プロダクト・レビュー・スペシャル 3.ハードウェアの拡張性を探る |
1Uというサイズでもっとも制限されるのは、ハードウェアの拡張性である。ケースの内部容積が小さいのだから当然のことであり、拡張性を必要とする用途に1Uサーバをあてがうべきか、という意見もあるだろう。しかし、用途や負荷の変化に対応するには、1Uサーバにもある程度の拡張性は確保されてしかるべきだ。特に、内蔵ハードディスクの最大台数は、RAIDのドライブ構成を制限するため、導入できる用途が限られてしまう可能性がある。ProLiant DL320は、ストレージ用ドライブ・ベイが3基用意されており、2基がハードディスク用、残りの1基がオプションのCD-ROMドライブ+フロッピードライブ用となっている。ハードディスクは最大2台までしか内蔵できないため、RAIDによるフォールト・トレランスにはRAID 1(ミラーリング)しか利用できない(外部接続のストレージを除く)。
ハードディスク・ベイ − 専用アダプタで速やかな着脱が可能
内蔵のハードディスク・ベイ (拡大写真:56Kbytes) | ||||||
ハードディスク・ベイは2つ用意されており、評価機にはそのうち1つに20GbytesのSeagate Technology製ハードディスクが組み込まれていた(回転速度7200rpmでUltra ATA/100対応と、IDEハードディスクとしてはハイエンドに属する)。ハードディスクは専用アダプタを介してケースに組み付けられており、ネジ1本で取り外せる。 | ||||||
|
アダプタごとハードディスクを取り外した状態 |
アダプタに装着されたハードディスク (拡大写真:27Kbytes) | |||
増設・交換用ハードディスクは、このようにアダプタを装着して保管しておけば、いざというとき、速やかにケースへ組み込める。 | |||
|
CD-ROMドライブ+フロッピードライブ・ベイ − 汎用性はなし
CD-ROM/フロッピードライブ・ベイ |
このように評価機にはCD-ROMドライブとフロッピードライブが装備されていたが、もともとはオプションである(標準ではダミーの空アダプタが装備されている)。CD-ROMドライブとフロッピードライブは一体になっており、同時に取り外せるようになっている。 |
ドライブを取り外しているところ (拡大写真:61Kbytes) |
付属のキーを押し込むと、CD-ROMとフロッピーが一体になったドライブ・ユニットが飛び出てくる。このように簡単な操作で取り外せるのだが、残念なことにここには、ハードディスクを装備することができない。3台目のハードディスクが装備できれば、内蔵ハードディスクだけでRAID 5の構築も可能になるので、用途が広がるだけにちょっと残念な点だ。 |
拡張スロット − 1スロットながら64bitフルサイズPCIカードに対応
PCIスロット | ||||||||||||
本機のPCIスロットは64bit/33MHz PCI対応で、32bitまたは64bitのPCIカードを装着できる。またカードのサイズはPCIの規格上最大のもの(フルサイズ)にも対応している。 | ||||||||||||
|
|
ガイド・レールを持ち上げたところ | |||
ネジを外し、ケースに噛み込んでいるガイド両端を緩め、ゆっくりと持ち上げると、このようにケースからはずれる。 | |||
|
ガイド・レールにPCIカードを装着したところ (拡大写真:40Kbytes) |
評価機に付属してきたリモート管理用PCIカードを、取り外したガイド・レールに装着してみた。フルサイズのカードでも、このようにカード両端が剛性の高い金属製ガイド・レールで固定されるので、歪みやねじれは心配せずに済む。 |
◆
ProLiant DL320は、1Uサイズとエントリ・モデルゆえの制限から、拡張性が犠牲になっている面がある。その半面、印象的だったのは、メンテナンス性を高めるための工夫が随所に設けられていた点だ。多くのサーバを高密度で集積する本機の用途においては、特に評価できるポイントだろう。
本機のスペックについては、「資料:1Uラックマウント型IAサーバ」の「ProLiant DL320」に記しているので、参照していただきたい。
関連記事(PC Insider内) | |
資料
|
1Uラックマウント型IAサーバ:「コンパックコンピュータ ProLiant DL320」 |
IT Market Trend:第2回 拡大するラックマウント型サーバ市場 | |
スケーラビリティの高い1Uサーバ「PowerEdge 1550」 |
関連リンク | |
ProLiant DL320の製品情報 |
INDEX |
||
[ プロダクト・レビュー・スペシャル ] | ||
大量導入向け低価格1Uサーバ「コンパック ProLiant DL320」 | ||
1.1Uサーバの内部をのぞく | ||
2.マザーボードを詳しく観察する | ||
3.ハードウェアの拡張性を探る | ||
コラム:リモート管理用カード「リモートInsightボードLights-Out Edition」 | ||
「PC Insiderの特集」 |
System Insider フォーラム 新着記事
- Intelと互換プロセッサとの戦いの歴史を振り返る (2017/6/28)
Intelのx86が誕生して約40年たつという。x86プロセッサは、互換プロセッサとの戦いでもあった。その歴史を簡単に振り返ってみよう - 第204回 人工知能がFPGAに恋する理由 (2017/5/25)
最近、人工知能(AI)のアクセラレータとしてFPGAを活用する動きがある。なぜCPUやGPUに加えて、FPGAが人工知能に活用されるのだろうか。その理由は? - IoT実用化への号砲は鳴った (2017/4/27)
スタートの号砲が鳴ったようだ。多くのベンダーからIoTを使った実証実験の発表が相次いでいる。あと半年もすれば、実用化へのゴールも見えてくるのだろうか? - スパコンの新しい潮流は人工知能にあり? (2017/3/29)
スパコン関連の発表が続いている。多くが「人工知能」をターゲットにしているようだ。人工知能向けのスパコンとはどのようなものなのか、最近の発表から見ていこう
|
|