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日本のノートPC市場で国産メーカーは安泰か?
2007/12/03
先週の@IT NewsInsightのアクセスランキング第1位は「空前の人材不足でもエンジニアが大事にされないのはなぜか」だった。企業情報システムの現場では世界的にIT人材が不足していて、中でも特に日本は深刻。シマンテックが世界的に行った調査でそんな現状が浮き彫りになった。3位の「国産ベンダが目覚める前にエンジニアの空洞化が始まる」と併せて読むと暗然とした気分になる。
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個人的に気になったニュースは「アップル、MacBookが“絶好調”」というeWEEKのレポート記事だ。ノートPCが売れているという。@ITには掲載しなかったが、同時期のeWEEKの記事に「ノートPC出荷台数はいつデスクトップを超えるのか」というのもあった。北米ではノートPCの出荷が好調で、まもなく出荷の過半をノートPCが占めるようになるだろうという。
これは日本人からするとタイムスリップしたような錯覚を覚えるタイトルだ。電子情報技術産業協会(JEITA)によれば、日本の国内市場でノートPCの出荷台数がデスクトップを上回ったのは2000年度のことだ。日本市場と北米市場で7、8年のズレがある。
小さい物好きは日本人の特殊な嗜好だと考えられていたフシがあるが、実はノートPCへの移行という流れでは日本のトレンドが先行していただけのようだ。
ここで記者が気になっているのは高品質でセクシーなノートPCや液晶一体型PCを多く出していながら、日本のPCメーカーが北米など世界市場で存在感がないことだ。周回遅れでやってきたデル(参考記事:「デル、オールインワンPCを全世界投入へ」)や、飛ぶ鳥を落とす勢いのアップルに対して、世界の一体型PC市場で戦えるような製品を、国産メーカーは出しているだろうか。
個人的な印象ではデルの一体型PC「XPS One」はNECや富士通、あるいはソニーなどの製品に比べて、日本の一般ユーザーへの訴求力に欠けるように思う。価格は安いが、地上波テレビチューナー非搭載、次世代DVDにも非対応などツメが甘いように思う。標準でずらりとアプリケーションが入っていて、日本向けのサービスのアイコンがデスクトップに並ぶような国産PCに比べて、何となくXPS Oneは素っ気ない。むしろPCに詳しいユーザーに支持されそうな製品だ。デルがこの市場で国内シェアを奪うことは、そう簡単にはできないだろう。それが発表会に参加した記者の持った印象だ。
しかし、記者の感想は「だから国産メーカーは安泰」というのとは正反対だ。国内ニーズに特化した製品を作るのにいくら長けていても、いつか一気に国産メーカーPCがシェアを奪われるのではないか、と思えるのだ。グローバルな資本力と開発力、調達力を備えた巨大PCメーカーに対して、本当に今後戦っていけるのか。日本のニーズを汲み、アプリケーションでも圧倒的優位だったPC-9801帝国がDOS/V陣営の前にあっけなく崩れ去ったように、国産メーカーのノートPCや一体型PCのシェアも大きく奪われることがあるのではないか。少なくとも日本市場を除いた地域では、すでにXPS Oneが広く受け入れられる素地があるように思う。そこはかとなくバタ臭いXPS Oneのたたずまいを見ていて、どうして国産メーカーは7年も先行した市場で、世界市場で受け入れられるような一体型PCを出せていないのだろうかと、かすかな不安がよぎった。
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