特集Windows 2000とは何か ?1.イントロダクションデジタルアドバンテージ |
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Windows 2000は、主にビジネスユーザー向けのフル32bitオペレーティングシステムであるWindows NT 4.0の後継として、現在マイクロソフトが開発を進めているOSである。このWindows 2000の出荷が秒読み段階に入っている。米国では、開発途中バージョンであるベータ3が、1999年4月末に65万人の開発者、インテグレータ、ユーザーなどに配布された。また日本国内でも、日本向けにローカライズされたベータ3が9月末から10月にかけて、申し込みを行った4万人のユーザーに向けて配布され、広範なベータテストが実施されている。
Windows 2000の実行画面 |
Windows 2000 Professionalを実行しているところ(画面は先ごろ配布が開始されたRC2のもの)。この画面を一見しただけでは、Windows 98や前バージョンのNT 4.0との違いが分からない。しかしWindows 2000では、細かな部分まで含めると、多くの点で新機能の追加や機能の改良、機能拡張などが行われている。 |
画面を見ただけでは、既存のWindows 98やNT 4.0との違いは分からない。しかしこのWindows 2000には、マイクロソフトの次世代オペレーティングシステムとして、数々の機能追加や改良が行われている。これらの拡張はどのようなもので、誰をターゲットとしたものなのか。ここでは最新動向から、マイクロソフトの戦略、Windows 2000がターゲットとするユーザー像などを簡単にまとめてみよう。
一般公募のベータ3ユーザーに対しては、11月中旬ころよりRC2版が配布される予定
まず最初は、Windows 2000の現在(1999年10月末現在)のステータスについて確認しておこう。
現在Windows 2000は、プログラマやハードウェア/ソフトウェアベンダ各社、大企業ユーザー、マイクロソフト社のパートナー企業に加え、マイクロソフト社のWebサイトで申し込みを行った4万人のユーザーに対し、開発途中版が配布され、テストが続けられている(Windows 2000日本語プレリリース版提供開始のニュースリリース)。このうち一般公募で申し込みを行ったユーザーに対しては、9月末ごろより、ベータ版としては最終バージョンとなるベータ3(ビルド番号は2031)を収録したパッケージが配布された(パッケージの詳しい内容についてはコラム「Windows 2000ベータ3パッケージの内容」)。ただしこれと並行する形で、ベータ3の次バージョンであるRC1(Release Candidate。ビルド番号は2072)が、9月上旬から順次開発者やパートナー企業などに配布されている。
そして先ごろ、RC1の配布先である開発者やプレスに対して、RC2(ビルド番号は2128)の配布が開始された。一般公募ユーザーに対しては、RC1は配布されなかったが、このRC2については、11月中旬ころより配布が行われる模様である。
このRC2が最終のRC版となるのか、それともRC3、RC4…とまだRC版が続くのかは明らかではない。マイクロソフトの説明によれば、必要なだけRC版でのテストを繰り返し、製品化の直前にファイナルRTM(Release To Manufacturing)版が公開されるとしている(ただし一般公募ユーザーにこのRTM版が送られるかどうかは不明)。
([追加情報]その後、ベータ3プレリリース版ユーザーに対してRC2版が配布されるとともに、パソコン専門誌の付録CD-ROMにもこのRC2版が収録され、広く配布されることとなった。関連記事「Insider's eye--速報:マイクロソフト、日本語版Windows 2000の発売日、価格、マーケティングプランを正式発表(1-2)」を参照。なお、プレリリース版ユーザーへのRTM版の配布は行われなかった。RTM版の詳細については「Insider's eye--速報:Windows 2000製品版CD-ROMの内容」を参照)
製品版は米国で2月、日本では今期内出荷が有力?
今年(1999年)6月に開催されたWindows 2000に関する開発者向けの説明会では、Windows 2000の出荷スケジュールは、「年内に開発を完了、英語版出荷からの日本語版の遅れは1カ月」だとされている。一部米国の報道では、11月にラスベガスで開催されるCOMDEXのころまでにコードをフリーズ(開発を完了)し、年内には出荷の見通しとも言われていたが、最近の報道では、この開発者向け説明会での発表どおりに進行しているようだ。米Dell Computer社が開催したDirectConnectカンファレンスにおいて、ビル・ゲイツ氏もこのように発言している(BetaNews.Comのニュースを参照)。ただし、マイクロソフト社長のスティーブ・バルマーの発言を見ても、また開発者向け説明会での発表でも、早期の出荷よりも「品質を最優先」するということなので、場合によってはさらに出荷が遅れる可能性はある。Windows 2000の主要なターゲットは、何より安定性を重視するビジネスユーザーであることを考えれば、しかたのないことだろう。
Windows 2000のパッケージ構成
現行のWindows NT 4.0では、デスクトップ向けのパッケージとしてWindows NT Workstation 4.0が、部門レベルの比較的小規模なサーバ用途向けとしてWindows NT Server 4.0が、さらに大規模なネットワークサーバ向けとしてWindows NT Server 4.0 Enterprise Editionが提供されている。これに対しWindows 2000では、それぞれに対応するパッケージとして、Windows 2000 Professional、Server、Advanced Serverが提供される予定である。さらにWindows 2000では、より大規模なデータウェアハウスや計量経済分析、エンジニアリング用のサーバ向けとして、Windows 2000 Datacenter Serverが出荷される。これらの関係をまとめると次のようになる。
現行パッケージ | Windows 2000パッケージ | 主な用途 |
Windows NT Workstation 4.0 | Windows 2000 Professional | デスクトップクライアント、ごく小規模なワークグループサーバ |
Windows NT Server 4.0 | Windows 2000 Server | 部門サーバ、小規模〜中規模サーバ |
Windows NT Server 4.0 Enterprise Edition | Windows 2000 Adanced Server | より強力な中規模、大規模サーバ向け。各種インターネットサービス(WWWサーバなど)を統合的に実現することが可能 |
該当なし | Windows 2000 Datacenter Server | データウェアハウス、経済分析、各種エンジニアリング用途などに使用する大規模サーバ向け |
Windows NT 4.0とWindows 2000パッケージの関係 |
別稿のコラムからも分かるとおり、現在プレリリースが実施されているのはAdvanced Serverまでであり、Datacenter Serverは含まれていない。Datacenter Serverについては、他のWindows 2000製品から数カ月遅れての出荷が予定されている。
各Windows 2000パッケージの製品概要は、次のとおりである。ただしこれらは、ベータ3時点で発表されているもので、またPC/AT互換機およびNEC PC-9800シリーズのものである。ほかにも、COMPAQ Alphaシステム向けのWindows 2000の各パッケージがある。
([追加情報]その後、製品版での必要システム要件が発表された。この情報については「Insider's eye--Windows 2000 Advanced Server日本語版の出荷は2000年3月3日」を参照)
Windows 2000 Professional | Windows 2000 Server | Windows 2000 Advanced Server | |
プロセッサ | Pentium-166MHz以上(または互換プロセッサ) | Pentium-166MHz以上(または互換プロセッサ) | Pentium-166MHz以上(または互換プロセッサ) |
SMPサポート | 最大2プロセッサ | 最大4プロセッサ | 最大8プロセッサ |
必要メモリ | 32Mbytes以上 | 64Mbytes | 64Mbytes |
推奨メモリ | 64Mbytes | 128Mbytes | 128Mbytes |
最大メモリ | 4Gbytes | 4Gbytes | 8Gbytes |
ハードディスク容量 | 900Mbytes以上(インストール条件により変化する) | システムの搭載メモリの2倍に900Mbytesを加えた容量(インストール条件により変化する) | システムの搭載メモリの2倍に900Mbytesを加えた容量(インストール条件により変化する) |
ディスプレイサブシステム | VGA以上 | VGA以上 | VGA以上 |
その他のリムーバルストレージ | CD-ROMドライブ*1/3.5 FDD*2 | CD-ROMドライブ*1/3.5 FDD*2 | CD-ROMドライブ*1/3.5 FDD*2 |
その他のデバイス | キーボード/マウス/ネットワークアダプタ*3 | キーボード/マウス/ネットワークアダプタ*3 | キーボード/マウス/ネットワークアダプタ*3 |
アップグレード可能なOS | Windows 95/Windows 98(SE)/Windows NT Workstation(3.51/ 4.0) | Windows NT Server(3.51/4.0)/Windows NT Server 4.0 Terminal Edition | Windows NT Server(3.51/4.0)/Windows NT Server 4.0 Terminal Edition/Windows NT Server 4.0 Enterprise Edition |
出荷予定(米国/日本)*4 | 2000年2月ごろ/3月ごろ | 2000年2月ごろ/3月ごろ | 2000年2月ごろ/3月ごろ |
Windows 2000パッケージの製品仕様 | |||
*1:12倍速以上を推奨。ネットワークインストールを利用する場合には不要。 *2:CD-ROMドライブから起動可能なシステムなどでは不要。 *3:ネットワークに接続する場合。 *4:マイクロソフトの公式発表ではない。 |
更新履歴 |
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