Weekly Top 10
不満あれこれでも楽しいiPhone
2008/07/14
先週の@IT NewsInsightのアクセスランキングは第1位は「グーグル、また基盤技術の1つをオープンソース化」だった。C++向けテストツールなどソフトウェア開発関連ツールをオープンソース化する動きが続いた。
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先週のオンラインメディアはiPhone一色だった。記者も密かに1台入手した。大手量販店や表参道のソフトバンクショップに並んで徹夜するほど前のめりにはなれなかったので、朝いつもより1時間早く起き、ネットで様子を見た上で地元のショップに出かけた。朝7時前に列の9人目に加わり、7時半過ぎには整理券をもらうことができた。ショップ側の理不尽な契約オプションの押しつけに閉口したり、USIMカードスロットのフタを開ける工具が欠品していて焦ったり、アクティベーションサーバに一向に接続できずに不安になったりしたいうことはあったが、どれも細かな話だ。
すでに米国市場向けiPhoneは何度か触れたことがあったし、デモンストレーション映像も何度も見ていたが、こうしたデバイスは自分で触ってこそ、初めてその「存在感」を確かめられるものだなと実感した。微妙な質感や操作感は、なかなか文字や写真では伝わらない。iPhoneのUIは、その小さなサイズからすると信じられないほど快適だ。あれこれネットを見て回ったり、App Storeでアプリケーションをインストールしてみたりするほどに、良く考えられたUIだということが分かる。
その一方、さっそく不満もたくさん出てきた。
1つはWebブラウザのSafariが不安定なこと。非常に頻繁(ひんぱん)に落ちるので、とてもWebサーフィンという感じにならない。確かに、PCと同等のWebページが表示されるし、タブブラウズに近いこともできる。狭い画面用に考え抜かれたズーミングUIは、どういうアルゴリズムか良く分からないが、こちらの意図を見透かしたように必要なところだけをズームイン・ズームアウトをしてくれて快適だ。しかし、いかんせん数ページ開くたびに落ちるほど不安定で、これでは「開いたら何も見えなかった」ということがあるケータイのブラウザ環境とあまり変わらない。
アプリケーションも同様に不安定なものがあって少し驚く。Twitter用クライアントの「twitterific」は、何かの拍子にフリーズして、以後2度とまともに動かなくなった。結局、削除と再インストールが必要だった。New York Timesの購読専用アプリケーションも、永遠に待たされるばかりでコンテンツが落ちてこない。こうしたことは日本のケータイでは考えられないことだ。ただ、これは考えようによってはPCに近くていいのかもしれないとも思う。
Webを見る、Twitterでつぶやく、ヤフーのオークションを見る、写真をFlickrと連携する、RSSリーダーでいつものコンテンツを読む、地図とGPSを使うといったようなことは、軽快な専用アプリケーションがあるおかげで、ケータイよりもずっと使い勝手がいい。iPhoneは確かにモバイル・インターネットの最先端だ。今後、どんなアプリケーションが登場するか楽しみだ。ビジネスロジックでも計算処理でも「Javaは下手に書かれたCより速い」というのが今や常識だが、モバイルの世界ではVM上で走るマネージドコードより、ネイティブアプリケーションが復権するのではないかという気がしてくる。
日本語入力についてはケータイが断然楽だ。記者はポケベル入力であれば長文メールを書くのは苦にならないが、iPhoneの新しい入力方式はレスポンスが悪すぎてストレスがたまる。方式としては悪くないのかもしれないし、覚えればさくさく入力できそうなのだが、予測変換の候補を探しに行っているのか、どうも妙な「間」があちこちに入ってしまってタッチタイプ的な先行入力ができない。検索窓の予測とぶつかると、ほとんど制御不能になる。入力ミスを修正しようにも、何を処理しているのか分からないほど画面とユーザーのアクションがバラバラになってしまう。今さらケータイのメールがない生活は考えられないので、解約しようと思っていたauの端末と見比べつつ、どうしたものか思案している。これまで使えた動画メールも使えないのは困る。
iPhoneは、ケータイというよりもミニPCなのだろう。あれこれ機能を一通り試した後、音声通話ができることを一番最後に確かめてなぜかケータイのように話せるという事実にちょっと驚いてしまうほどケータイとは違う感じがする。
このほかにもiTunesやMobileMe関連でたくさん不満はあるのだが、そうしたことがあっても、それでも今のところはiPhoneが楽しいという、なにやら矛盾したワクワク感を感じている(本当のところ、もっとワクワクするのはsshでiPhoneにログインするというような話のほうだったりするが)。今後、モバイル・インターネットの世界がどう発展していくのか分からないが、確かにiPhoneは、その扉を少し開いたような気がしている。
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