第2回 RFIDミドルウェアを知り、使いこなす


吉田 光伸
日本オラクル株式会社
システム製品統括本部
アドバンストソリューション本部
RFIDビジネス推進部
部長
2006年8月16日

 RFIDミドルウェア選定に役立つチェック項目

 RFIDミドルウェアの基本的なアーキテクチャを説明しましたが、ベンダごとにさまざまな機能を付加させており、製品選定の際に戸惑うという話もよく聞きます。そこで、システムエンジニアがRFIDミドルウェアの選定を行う際に役に立つチェック項目を下記に記載します。ただし、この項目は一般的な項目であって、それぞれのシステムごとに必要な機能、欲しい機能は違ってくるでしょうから、あくまで参考としてご活用ください。

【一般項目】

価格に関して ライセンスについて CPU課金、ユーザー課金etc
価格 標準価格
稼働環境 OS 対応するOSの一覧
推奨スペック 推奨ハードウェアスペック
今後 ロードマップ 今後の製品計画のロードマップは?
サポート 製品サポート サポートの体制について(24時間365日、全国レベルetc)
教育 教育体制 トレーニング制度の有無

【ドライバ層(デバイス抽象化レイヤ)】

対応デバイスに関して リーダ/ライタ 対応しているRFIDリーダ/ライタの機種名、バージョン
RFIDプリンタ 対応しているRFIDプリンタの機種名、バージョン
センサー 対応している各種センサーデバイスの機種名、バージョン
接続接続数 最大同時接続数に関する情報
グルーピング グルーピングの有無
そのほか そのほかの注意点
拡張性 アドオン開発に関して ドライバ追加の可否
開発フレームワーク、テンプレートの有無
ステータス管理 モニタ、リモートに関して リーダ/ライタの死活管理の有無
リーダ/ライタに対する遠隔操作の有無
リーダ/ライタの電波出力変更の有無
そのほか
シミュレータ シミュレータの有無 シミュレータの有無
対応メーカー 対応しているシミュレータのメーカー、機種名

【フィルタリング層】

フィルタリングロジック フィルタの種類 用意されているフィルタの一覧とその機能概要
拡張性 アドオン開発に関して フィルタ追加の可否
開発フレームワーク、テンプレートの有無

【ディスパッチャー層(データ配信レイヤ)】

プロトコル 対応プロトコル SOAP、HTTP、JMSなど対応プロトコルの一覧
拡張性 アドオン開発に関して ディスパッチャー追加の可否

開発フレームワーク、テンプレートの有無

そのほか 対応接続形態 そのほかのバックエンドシステムとの接続形態に関して

【そのほか】

信頼性 キューの有無 読み取ったRFIDデータの信頼性保障の仕組み(キュー)があるか。あるならばどういったアーキテクチャか(ファイル、メモリ)
提供形態 アプライアンスの有無 工場などでの利用を想定した特殊なサーバでのアプライアンス形態での提供ほか

【運用管理】

ログ ログ どういった種類のログがとれるか。また形式は(ファイル、DB、CSV)
管理画面 ユーザーインターフェイスの有無 ユーザーインターフェイスでの管理が可能か?
コマンドラインか?

【標準化対応(EPCglobal対応に関して)】

対応するコード体系 サポートするコードの種類 どの標準化コードをデコード、エンコード可能か(SSCC、SGTIN、GRAI、GLN etc)
ALE対応 ALEインターフェイス ALE1.0に準拠しているか?
EPC IS対応 EPC ISインターフェイス EPC ISに対するインターフェイス(Capture、Query)を保有しているか。またその通信方法は?
今後 今後の標準化の動きに関して EPCglobalにおける具体的な取り組み内容、また仕様が確定した際のアクションプラン

野村総合研究所のRFID研究チームの協力も得た)

 RFIDミドルウェアの概念は理解したので実際に構築を試してみたい、もしくはRFIDミドルウェアに関してもっと詳細に理解したいという読者もいると思います。ベンダによっては、RFIDミドルウェアを活用したRFIDシステム開発のトレーニングコースを実施しています。

 日本オラクルの場合、実際にRFIDデバイスを使って、RFIDタグからの情報収集、フィルタリング、データベースへの書き込みまでの基礎レベルのRFIDシステム構築を体感するコースとなっております。

【関連リンク】
Oracle University「オラクルで始めるRFIDシステム構築」

 RFIDミドルウェアとは、デバイスレイヤ(ハードウェアレイヤ)とソフトウェアレイヤの中間層に位置し、双方のインテグレーションを行うためのツールです。RFIDシステムにおいて最も重要なのは、RFIDミドルウェアを通じて収集したRFIDデータをどのように企業活動の中で活用し、RFIDのシステム投資に対するROI(投資対効果)を早急に出していくかということになります。

 次回は収集したRFIDデータを活用してROIを出していくシステムを構築するためのヒントを具体的な事例を使って説明します。

3/3
 

Index
RFIDミドルウェアを知り、使いこなす
  Page1
なぜRFIDミドルウェアが必要なのか
ドライバ層の役割と必要性
  Page2
フィルタリング層の役割と必要性
ディスパッチャー層の役割と必要性
Page3
RFIDミドルウェア選定に役立つチェック項目


Profile
吉田 光伸(よしだ みつのぶ)

日本オラクル株式会社
システム製品統括本部
アドバンストソリューション本部
RFIDビジネス推進部
部長

2003年よりRFIDビジネスに従事。同社におけるRFIDビジネス日本支部の代表。日本において製造業、小売業、物流業を中心にさまざまな事例の立ち上げを行うとともに、RFID関連企業とのアライアンス活動も実施。また同社におけるRFID関連製品開発においても、US本社の開発プロセスに参画。

EPCglobal Business Action Group、ユビキタスIDセンタ、日本GCI推進協議会の電子タグWGに参画中。

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