組み込みソフト開発の需要爆発? NECが新組織を設立
2005/1/22
NECは家電メーカーなど組み込みソフトウェア開発に対する需要の高まりに対応し、NECグループの組み込み開発に対するこれまでのノウハウや技術をソリューションとして顧客企業に提供すると1月21日に発表した。ソリューション提供を推進する組織として「組込みソリューション事業推進センター」(仮称)を2005年4月に立ち上げる。2007年に1000億円超の売り上げを目指す。
NECの執行役員 丸山好一氏 |
NECの執行役員 丸山好一氏は組み込みソフトウェア開発の需要が製造業を中心に高まっている背景として「ネットワーク化や高機能化でカーナビ、携帯電話、情報家電を中心に開発コストに占める組み込みソフトウェアの比率が急拡大している」と指摘した。NECの調査によると、開発費全体に占める組み込みソフトウェアの比率は、カーナビが60%、携帯電話が80%、デジタルTVで50%になるという。
ネットワーク化、高機能化で組み込みソフトウェアの開発規模も増大していて、「ここ3〜5年でソフトウェアの開発規模は5〜10倍の数百万行レベルに達し、今後も増加傾向にある」(丸山氏)。開発規模の増大と同時に、メーカーは製品ライフサイクルの短縮化による短期開発が求められていると丸山氏は説明し、「各企業の緊急課題となっている」と述べた。
一方、グループ内にNECエレクトロニクスやNECソフト、NEC通信システム、NECシステムテクノロジーなど組み込みソフトウェアの開発を行ってきた企業を抱えるNECにとっては、自らの技術やノウハウを外販するチャンスにもなる。NECの試算によると、組み込みソフトウェアの国内市場規模は2003年で約1兆円。2007年には2倍の2兆円規模に拡大するとみている。また、経済産業省の統計によると組み込みソフトウェア開発の技術者数は2003年で約15万人だという。
NECは4月に数十人規模の組み込みソリューション事業推進センターを設立し、主に4つのソリューションを自動車メーカーやカーナビメーカー、情報家電メーカーなどに売り込む。「コンサルティングソリューション」は、NECのプロセスコンサルティングや、NEC通信システムのアーキテクチャコンサルティング、携帯電話開発で蓄積したLinuxのノウハウを持ち寄って、組み込みソフトウェア開発の開発プロセス改革や品質改善、アークテクチャ整備などを支援する。
「ITインフラソリューション」は、NECが使ってきた携帯電話開発の大規模プロジェクト管理ツール「Global-HIBIKI」や、システム・インテグレーション(SI)事業で使用し、すでに大手機器メーカーに外販しているプロジェクト管理ツール「ProcessDirector」と、他社製ツールを組み合わせて統合開発環境を構築し、顧客企業に提供する。統合開発環境の提供で組み込みソフトウェア開発の効率化を目指す。丸山氏は「ラショナルやボーランド、テレロジックなどは組み込みソフトウェアの開発ツールを展開しているが、プロジェクト管理ツールは彼らの中にはない」と指摘し、NECのプロジェクト管理ツールに自信を見せた。
「開発・設計ソリューション」では組み込みソフトウェアの受託開発を行う。グループ会社のそれぞれの強みを生かして組み込みソフトウェア関連の開発、設計、製造、検証を請け負う。組み込みソフトウェアに加えて、ASICや基盤を含めたハードウェアの開発や製造、ソフトウェアとハードウェアが一体となった組み込みソフトウェアの検証サービスを提供するとしている。
「コンポーネントソリューション」ではOSやミドルウェア、半導体を組み合わせたプラットフォーム製品を顧客メーカーに提供し、組み込みソフトウェア開発の効率化、迅速化、高機能化を支援する。Linux技術やNECエレクトロニクスの車載機器、情報家電向け半導体技術を組み合わせたプラットフォーム製品を提供。動作検証なども行う考えだ。
NECは、NECソフト、NECシステムテクノロジーを100%子会社化することを予定している。子会社化によってNECグループのソフトウェア開発力やSIサービスを強化することが狙い。丸山氏は組み込みソフトウェア事業の強化も「NECソフト、NECシステムテクノロジーの再編の一環」と説明した。
(@IT 垣内郁栄)
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