
第1回
RDSC Framework for Logisticsとは何か
須永 啓太
イー・キャッシュ株式会社
プロフェッショナルサービス事業部
執行役員
2006年7月14日
RDSC Framework for logisticsとは何か
RDSC Framework for logisticsは、トッパンフォームズとマイクロソフトが共同で運営しているRDSCセンターにて開発されたEPCglobalネットワークシステムに準拠したミドルウェアです。リーダ/ライタ制御、EPCIS、ONSなどEPCglobalネットワークシステムで定義されているコンポーネント群をほぼすべて実装しています。
RDSC Framework for logisticsは、多くのユーザーが気軽にEPCglobalネットワークシステムを評価できるようにという趣旨で開発され、すべてのコンポーネントがフリーウェアとして提供されているのが特徴です。
また、EPCISの実装部分はEDIを意識し、マイクロソフトのBiztalk Serverをベースに実装が施されています。それ以外にも、実運用を考えてバーコードとEPCコードの相互運用が考慮されたアーキテクチャが採用されています。
RDSC Framework for logisticsのコンポーネントとEPCglobalネットワークシステムのコンポーネントの対応は次の表のとおりです。
EPCglobalネットワークシステム | RDSC Framework for logistics | 説明 |
RFIDミドルウェア | RDSC Adapter | リーダ/ライタの制御を行うミドルウェア。リーダプロトコルにてALE ServicesにEPCデータを送信するWindowsクライアントアプリケーション |
ALE Service | ALE Service | RDSC AdapterよりEPCデータを受信および集計してEPCISへと送信するASP.NETベースのWEBアプリケーション |
EPCIS | RDSC EPC IS | マイクロソフトのBiztalk Serverをベースとし、EPCデータの受信と送信を行うアプリケーション |
EPC DS | なし | なし |
ONS | Local ONS | ルートONSにひも付くローカルONS |
RFIDミドルウェア、つまりリーダ/ライタを制御するコンポーネントとして、「RDSC Adapter」というアプリケーションが用意されています。このコンポーネントは複数のメーカーおよび周波数帯のリーダ/ライタをサポートしています。
RFIDミドルウェアとALE Serviceの間はリーダプロトコルと呼ばれるXMLの通信形式が定義されています。RDSC Adapterもリーダプロトコルに従っており、ほかのALE Servicesを実装した製品などとも連携することが可能です。
EPCISは、本稿執筆時点ではEPCglobalでの詳細な仕様策定がまだ途中です。RDSC Framework for logisticsは、マイクロソフトのBiztalk Server 2006をベースにほかのシステムと容易に連携できるような「RDSC EPC IS」を実装しています。
また、EPCからEPC ISのURIを取得するONSアプケーション(Local ONS)も実装されており、EPCglobalネットワークシステムで定義されたコンポーネントのほとんどを実装しています。
今回は連載の初めとして、EPCglobalネットワークシステムおよびRDSC Framework for logisticsの概論について説明しました。次回は、実際にRDSC Framework for logisticsのインストールを行いながら、各コンポーネントを紹介します。
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Index | |
RDSC Framework for Logisticsとは何か | |
Page1 EPCglobalネットワークシステムで未来のSCMはどうなる? |
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Page2 モノを個品として認識するEPC EPCglobalネットワークシステムを構成するコンポーネント |
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Page3 RDSC Framework for logisticsとは何か |
Profile |
須永 啓太(すなが けいた) イー・キャッシュ株式会社 プロフェッショナルサービス事業部 執行役員 インターネットベンチャー企業などで大手ポータルサイトのEコマースサイト構築におけるプロジェクトマネージャーなどを歴任後、イー・キャッシュ株式会社に入社。 主にRFID システムのコンサルティング業務を担当。実はモノ作りが大好きで、最近プログラミングをまったくできないのが悩み。 |
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RDSC Frameworkで体験するEPCglobal 連載インデックス |
- 人と地域を結ぶリレーションデザイン (2008/9/2)
無人駅に息づく独特の温かさ。IT技術を駆使して、ユーザーが中心となる無人駅の新たな形を模索する - パラメータを組み合わせるアクセス制御術 (2008/8/26)
富士通製RFIDシステムの特徴である「EdgeBase」。VBのサンプルコードでアクセス制御の一端に触れてみよう - テーブルを介したコミュニケーションデザイン (2008/7/23)
人々が集まる「場」の中心にある「テーブル」。それにRFID技術を組み込むとコミュニケーションに変化が現れる - “新電波法”でRFIDビジネスは新たなステージへ (2008/7/16)
電波法改正によりミラーサブキャリア方式の展開が柔軟になった。950MHz帯パッシブタグはRFID普及を促進できるのか
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