さまざまな分野で実運用が始まったRFIDシステム
岡田 大助
@IT編集部
2007年6月15日
RFIDを使った引越が主流になる、かも……
2007年5月、シスコシステムズが本社移転に際して、日本通運と協力して荷物にRFIDタグを張り付け、誰が、何を、どこへ運んだのかをリアルタイムで追跡する実験を行った。また、2007年6月にはヤマトホームコンビニエンスが「トレイルキャッチ」と呼ばれるRFIDタグとPHSを利用した引越荷物の位置確認・輸送履歴サービスを発表した。引越作業におけるトレーサビリティの実現にRFIDは適しているのかもしれない。
オフィス移転サービスを行っているpureFixは、「ICタグ移転管理システム」を構築、事業所の移転作業における引越監査作業を商品化した。このサービスでは、μチップをすべてのダンボールに張り付け、移転元から移転先までの追跡および誤配を防止する。
リーダにハンディ端末を利用しているので、ゲート型リーダの設置作業など追加作業が発生しないという。また、身軽なハンディ端末の利点を生かして、旧オフィスからの搬出時、トラックへの積み込み時、搬入先での積み下ろし時、新オフィスへの搬入・配置時の4段階でRFIDタグの読み込みを行い、サーバでデータの照合を行う。
同社オフィス事業部CEOの千葉義裕氏は、「チェックポイントを増やしていることで、オフィススペースから運び出した荷物がトラックに積み込まれずエレベータホールに置き去りになるといったトラブルを未然に防げる。また、オフィス内での誤配送も防止できる。例えば、個人情報書類などを多く抱える部署、総務部の荷物は新オフィスでも総務部の指定のスペースにきちんと届けなければ、大きな問題を引き起こしてしまう」と語った。
光ファイバー1本単位で配線管理の効率化
寺田電機製作所が出展していたのは、RFIDソリューションプラットフォーム「CoPReS」だ。パッシブタグやアクティブタグを必要に応じて使い分け、資産管理、設備識別、入退室管理、リースレンタル管理、製造作業支援など、大きく12種類のソリューションを同一プラットフォームで実現する。
注目を集めていたのは、サーバラックなどの配線管理ソリューションだ。従来、サーバラック内のケーブル管理には手書きのタグなどが利用されており、現物と管理簿の情報不一致などが発生していた。CoPReSの配線管理ソリューションでは、イーサケーブルや光ファイバケーブル1本ごとにRFIDタグを取り付け識別し、データベース上で配線ルートやメンテナンス状態を記録する。
現場の作業では、サーバ上のデータをPDAにダウンロードして配線管理が行えるほか、寺田電機が開発して特許出願中の「指サック型アンテナ」でRFIDタグの読み込みができる。
光ファイバケーブルに取り付けたRFIDタグを「指サック型アンテナ」で読み取る |
オンデマンドでICタグラベルを作成できるプリンタ
ブラザー工業では、卓上サイズのICラベルプリンタ「RL-700S」を発表した(9月発売予定)。プリンタ側部にはリーダ/ライタを装備し、1台で小規模なRFIDシステムが構築できる。
作成できるRFIDタグは13.56MHz帯のもので、30個のカセット式で提供される(カセットは約1万円で販売されるため、RFIDタグ1枚あたり約300円)。従来、RFIDタグを発行するためには業者に一定量の注文を行う必要があったが、RL-700Sを使えば、必要なときに、1枚単位でRFIDタグを作成可能だ。
RFIDタグはラミネートシールで出力されるため、ファイルやCD-Rなどのメディアのケースに貼付して物品管理に利用したり、プラスチックカードに張ってICカードとして利用することも考えられる。小規模オフィスでの利用や大規模システムのプロトタイプやテスト現場で活用されそうだ。
超小型化を実現したICラベルプリンタ「RL-700S」 |
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