特集
Windows 2000とは何か ?

1.イントロダクション

デジタルアドバンテージ
1999/10/26


 Windows 2000は、主にビジネスユーザー向けのフル32bitオペレーティングシステムであるWindows NT 4.0の後継として、現在マイクロソフトが開発を進めているOSである。このWindows 2000の出荷が秒読み段階に入っている。米国では、開発途中バージョンであるベータ3が、1999年4月末に65万人の開発者、インテグレータ、ユーザーなどに配布された。また日本国内でも、日本向けにローカライズされたベータ3が9月末から10月にかけて、申し込みを行った4万人のユーザーに向けて配布され、広範なベータテストが実施されている。

Windows 2000の実行画面
Windows 2000 Professionalを実行しているところ(画面は先ごろ配布が開始されたRC2のもの)。この画面を一見しただけでは、Windows 98や前バージョンのNT 4.0との違いが分からない。しかしWindows 2000では、細かな部分まで含めると、多くの点で新機能の追加や機能の改良、機能拡張などが行われている。

 画面を見ただけでは、既存のWindows 98やNT 4.0との違いは分からない。しかしこのWindows 2000には、マイクロソフトの次世代オペレーティングシステムとして、数々の機能追加や改良が行われている。これらの拡張はどのようなもので、誰をターゲットとしたものなのか。ここでは最新動向から、マイクロソフトの戦略、Windows 2000がターゲットとするユーザー像などを簡単にまとめてみよう。

一般公募のベータ3ユーザーに対しては、11月中旬ころよりRC2版が配布される予定

 まず最初は、Windows 2000の現在(1999年10月末現在)のステータスについて確認しておこう。

 現在Windows 2000は、プログラマやハードウェア/ソフトウェアベンダ各社、大企業ユーザー、マイクロソフト社のパートナー企業に加え、マイクロソフト社のWebサイトで申し込みを行った4万人のユーザーに対し、開発途中版が配布され、テストが続けられている(Windows 2000日本語プレリリース版提供開始のニュースリリース)。このうち一般公募で申し込みを行ったユーザーに対しては、9月末ごろより、ベータ版としては最終バージョンとなるベータ3(ビルド番号は2031)を収録したパッケージが配布された(パッケージの詳しい内容についてはコラム「Windows 2000ベータ3パッケージの内容」)。ただしこれと並行する形で、ベータ3の次バージョンであるRC1(Release Candidate。ビルド番号は2072)が、9月上旬から順次開発者やパートナー企業などに配布されている。

 そして先ごろ、RC1の配布先である開発者やプレスに対して、RC2(ビルド番号は2128)の配布が開始された。一般公募ユーザーに対しては、RC1は配布されなかったが、このRC2については、11月中旬ころより配布が行われる模様である。

 このRC2が最終のRC版となるのか、それともRC3、RC4…とまだRC版が続くのかは明らかではない。マイクロソフトの説明によれば、必要なだけRC版でのテストを繰り返し、製品化の直前にファイナルRTM(Release To Manufacturing)版が公開されるとしている(ただし一般公募ユーザーにこのRTM版が送られるかどうかは不明)。

([追加情報]その後、ベータ3プレリリース版ユーザーに対してRC2版が配布されるとともに、パソコン専門誌の付録CD-ROMにもこのRC2版が収録され、広く配布されることとなった。関連記事「Insider's eye--速報:マイクロソフト、日本語版Windows 2000の発売日、価格、マーケティングプランを正式発表(1-2)」を参照。なお、プレリリース版ユーザーへのRTM版の配布は行われなかった。RTM版の詳細については「Insider's eye--速報:Windows 2000製品版CD-ROMの内容」を参照)

製品版は米国で2月、日本では今期内出荷が有力?

 今年(1999年)6月に開催されたWindows 2000に関する開発者向けの説明会では、Windows 2000の出荷スケジュールは、「年内に開発を完了、英語版出荷からの日本語版の遅れは1カ月」だとされている。一部米国の報道では、11月にラスベガスで開催されるCOMDEXのころまでにコードをフリーズ(開発を完了)し、年内には出荷の見通しとも言われていたが、最近の報道では、この開発者向け説明会での発表どおりに進行しているようだ。米Dell Computer社が開催したDirectConnectカンファレンスにおいて、ビル・ゲイツ氏もこのように発言している(BetaNews.Comのニュースを参照)。ただし、マイクロソフト社長のスティーブ・バルマーの発言を見ても、また開発者向け説明会での発表でも、早期の出荷よりも「品質を最優先」するということなので、場合によってはさらに出荷が遅れる可能性はある。Windows 2000の主要なターゲットは、何より安定性を重視するビジネスユーザーであることを考えれば、しかたのないことだろう。

Windows 2000のパッケージ構成

 現行のWindows NT 4.0では、デスクトップ向けのパッケージとしてWindows NT Workstation 4.0が、部門レベルの比較的小規模なサーバ用途向けとしてWindows NT Server 4.0が、さらに大規模なネットワークサーバ向けとしてWindows NT Server 4.0 Enterprise Editionが提供されている。これに対しWindows 2000では、それぞれに対応するパッケージとして、Windows 2000 Professional、Server、Advanced Serverが提供される予定である。さらにWindows 2000では、より大規模なデータウェアハウスや計量経済分析、エンジニアリング用のサーバ向けとして、Windows 2000 Datacenter Serverが出荷される。これらの関係をまとめると次のようになる。

現行パッケージ Windows 2000パッケージ 主な用途
Windows NT Workstation 4.0 Windows 2000 Professional デスクトップクライアント、ごく小規模なワークグループサーバ
Windows NT Server 4.0 Windows 2000 Server 部門サーバ、小規模〜中規模サーバ
Windows NT Server 4.0 Enterprise Edition Windows 2000 Adanced Server より強力な中規模、大規模サーバ向け。各種インターネットサービス(WWWサーバなど)を統合的に実現することが可能
該当なし Windows 2000 Datacenter Server データウェアハウス、経済分析、各種エンジニアリング用途などに使用する大規模サーバ向け
Windows NT 4.0とWindows 2000パッケージの関係

 別稿のコラムからも分かるとおり、現在プレリリースが実施されているのはAdvanced Serverまでであり、Datacenter Serverは含まれていない。Datacenter Serverについては、他のWindows 2000製品から数カ月遅れての出荷が予定されている。

 各Windows 2000パッケージの製品概要は、次のとおりである。ただしこれらは、ベータ3時点で発表されているもので、またPC/AT互換機およびNEC PC-9800シリーズのものである。ほかにも、COMPAQ Alphaシステム向けのWindows 2000の各パッケージがある。

([追加情報]その後、製品版での必要システム要件が発表された。この情報については「Insider's eye--Windows 2000 Advanced Server日本語版の出荷は2000年3月3日」を参照)

  Windows 2000 Professional Windows 2000 Server Windows 2000 Advanced Server
プロセッサ Pentium-166MHz以上(または互換プロセッサ) Pentium-166MHz以上(または互換プロセッサ) Pentium-166MHz以上(または互換プロセッサ)
SMPサポート 最大2プロセッサ 最大4プロセッサ 最大8プロセッサ
必要メモリ 32Mbytes以上 64Mbytes 64Mbytes
推奨メモリ 64Mbytes 128Mbytes 128Mbytes
最大メモリ 4Gbytes 4Gbytes 8Gbytes
ハードディスク容量 900Mbytes以上(インストール条件により変化する) システムの搭載メモリの2倍に900Mbytesを加えた容量(インストール条件により変化する) システムの搭載メモリの2倍に900Mbytesを加えた容量(インストール条件により変化する)
ディスプレイサブシステム VGA以上 VGA以上 VGA以上
その他のリムーバルストレージ CD-ROMドライブ*1/3.5 FDD*2 CD-ROMドライブ*1/3.5 FDD*2 CD-ROMドライブ*1/3.5 FDD*2
その他のデバイス キーボード/マウス/ネットワークアダプタ*3 キーボード/マウス/ネットワークアダプタ*3 キーボード/マウス/ネットワークアダプタ*3
アップグレード可能なOS Windows 95/Windows 98(SE)/Windows NT Workstation(3.51/ 4.0) Windows NT Server(3.51/4.0)/Windows NT Server 4.0 Terminal Edition Windows NT Server(3.51/4.0)/Windows NT Server 4.0 Terminal Edition/Windows NT Server 4.0 Enterprise Edition
出荷予定(米国/日本)*4 2000年2月ごろ/3月ごろ 2000年2月ごろ/3月ごろ 2000年2月ごろ/3月ごろ
Windows 2000パッケージの製品仕様
*1:12倍速以上を推奨。ネットワークインストールを利用する場合には不要。
*2:CD-ROMドライブから起動可能なシステムなどでは不要。
*3:ネットワークに接続する場合。
*4:マイクロソフトの公式発表ではない。
 
 
     
 INDEX
  [特集]Windows 2000とは何か?
1. イントロダクション
    コラム:Windows 2000ベータ3パッケージの内容
  2. マイクロソフトのWindows2000戦略
    コラム:Windows NTの歴史
    コラム:コンシューマ向けWindowsの今後のロードマップ(1)
    コラム:コンシューマ向けWindowsの今後のロードマップ(2)
  3. Windows 2000 Professionalの概要(1) インストール/セットアップ
  4. Windows 2000 Professionalの概要(2) ユーザーインターフェイスの改良
  5. Windows 2000 Professionalの概要(3) デバイスサポート/電源管理機能
  6. Windows 2000 Professionalの概要(4) システムの強化
  7. Windows 2000 Professionalの概要(5) ネットワーク機能の強化
  8. Windows 2000 Serverの概要(1) 管理ツールとActive Directoryサービス
  9. Windows 2000 Serverの概要(2) ファイル/プリンタ共有サービス
  10. Windows 2000 Serverの概要(3) ネットワークとリモートアクセスサービス
  11. Windows 2000 Serverの概要(4) アプリケーションサービスとAdvanced Server
 

 更新履歴

【2000.1.26】「Windows 2000のパッケージ構成」の見出し部分にある「Windows 2000パッケージの製品仕様」の表はベータ3時点でのものです。その後、製品版での必要システム要件が公表されました。この情報ページへの参照を追加しました。
【2000.1.20】(お詫びと訂正)「一般公募のベータ3ユーザーに対しては、11月中旬ころよりRC2版が配布される予定」の見出し部分において、Windows 2000 ベータ3のビルド番号を「2071」と表記していましたが、これは「2031」の誤りでした。お詫びして訂正させていただきます。
【2000.1.20】「一般公募のベータ3ユーザーに対しては、11月中旬ころよりRC2版が配布される予定」の見出し部分に対し、その後の動向を「追加情報」として追加しました。
 
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