「本当の意味でグリッドが完成する」ためのロードマップ

2004/1/15

日本IBM グリッド・ビジネス事業部 技術理事 関孝則氏

 日本IBMのグリッド・ビジネス事業部 技術理事 関孝則氏は、IBM製品のグリッド・コンピューティング対応についてのロードマップを明らかにした。すでにいくつかの製品はグリッド・コンピューティングに対応していて、ローマップの製品がすべて出荷した段階で、「本当の意味でのグリッドが完成する」と述べた。

 関氏は稚内北星学園大学主催、コンポーネントスクエア共催のイベント「丸山先生レクチャーシリーズ in 東京 2003 〜Webサービス、J2EE1.4、Grid〜」で講演した。関氏はグリッド・コンピューティングの発展を、「プロセッサの仮想化・統合」「異機種環境でのデータの統合」「分散環境でコンピュータを仮想的に連携させた中でのシステムの弾力性、回復性の実現」「ユーティリティのようにコンピュータ・リソース、データを利用するオンデマンド」の順に進むと説明した。

 関氏が示したIBMのグリッド・コンピューティング実現へのロードマップの中には、すでにIBMが出荷したり、出荷間近の製品がある。関氏は2004年中にWebアプリケーションサーバの「WebSphere」にグリッド・コンピューティングの標準規格「OGSA」(Open Grid Service Architecture)の機能を搭載することを説明し、「サービスのユーティリティ化が実現する」と述べた。Globus Toolkit V3をベースにしたOGSAはWebSphereの各製品に標準搭載されるという。異機種混在環境でデータベースを仮想化し、1つに統合する「DB2 Information Integrator」やファイルレベルでグリッド化を実現する「Grid Toolbox」、ストレージ・レベルでグリッド化を進める製品もすでに発表された。

 関氏によると、IBMは異機種混在環境でサービスの応答時間をモニターし、必要ならボトルネックを特定、動的に負荷分散を行う「e-Workload Management」を開発中だという。現在ベータ版で、この製品が展開できるようになると「グリッドらしくなってくる」と説明した。IBMはほかに課金管理やトランザクション管理の製品も開発中とみられ、これらの製品が出そろい、ロードマップが完成した段階でグリッド・コンピューティングが真価を発揮するとの考えを示した。

(編集局 垣内郁栄)

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