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 @IT > SPSS事例探求 第5回 住友金属システムソリューションズ編
 
@IT[FYI] 企画、制作:@IT営業企画局
掲載内容有効期限2002年12月末日

 

◆ 実践e‐CRM 〜 SPSS製品 導入事例探求シリーズ
第5回 住友金属システムソリューションズ(SMISOL)編
「製造業の収益改善の切り札となるか?“品質データマイニング”の威力」

SPSSとSMISOLの協奏「品質データマイニング」

製造業における品質検査はいまや「全数検査」が当たり前になってきている。そこで得られる品質に関わる膨大なデータをどうにか収益改善に役立てたい、という製造業界のニーズにこたえるべく、SPSSとSMISOLがお互いのノウハウを生かした「分析システムソリューション」を提供している

【お知らせ】「株式会社住友金属システムソリューションズ」は、2003年1月14日より、新社名「キヤノンシステムソリューションズ株式会社」に変更となりました

 データマイニングの導入事例として取り上げられるものには、CRM(Customer Relationship Management)分野における事例が多く、ソフマップ編NTTソルコ編ギャガ・コミュニケーションズ編と、この導入事例探求シリーズでご紹介してきた事例はいずれもそうであった。

 今回は、いままでとは異なるデータマイニングの導入事例として、「株式会社住友金属システムソリューションズ」(略称SMISOL、以下SMISOL)に取材をし、製造業界で実績をあげている、目新しい導入事例をご紹介しよう。

 
製造業界の品質分野におけるデータマイニング

 CRMにおいては、顧客満足度の向上や販売予測、プロモーション施策の改善など、主に収益拡大を目的として、データマイニングが行われていることは皆さんもよくご存知だと思う。一方、製造業界では、売り上げ向上もさることながら、品質分野において製造不良要因を取り除き、「歩留まり(生産される製品の総数に対し、不良製品を差し引いた製品数の割合)」を向上させることが収益改善に直結するため、この「歩留まり改善」が大きな課題となっており、ここで真価を発揮しているのがデータマイニングだという。

 それでは、品質分野におけるデータマイニングの特徴をまとめてみよう。

一般的なマイニング(CRMの場合)
品質分野(不良要因分析の場合)
課題の
特徴
▼ルールの完全理解というよりは、顧客行動の事前予測値を業務に活かす、予測型が多い
▼社会データには、人の心理的な要因など不明瞭な部分があり、ルール理解が困難な場合あり
▼不良再発防止を目的とした改善アクションを起こすために、ルールの理解が必須
▼基本的には、物理法則に従うため分析者が真の因果関係を考察することが重要
データ
の特徴
▼件数:大量の顧客データが存在
▼属性:新規属性入手が比較的難しい

→ 件数が大量で、比較的限られた属性を持つデータよりマイニング
▼件数:中規模
▼属性:属性追加が容易で大量に
     異なる属性が存在
▼種類:多種類の異なる情報が存在
ex. 温度などのセンサー情報は時系列性があり、複雑な加工が必要

→中規模件数、種別の異なる大量属性を持つデータよりマイニング
表1 品質分野のデータマイニングの特徴 (出典:SMISOL)

 ここで注目していただきたいのが「データの特徴」の欄である。CRMでは、顧客データの件数は時間的な経過とともに無限に蓄積されていくが、属性に関しては限定されている。なぜなら、顧客属性に関してはプライバシーへの配慮もあり、データを収集する側で好きなように設定して、新たな属性を入手することは非常に困難だからだ。ところが、品質分野では、製造工程上に属性を収集するためのセンサーを設置することで、多種多様の属性をもつデータを比較的容易に収集することが可能なのである。ここに大きな違いがあるといえる。

 そこで、CRMにおけるデータマイニングとは違い、分析対象となるデータの件数自体は製品の生産数によって限定されるため、予想もできないほど大規模というわけではないが、多種多様な属性項目をもつデータを効率的にマイニングするための独自のノウハウというのが必要となってくる。

 
“品質データマイニング”に取り組むSMISOLの
精鋭部隊「数理技術室」

 現在SMISOLの第四開発本部に所属する「数理技術室」の母体は、1962年に創設された「住友金属工業株式会社 中央技術研究所 オートメーション研究室 ORグループ」であり、当初は、第二次世界大戦の作戦研究に端を発する“OR(Operational Research)”技術を同社の生産・物流システムに適用するための基礎研究に取り組んでいたという。

 その後、OR技術の基礎研究から実践へと展開し、適用範囲も同社社内から関係会社、そして顧客企業へと対象範囲を広げてきた。その中で培ってきたノウハウを活かし、現在の主な活動はOR技術を活用した生産・物流コンサルティングへと変貌をとげている。そこで提供されるソリューション領域は大きく3つに分けることができる。

  1. データマイニングなどの分析技術を駆使する「データ分析技術」
  2. 生産・配送計画などの設計・開発を行う「数理最適化技術」
  3. 生産・物流の改善などを目的とする「シミュレーション技術」

住友金属システムソリューションズ
第四開発本部 数理技術室
室長 熊本 和浩氏

数理技術室室長の熊本氏によれば、

「もともと親会社である住友金属工業の一部門としてやってきたこともあって、生産・物流分野における経験がもっとも多く、顧客企業全体の約70%は製造業です」

とのことだが、実際は、流通や金融、サービス、エネルギーなどの産業界のみならず、最近では医療分野(病院経営など)にもソリューションを提供しているそうだ。例えば、流通業では、クレジットカードの売り上げデータを分析することで販促活動を支援したり、サービス業では、Webのログデータをもとに商圏を分析したりといった実績もあるそうだ。

 また、熊本氏は今後の方向性について次のように語っている。

「データマイニングにおいては、製造業のシステム部門で培ったノウハウをもとに、製造業における品質分野に注力していきます」

住友金属システムソリューションズ
第四開発本部 数理技術室
シニアコンサルタント
山田 賢太郎氏

 同室の山田氏によれば、品質分野のデータマイニングはますますその重要性を高めているという。

「歩留まりの改善が必要な理由は大きくは2つあります。1つは、製造コストを押し上げる直接原因となっている製造不良を解消し、コスト削減を図ること、もう1つは製品の増産に比例して増加する機会損失を最小限に食い止めるということです。この改善のスピードアップが急務になってきた背景には、製品のライフサイクルが非常に短期化しているということが挙げられます」

 できるだけ早期に不良品や故障品の発生要因を発見し、改善策を施すことが「歩留まりの向上」を促し、こうした品質改善への取り組みが、いうまでもなく「顧客への信頼性の向上」につながっていく。そうであれば、たとえ製品のライフサイクルが短期化したとしても、企業としての競争力を失わずに、利益を確保していくことが可能となるだろう。

図1 プロダクトライフサイクルの短期化による不良品数の相関図 (出典:SMISOL)
ここでは、ライフサイクルが短期化した場合、従来のライフサイクル(青線)を上回る部分で不良品が生産されていることを示し、早期の歩留まり改善が必要なことが分かる

 
「歩留まり改善」の事例にみる、品質データマイニングの可能性

 SMISOLが実際に手がけたプロジェクトとして、歩留まり向上を狙った不良要因分析の事例を紹介しよう。

業種
素材製造業X社
課題
製品の検査不良率が悪化し、しかも不良要因の把握が困難な上に、非効率
分析方法
FS分析実施(2カ月)

 X社の依頼を受けた数理技術室では、早速データを入手してデータマイングを実施することになった。

図2 分析対象となった工程 (出典:SMISOL)
キズAは、加工処理1の段階で発生しているが、加工処理2のあとに実施される検査で発見される。検査後に「不良」となった製品は、再仕上げ処理に回され、再検査を受ける。この段階で「良」とならない製品は廃棄処分となる

No.
基準項目
属性
キズA
処理B
サイズC
温度D
温度E
1
50
2
65
3
無し
38












N
49
表2 キズAの有無を多数の要因(属性)から説明するために用いた分析対象データの一部 (出典:SMISOL)

住友金属システムソリューションズ
第四開発本部 数理技術室
シニアコンサルタント
淺田 克暢氏
同室の淺田氏によれば、

「このケースでは、製造工程上、検査段階でキズAが発見されたものは、再仕上げ処理を施していたため、製造コストの上昇をもたらしていました。そのうえ、不良発生要因の特定をしようにも、現場の“経験”と“勘”に頼らざるを得ず、誰もが納得するような有効な改善策を打ち出せずにいたわけです」

という状況だったそうだ。

 ところが、表2のデータを「決定木分析」したところ、思わぬ結果が導き出せたという。それまで「キズA」の発生には無関係と思われていた「温度D」が「キズA」の発生に深く関わっているということが発見されたのである(図3)。

図3 決定木分析による不良要因解明 (出典:SMISOL)
キズAが発生しやすい要因(属性)が枝分かれするチャート図の中で明らかになっている

 この結果を元に、SMISOLは、X社製品の歩留まり向上策として、

  • 処理Bの実施基準の見直し
  • 温度Dを低めに、温度Eを高めにする

といった改善を提案。それを実行した結果、不良品の発生率は低下し、同時に生産コストの低減にもつながったという。山田氏によれば、

「従来の品質管理で用いられてきた一般的な統計解析手法、例えば、いくつかの変数に基づいて層別分析を行う場合、限られた時間内で結論を出さないといけないために、分析者の経験により厳選されたいくつかの変数に基づいて分析するのが精一杯でした。データマイニングであれば、より多くの変数の中から重要な不良原因を探すことが可能になります」

ということだが、それはこの事例からもよくご理解いただけるであろう。

 
データ分析技術というソリューション領域で
Clementineが選ばれた理由とは?

 SMISOL数理技術室がデータ分析技術というソリューション領域において、SPSSのデータマイニングツール「Clementine」を選択した理由には、何が挙げられるのだろうか。

 まずその1つに「Clementine」の使いやすい“インターフェイス(GUI)”が挙げられるそうだ。というのも、ユーザーとなる品質分野における分析者は、そもそも統計解析そのものにはかなり精通した技術者であり、さまざまな角度から深い分析が行えるような自由度の高いツールを求めている場合が多いのである。同時に「Clementine」は、外部ツールの処理を一連の分析フローに取り込むためのインターフェイス“CEMI(Clementine External Module Interface)”を備えており、それによって十分な拡張性を確保しつつ、分析者のニーズに合わせて自由に分析することが可能になっている。

 もう1つは、やはり「コストパフォーマンス」という点であったという。データマイニング・ツールもほかのビジネス・アプリケーション同様に、最初から投資対効果(ROI)が目に見える形で保証されているわけではないので、製造コストの削減が見込めるとはいえ、製造業界の顧客も初期投資にはかなりシビアなのが実情らしい。その点で、他社製品と比較したところ、「Clementine」の採用が決定したそうだ。

 
新たなムーブメントを予感させるSPSSとSMISOLが提供する
データ分析システムソリューション

SPSS ビジネスインテリジェンス事業部
営業部 主任セールスコンサルタント
西牧 洋一郎氏

「データマイニングは、金融や流通分野でのCRMなどへの導入事例が先行していますが、私には製造分野でも十分に適用できるだろうという確信がありました。実際、昨年末くらいから、製造業の企業様からの引き合いが爆発的に増えています」

 SMISOL数理技術室を担当する、SPSSの西牧氏は「SMISOL数理技術室の方々とは、パートナー的な立場でお取り引きしていただいています」と切り出した。

 西牧氏の意味する「パートナー」とは、高度な分析スキルとシステム構築ノウハウを合わせ持つSMISOL数理技術室が、分析システム導入コンサルティング〜システム開発・運用といった一連の分析システムソリューションを提供する中で、SPSSが「Clementine」という分析エンジンを提供する役目を担っており、いわば二人三脚でソリューションを手がけているということである。

「以前は、品質管理手法といえば、“抜き取り検査”が主流でしたので、データ件数は限られていました。ところが、最近では“全数検査”が当たり前になってきています。しかも、あらゆる角度から検査データを取得するので、それこそ品質に関するデータは膨大な量になってしまいます。それで、これらの膨大なデータをなんとか活かしたい、という状況になってきているわけです。特に、製造業の品質分野では、歩留まりが1%改善するだけで、億単位というコスト削減が利益に直結する場合もありますから、こうしたデータマイニングを活用したデータ分析システムソリューションへの期待が急速に高まっているのではないでしょうか」

 製造業の顧客と日々接している西牧氏が、自信をもって「Clementine」を勧める理由がさらにもう1つある。

「製造業のお客様は、わりと分析プログラムを自社で開発されているケースが多いのですが、弊社のパッケージ製品だけでお客様がやりたいことはほとんでできるということにまず驚かれます。そして、『もう自社でプログラムを組む必要はない』ということも、同時にご理解いただけるようです。ですので、『Clementine』をカスタマイズして納品するケースはほとんどありません。むしろ、導入後に多彩な分析を行っていただけるよう、『スキル・トランスファー』に力を入れています」

 第4回のギャガ・コミュニケーションズ編でも触れたが、SPSSが力を入れているこの「スキル・トランスファー」というプロフェッショナル・サービスによって、SMISOL数理技術室が提供するデータ分析技術を核としたソリューションは、より強固に下支えられているようだ。

 SPSSとSMISOLのパートナーシップにより、製造業の品質分野では、データマイニングによる「歩留まり改善」が着実に成果を出しつつある。「まだ事例として公表されていませんが、すでに品質データマイニングで成果をあげている顧客企業は確実に存在しています」と打ち明ける西牧氏。「データマイニングは製造分野でも十分に適用できるだろう」という西牧氏の読み通りに、今後は製造業においても、データマイニングの導入事例が多く報告されることになるのではないだろうか。

SPSSでは、“Clementine”をはじめ、“SPSS WebApp”
“Text Mining for Clementine”など、
SPSS製品に関する各種資料やデータマイニングに関する
各種資料をご用意いたしております。

資料をご希望の方は、SPSSのHP内
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●資料一覧

  • CDカタログ(オートデモ、主要製品カタログほか)
  • 事例探求シリーズ
  • Survey Tips
  • SPSS Data Mining Tips
  • トレーニングコース案内
  • SPSS製品各種資料



Index
広告企画:実践e-CRM 〜 SPSS製品 導入事例探求シリーズ
  
第1回
 
 
 
第2回
NTTソルコ編
 
第3回
慶應SFC編
 
第4回
ギャガ・コミュニケーションズ編
第5回
住友金属システムソリューションズ編
 
第6回
アサツーディ・ケイ編
 
第7回
東京慈恵会医科大学編
  “Clementine 7.1”の新機能を一挙に紹介
 

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広告企画:実践e-CRM〜Clementine導入効果に迫る


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