Perl 5.8.5
Subversion 1.1.1
表2 主要パッケージのバージョン
注:RHEL WSやRH Desktopには含まれていないものもある。

サポート期間と製品サイクル

 RHELの製品ライフサイクルは、3段階に分かれている。アップデートは定期的(通常3カ月ごと)に提供され、前バージョンのRHEL3はupdate4まで提供されている。Errataは、セキュリティやバグなどへの対策として必要に応じて配布される。

  • 第1段階:フルサポート
    開始日:米国における製品出荷日
    終了日:上記開始日から2年半後
    新しいハードウェア対応を含めたアップデートと、すべての提供可能なErrataの提供

  • 第2段階:デプロイメント
    開始日:米国における製品出荷日
    終了日:上記開始日から3年後
    セキュリティとバグフィクスに関するアップデートとErrataのみ提供

  • 第3段階:メンテナンス
    開始日:米国における製品出荷日の3年後(デプロイメント終了後)
    終了日:デプロイメント終了から4年間(製品出荷日から7年後)
    セキュリティとミッションクリティカルと判断されたバグフィクスのErrataのみ提供

注:初期出荷日は米国(RHEL4の場合は2005年2月15日)が適用される。

 上記をRHEL4に適用した場合、

  • フルサポート(ハードウェアアップデート含む):2007年8月31日まで
  • デプロイメントサポート:2008年2月29日まで
  • メンテナンスサポート:2008年3月1日から2012年2月29日まで

となる。起日が最終出荷日ではなく初期出荷日になっているなどの違和感はあるもものの、製品サイクルはとても長いものになっている。最終出荷される直前に製品を購入したとしても、「メンテナンス」を最低でも4年以上受けることができるため、通常のシステムサイクル(3〜5年)を考慮しても、対応できるのではないだろうか。ただし、これらのアップデートやErrataを入手するには、Red Hat Network(RHN)を1年ごとにサブスクリプション(購読)する必要がある。

  参考:Red Hat Enterpriseのサポートポリシー
http://www.jp.redhat.com/software/rhel/support_policy_jp.html

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Index
プロダクトレビュー
 Red Hat Enterprise Linux 4
  Page 1
RHEL4における変更点
 カーネル2.6の採用
 SELinuxの搭載
 デスクトップ環境
 管理ツール
  Page 2
RHEL4の製品構成とサポート
 収録されているパッケージとそのバージョン
 サポート期間と製品サイクル
  Page 3
RHEL3とRHEL4のベンチマーク比較
 HDBENCH cloneによる簡易テスト
 iozoneによるファイルシステムの計測
 mysqlbenchによるアプリケーション・スレッドの計測

Linux Squareプロダクトレビュー


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