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月刊IFRSフォーラム(2)

1月:3分で分かる公開会社法/トップ10

垣内郁栄
IFRS 国際会計基準フォーラム
2010/1/27

企業に対する新たな法規制か? 1月の月刊IFRSフォーラムでは企業の経営戦略に大きな影響を与えそうな「公開会社法」の概略を説明します。1月のトップ10記事も紹介。

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3分で分かる公開会社法

 上場企業は企業統治に関して会社法などでさまざまな規制が課されています。金融商品取引法ですが、IFRSも上場企業に対する財務報告の開示に関する規制の1つととらえることができるでしょう。そして、IFRSと同様に注目を集め始めているのが、民主党政権が2011年にも法制化を検討している「公開会社法」(仮称)です。

 公開会社法は民主党が「民主党政策集INDEX2009」で実現を目指すことをうたっています。その概要は「株式を公開している会社等は、投資家、取引先や労働者、地域などさまざまなステークホルダー(利害関係者)への責任を果たすことが求められます。公開会社に適用される特別法として、情報開示や会計監査などを強化し、健全なガバナンス(企業統治)を担保する公開会社法の制定を検討します」ということであり、民主党の「公開会社法プロジェクトチーム」が中心となって検討しているようです。法務省も近く検討を開始するとみられています。

 プロジェクトチームのメンバーである民主党の参院議員 藤末健三氏の記事によると、公開会社法のポイントは以下です。

1.情報開示の徹底
2.内部統制の強化
3.企業集団の明確化

 公開会社法はこのポイントを達成するために、現行の会社法と金融商品取引法の関係を整理し、法制化するようです。上記の藤末氏の記事やプロジェクトチームの資料、プロジェクトチームの事務局長を務める民主党 参院議員の大久保勉氏へのインタビュー記事によると、いま検討されている具体的な内容は以下です。

  • 金融商品取引法の情報開示制度、財務諸表制度、会計監査制度を準用することにより、情報開示を強化する
  • 取締役のうち社外取締役の人数を最低3分の1以上にする
  • 監査役の一部を従業員代表から選任する
  • 公認会計士、監査法人の監査役会等に対する報告義務を設ける
  • 会計監査人の選任、報酬決定の権限を監査役会等に移行する
  • 親子上場の禁止
  • 子会社の重要な意思決定は親会社の株主総会で承認する
  • 親会社は、子会社の取締役による業務執行を指揮できる

 この中でさまざまな意見を集めているのは「取締役のうち社外取締役の人数を最低3分の1以上する」「監査役の一部を従業員代表から選任する」「親子上場の禁止」などです。プロジェクトチームはこれらの実現で、コーポレート・ガバナンスのレベルアップや、従業員の意見を経営に反映させる仕組みの導入、監査役の機能性強化、親会社の子会社に対する責任を明確にし、企業集団を基本単位とする、などが達成できるとしています。会社法と金融商品取引法が整理されることで、それぞれに関する開示や監査の作業負荷の軽減も期待できるかもしれません。

 しかし、企業側からは公開会社法が想定する規制内容は、経営の自由度を奪うように見えるようです。一方、藤末氏は記事の中で、近年の企業会計を巡る事件を挙げて「現在の日本における企業の行動が野放図になっている」と規制強化を訴えています。日本企業の競争力強化や規制緩和などの議論とも相まって、公開会社法を巡る論議は今後、活発になると予測しています。IFRSフォーラムでもできるかぎりウオッチを続けます。

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