NBT環境では、NetBIOSとTCP/IPプロトコルが組み合わせられた結果、さまざまな名前解決の手段が提供されている。NetBIOSのキャッシュとNBTのブロードキャストだけでなく、WINSサーバやDNSサーバ、lmhostsファイル、hostsファイルなどである。これらが実際にどのように組み合わされ、どのような順番で適用されるのかは、ネットワークの設定によって変わってくる。ここでは、NBT環境における名前解決の手段について解説しておく。
いままでの例では、NetBIOS名の解決方法として、ブロードキャストとWINSサーバへの問い合わせについて解説した。だが実際には、ネットワークの設定によってはWINSサーバを使わないこともある。これを決めるのが「NBTのノード・タイプ」と呼ばれる、NBTの名前解決手段のタイプである。ノード・タイプには以下のようなものがある。
タイプ | 動作 |
---|---|
b(broadcast)ノード | ブロードキャストのみを利用して名前の登録と解決を行う |
p(point-to-point)ノード | NetBIOSネーム・サーバ(WINSサーバ)を利用して名前の登録と解決を行う |
m(mixed)ノード | ブロードキャストを利用して名前の登録を行う。名前の解決はまずブロードキャストで試み、失敗すればNetBIOSネーム・サーバ(WINSサーバ)を利用する |
h(hybrid)ノード | NetBIOSネーム・サーバ(WINSサーバ)を利用して名前の登録と解決を行う。基本的にはpノードと同じだが、NetBIOSネーム・サーバでの解決が失敗するとブロードキャストを利用する |
NBTのノード・タイプ これらのノード・タイプは、RFC 1001(NBTの仕様書)で決められているものを基にして、Windowsネットワーク向けに機能拡張されたもの。NetBIOSネーム・サーバとは、NetBIOSの名前解決を担当するサーバのことであり(RFC中で定義された用語)、Windows OSではWINSサーバに相当する。 |
現在のノード・タイプの設定がどのようになっているかは、コマンド・プロンプト上で「ipconfig /all」を実行すればよい。「Node Type」のところに表示されているのがNBTのノード・タイプである。
C:\>ipconfig /all
Windows IP Configuration
Host Name . . . . . . . . . . . . : server
Primary Dns Suffix . . . . . . . : d-advantage.jp
Node Type . . . . . . . . . . . . : Hybrid …ノード・タイプ
IP Routing Enabled. . . . . . . . : Yes
WINS Proxy Enabled. . . . . . . . : No
DNS Suffix Search List. . . . . . : d-advantage.jp
(以下省略)
このノード・タイプはレジストリで設定することも可能であるが、一般的にはDHCPサーバ側で設定して、クライアント・マシンに配布する。レジストリの設定については、サポート技術情報の「Microsoft クライアントのデフォルトのノード タイプ」や「Microsoft Windows Server 2003 TCP/IP 実装詳細」にあるNodeTypeの説明を参照していただきたい。
NBTにおける名前解決は、以上のノード・タイプも組み合わせて、次のようになっている。上にある方が優先度が高く、先に試行が行われる。そして失敗すると、さらに次の手段(下の方)が順に実行される(ただしWindows OSのバージョンによって細部は異なる)。
ノード・タイプの種類に応じて、WINSサーバを参照するか、ブロードキャストを利用するかなどが変わるが、基本的にはこのような順番で解決が行われる。動的なデータベース(キャッシュやWINSサーバ)の優先度が高く、静的なデータベース(lmhostsファイルやhostsファイル)の優先度は低い。IPアドレスが動的に決まることが多く、またNetBIOS名とIPアドレスの関係が固定的でない場合が多いことを考えると、このような順番はそう違和感はないだろう。
Copyright© Digital Advantage Corp. All Rights Reserved.