ジャストシステム、ナレッジの“見える化”を支援するソフト

2002/7/31

 ジャストシステムは7月30日、自由度の高い文書検索などを実現し、企業のナレッジを蓄積、共有するためのソフトウェア「ConceptBase」をバージョンアップし、9月26日より「ConceptBase IV」として販売すると発表した。

ジャストシステム 代表取締役社長 浮川和宣氏

 今回のバージョンアップのポイントは、「ナレッジ・ガバナンス」。同社 代表取締役社長 浮川和宣氏は、「ナレッジ・ガバナンスとは、経営や事業をナレッジの視点でとられ、自社の知識資産の価値を最大化する仕組みを作ること」だという。

 そのうえで、企業の知識資産をどう活用するかに、今後の日本企業の活路があるとする。「生産拠点はすでに中国などの国外へ移転している。現在の日本の国外への移転比率は、米国の半分。いずれ、米国と同じか、それ以上になる可能性がある。そうすると、残るのはナレッジ。これを活用して、高度な知識産業へ展開することが必要だ」と強調する。しかし、時間はそれほどないともいう。「私は2010年問題があると考えている。経済成長を引っ張ってきた団塊の世代が、この年を中心にどんどん定年を迎え、これまで聞けば答えてくれた人が消えていく」と、知識や経験をナレッジ化するまでの時間は限られていると述べた。

 そして同氏は、知識のナレッジ化、つまり知識の“見える化”を支援し、さらに業務に応じた知識活用方法を提示できるのが、ConceptBase IVだと締めくくった。

 次にConceptBaseの開発コンセプトを説明した同社 執行役員 技術戦略室長 植松直也氏によれば、Conceptベースをうまく活用している企業の成功事例を分析すると、さまざまな業務ノウハウなどを分類などをするノウハウ習得型、探したいテーマを明確にして共有する知識気付き型、さまざまなテキストマイニング方法を用意する知識深堀型の3つのタイプがあるという。

 この3つのタイプを、さらに細分化して分析すると、まず知識全体をきちんと把握するナレッジマップがあり、さらに自分に必要なさまざまな知識の探索が可能なナレッジ・ファインディングがあると考え、これをある程度だれもが使えるようにした製品がConceptBaseであるという。そのため、同社は新バージョンのCoceptBaseをナレッジ・アウェアネス・サーバと呼ぶ。

 新製品に搭載されている機能としては、まず「ナレッジマップ」機能がある。ナレッジマップ機能を利用することで、さまざまな視点や切り口などで知識を活用できる。具体的には業務知識やノウハウを「ビューポイント」として登録し、それに従って知識を整理・体系化する。

 また、整理・体系化した知識も、すべてその本文を読んでいくのでは、同じ知識を共有するにしても個々人の理解力などで差がついてしまう。それを補うために「クイック・ナレッジブラウザ」によって、本文を自動的に要約してヘッドライン化し、だれもが簡単に本文の内容を理解できるようにする。さらに、ヘッドラインを読んで本文を読む場合でも、最も知りたいであろう部分を最初に表示し、目的の知識を素早く見つけることができるようにしているという。

 「ナレッジファインダー」は、文書を内容別に整理する機能。いったんナレッジマップで知識を整理・体系化しても、整理・体系化された文書が膨大では、その全体像を把握するのは容易ではない。そのため、さらにデータを話題別に自動的に分類などにして、全体の傾向などを把握しやすくする。また、人や時間、場所などで文書を分析することもでき、どのような話題にだれが、いつ文書を作成したのかなどを表示できるほか、キーワードごとに文書を再整理することも可能だ。

 ジャストシステムでは2002年度下期だけで、600サーバの受注を目標としている。製品価格は1サーバ版で500万円から、年間保守料は100万円からとなる。対応OSはWindows NT Server 4.0(Service Pack 5以上)、Windows 2000 Server(Service Pack 2以上)。なお、ジャストシステムは、こうした機能を搭載していない「ConceptBase Serch1000 Ver.4.0」も同時に販売する。こちらは200万円から、年間保守料は40万円からとなる。

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ジャストシステムの発表資料

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