特集Windows 2000とは何か ?コラム:コンシューマ向けWindowsの今後のロードマップ(1)
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Windows NTの登場以来、マイクロソフトのオペレーティングシステムは、OSとしての先進機能を満載した、このまったく新しいフル32bit OSに「やがては一本化される」と言われ続けてきた。1998年10月の発表で、Windows NTの次バージョンの名称がWindows 2000であることが明らかになったとき、「Windows 9xのコアを持つOSは、Windows 98が最後」というマイクロソフトの言葉を、「やっとこのときがきたか」という気持ちで聞いた人は少なくなかっただろう。しかしこの約束が果たされる日は、またも先延ばしになってしまった。
Windows 98 SEをブラッシュアップしたMillennium
年が明け1999年になると、「マイクロソフトは、Windows 9xコアを持つWindowsの新バージョンを開発中」との噂が聞こえるようになってきた。この新しいOSは、Millennium(ミレニアム。開発コード名)と呼ばれるもので、具体的には、現在販売されているWindows 98 Second Editionをさらにブラッシュアップしたものになる。米国では、すでに1999年9月末よりMillenniumのベータ1が一部の開発者向けに配布され、テストが行われている(BetaNews.ComのWindows 98関連ニュースのページ)。
このMillenniumでの主要な機能強化点をまとめると次のようになる。
強化ポイント | 内容 |
Easy PCサポート | Intel/Microsoftが設立したイニシアティブであるEasy PCをサポートする。ISAデバイスや拡張スロットを排除し、家電製品感覚でPCを使用可能にする |
インターネットアクセスの簡易化 | PCの未経験者でも、購入してすぐにコンピュータをインターネットに接続し、利用できるようにする |
ユーザーインターフェイスの改良@ | HTMLベースの新しいシェル(Desktop Ver.2) |
ユーザーインターフェイスの改良A | パーソナルユーザーを対象としたツール群をActivity Centerに集約。この中には、Photo Center(デジタルカメラで撮影した写真などのカタログ機能)、Music Center(音楽CDやMP3データなどのカタログ機能)、Game Center(ゲーム用の設定自動化ツール)が含まれる |
Internet Explorer 6.0 | 最新バージョンのInternet Explorer |
System File Protection | 重要なシステムファイルを不用意な書き込みから守る保護機能 |
自動修復機能 | システムファイルが破損している場合には、エラーメッセージを表示するのではなく、自動的にファイルの修復を試みる |
Universal Plug and Playサポート | 家庭内の情報機器をネットワーク接続するためのUniversal Plug and Playインターフェイスをサポート |
ネットワークサポートの強化 | マルチサブネットサポート、ワイヤレスネットワーク(IEEE 802.11b)サポート |
プロテクトブート | PCの起動時間を劇的に高速化する機能(これにより、起動時間は数秒〜十数秒になるといわれる) |
DirectX 8.0 | ゲーム/マルチメディアソフトウェア用APIの最新バージョン |
HCLで選択可能な製品の種類 |
Easy PCは、初心者ユーザーがより簡単に設置でき、利用できるPCを開発することを目的に、Intel社とMicrosoft社が共同で設立したイニシアティブである(Easy PCイニシアティブのホームページ(英語))。PCの普及に伴って、マニュアルの充実やプレインストールソフトウェアの整備など、初心者を意識した製品作りが欠かせなくなっている。しかしまったくの初心者がPCを購入して設置し、インターネットに接続し、メールをやり取りするとなると、一筋縄ではいかないのが実情である。実際、PCを購入したはよいが、インターネットへの接続などがうまくいかず、放っている人も少なくないのではないだろうか。Easy PCは、こうしたまったくの初心者でも、ごく短時間に、簡単にインターネット接続などを行えるようにするために何が必要かを検討し、それを製品につなげていくためのイニシアティブだ。詳細はまだ明らかではないが、次のMillenniumでは、このEasy PCサポートが追加される模様である。
Millenniumではユーザーインターフェイスが大幅に変わる?
Millenniumでは、ユーザーインターフェイスがかなり大幅に改良される予定だ。このため内部コア自体はWindows 9xとそれほど変わらなくても、見かけ上、Millenniumは現行のWindow 9xとは大きく異なる顔を持つことになるだろう。この次世代のユーザーインターフェイスを実現するのは、HTMLをベースとする新しいシェルで、現時点ではDesktop Ver.2.0と呼ばれている。現在でも、WWWブラウザでもあるInternet ExplorerとWindowsシェルは共通化されているが、Millenniumではこれをさらに一歩進めることになる。
Millenniumのシェルでは、Activity Centerと呼ばれるパーソナルユーザー向けのツール群が標準で組み込まれる。この中には、Photo Center、Music Center、Game Centerという3つのツールが含まれる模様だ。Photo Centerは、デジタルスチルカメラやイメージスキャナなどで撮影(スキャン)した画像をカタログ保存できるツール、Music Centerは、音楽CDやMP3データ、WMA(Windows Media Author)のデータをカタログ保存できるツールである。残るGeme Centerは、ゲームソフトウェア向けの設定を自動化するツールだ。ゲームといえば、初心者ユーザーの呼び水のようにも思えるが、高いハードウェアスペックを要求するソフトウェアが少なくないPCゲームでは、グラフィックスやサウンドデバイス、ジョイスティックなどの入力デバイスについて、かなり専門的な知識がないと、正しく設定できないことが往々にしてあった。専門家から見れば、どうということのない設定でも、「解像度」や「同時表示色数」などという単語があるだけでも、初心者は不安になるものだ。Game Centerは、こうした初心者ユーザーでも、ゲーム向けの最適な設定を自動的に行えるようにするツールである。
システムの保護機能、障害からの自動普及機能を追加
初心者は、勝手がわからないままに、システムの重要な設定を変更してしまったり、重要なファイルを消去してしまったりすることがある。最悪の場合、これによってシステムが2度と起動しなくなり、お手上げの状態になってしまう。これに対し、PCベンダの中には、Windows 9xのポリシー機能などを利用して、通常モードでは、不要なコントロールパネルのアプレット(「ネットワーク」アプレットなど)を表示しないようにするなど工夫をしている。しかしMillenniumでは、このようなシステムの保護機能、システムの復旧機能が標準で追加される模様だ。この1つはWindows 2000にも組み込まれているSystem File Protection(以下SFP)で、重要なシステムDLLなどを不用意な削除などから守る。もう1つは、システムファイルが破損した場合に、これを自動的に再インストールする機能である。これにより、システムファイルが破損していても、従来のエラーメッセージが表示されて、ユーザー自身が必要な措置を講じるのではなく、システムが自動的に破損したファイルの復旧を試みるようになる。
システムの起動時間を劇的に短縮するプロテクトブート
現行のWindows 9xでは、システムの起動時にプラグ アンド プレイ デバイスの検出などを行っている。このため新しいデバイスを追加してシステムを起動すると、そのデバイス用のデバイスドライバを自動的に組み込めるようになっている。しかしその代わり、起動時にデバイスを走査するため、起動に時間がかかってしまうという欠点がある。マシンの構成や組み込んでいるデバイスにもよるが、Windows 98の起動には、おおよそ数分程度かかるというのが一般的な感覚だろう。
これに対しMillenniumでは、プロテクトブートと呼ばれる新しい機能により、起動時間を数秒から十数秒と劇的に短縮させるという。このプロテクトブートでは、毎起動時にデバイスを走査するのではなく、あらかじめ設定されているデバイスだけでシステムを起動する。デバイスを走査する時間をなくすことで、起動時間を大幅に短縮するというわけだ。
Millenniumの出荷は2000年夏以降
前出のように米国では、Millenniumのベータ1が、1999年9月末より一部の開発者向けに配布され、テスト段階に入ったばかりである。他のオペレーティングシステムがそうであったように、最終的にどのような機能が組み込まれ、ユーザーインターフェイスがどのような形式で確定するのかはまだまったくの未知数だ。この原稿執筆時点では、Millenniumの出荷は2000年夏以降とされているが、実際には、2000年内いっぱいか、ことによると出荷は2001年に持ち越される可能性もある。ベータ版の配布状況などについては、前出のBetaNews.Comが鋭意レポートしているので、気になる人はここを定期的にチェックするとよいだろう。
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