スナップショット・モニタに基づくチューニングDB2チューニング・ベストプラクティス(5)(3/4 ページ)

» 2004年11月05日 00時00分 公開
[Fraser McArthurDB2 Enablement Consultant/IBM Canada Ltd.]

SHEAPTHRES_SHR(DBM)

 このパラメータは、同時に実行される共有ソートがインスタンス内で使用できるメモリの合計量に関するハード制限を表します。これが適用されるのは、

  1. INTRA_PARALLEL=YESの場合
  2. 接続コンセントレータがON
    (MAX_CONNECTIONS > MAX_COORDAGENTS)の場合

のいずれかです。WITH HOLDオプションを伴うカーソルを使用するソートは、共有メモリから割り振られます。

 「Shared Sort heap high water mark」は、一度に割り振られた最大の共有ソート・メモリを表します。この値がSHEAPTHRES_SHRより大幅に低い場合は、データベースのほかの機能にメモリを残しておくために、SHEAPTHRES_SHRの値を減らします。逆に、この値がSHEAPTHRES_SHRに非常に近い場合は、SHEAPTHRES_SHRの値を増やします。「Total Shared Sort heap allocated」(割り振られた共有ソート・ヒープの合計)は、すべてのソートのためのソート・ヒープ・スペースの割り振り済みページの総数です。この値がSHEAPTHRES_SHRと同じか、それより大きい場合は、SORTHEAPパラメータによって定義されたソート・ヒープがソート時にフルに利用されていないことを表します。これを解決するには、SHEAPTHRES_SHRのサイズを増やします。

 このパラメータの値は、SORTHEAPの倍数になるように設定します。

SORTHEAP(DB)

 このパラメータは、専用ソートで使用する専用メモリ・ページの最大数、または共有ソートで使用する共有メモリ・ページの最大数を定義します。それぞれのソートは、独立したソート・ヒープを持ちます。これらは、必要に応じてデータベース・マネージャによって割り振られます。

 ソートに必要なメモリの量がSORTHEAPの値を超えると、ソート・オーバーフローが発生します。このことはよく知られていますが、このほかにも統計情報が古い場合や、データに偏りがあるのに分散統計を収集していない場合にもオーバーフローが発生することは、あまり知られていません。これらの場合、DB2によって要求されるソート・ヒープが非常に小さく、要求された量を実際のソート操作が上回ると、オーバーフローが発生します。従って、統計を常に最新のものに保つことが重要です。また、適切な索引が存在しない結果としてソートが行われないように注意する必要があります。

 OLTPの場合は「128」、OLAPの場合は「4096」〜「8192」から始めるとよいでしょう。「Sort overflows」(ソート・オーバーフロー)の数が多い(2けた)場合は、おそらくSORTHEAPを増やす必要があるでしょう。「Number of hash join overflows」(ハッシュ結合のオーバーフローの数)が「0」でない場合は、「0」になるまでSORTHEAPを「256」ずつ増やします。「Number of small hash join overflows」(ハッシュ結合の短精度オーバーフローの数)が「0」でない場合は、「0」になるまでSORTHEAPを10%ずつ増やします。

CHNGPGS_THRESH(DB)

 このパラメータは、バッファ・プール内の変更済みページの割合(パーセンテージ)を指定するために使います。変更済みページの割合がこの値に達すると、非同期ページ・クリーナが起動され、変更がディスクに書き込まれます。これは、新しいデータのためのスペースをバッファ・プール内に確保するためです。読み取り専用環境では、ページ・クリーナは使用されません。OLTPでは、値を「20」〜「40」にするとパフォーマンスが向上します(更新処理を大量に行う場合は「20」に設定します)。その理由は、この値を低くすることにより、非同期ページ・クリーナがダーティーなバッファ・プール・ページをより頻繁に書き出すようになるからです(各回の処理時間は逆に短くなります)。INSERTやUPDATEの数が多くない場合は、OLTPでもOLAPでも、デフォルト値の「60」のままでよいでしょう

 「Dirty page steal cleaner triggers」(ダーティー・ページ・スチール・クリーナの起動数)の値が2けたである場合は、このパラメータの値を低くします。「Buffer pool data writes」(バッファ・プールのデータ書き込み回数)の値が高く、「Asynchronous pool data page writes」(バッファ・プールの非同期データ書き込み回数)の値が低い場合も、このパラメータの値を低くしてください。

 FixPak 4では、特定のバッファ・プールのパフォーマンスを向上させることのできる、新しいページ・クリーニング・アルゴリズムを利用できます。これを利用するには、プロファイル・レジストリ変数「DB2_USE_ALTERNATE_PAGE_CLEANING=YES」を設定します。この場合、CHNGPGS_THRESHの設定は無視されます。NUM_IOSERVERSの値が「3」以上であることを確認してください。そうでないと、この新しいアルゴリズムは適切に動作しません。

NUM_IOCLEANERS(DB)

 このパラメータは、データベースの非同期ページ・クリーナの数を定義します。非同期ページ・クリーナは、変更されたページをバッファ・プールからディスクに書き込みます。最初はこのパラメータの値を、システムのCPU数と同じに設定するとよいでしょう。非同期ページ・クリーナが起動される場合、それらはすべて同時に起動されるため、あまり数を多くし過ぎるとパフォーマンスが低下し、ほかの処理をブロックしてしまいます。

 AWP(Asynchronous Write Percentage:非同期書き込みパーセンテージ)が90%以上である場合は、NUM_IOCLEANERSを減らしてください。逆に、90%未満の場合は増やしてください。

AWP = (("Asynchronous pool data page writes" + 
        "Asynchronous pool index page writes") * 100) / 
("Buffer pool data writes" + "Buffer pool index writes")

NUM_IOSERVERS(DB)

 入出力サーバは、プリフェッチを実行するために使用されます。このパラメータは、データベースの入出力サーバの最大数を定義します。非プリフェッチ入出力はデータベース・エージェントから直接スケジューリングされるため、このパラメータには制約されません。最初はこのパラメータの値を、「データベースが存在している物理ディスクの数(ディスク・アレイ内や論理ボリューム内に多くのディスクが含まれる場合も同じです)+1または2」に設定します。ただし、CPUの数の4〜6倍を超えないようにしてください。CPUの数の4〜6倍を超えさえしなければ、値を大きくしてもパフォーマンスが低下することはありません。

「Time waited for prefetch (ms)」(プリフェッチ待ち時間)の値が秒単位で示される場合は、入出力サーバを追加して、パフォーマンスが向上するかどうかを確認します。

MAXFILOP(DB)

 このパラメータは、各データベース・エージェントに対してオープンできるファイルの最大数を定義します。この値より多くのファイルをオープンすると、エージェントによって使用中のファイルがいくつかクローズされます。ファイルのオープンとクローズが多過ぎると、パフォーマンスが低下します。SMS(システム管理スペース)表スペースとDMS(データベース管理スペース)表スペース・ファイル・コンテナは、どちらもファイルとして扱われます。一般的に、SMSの方が多くのファイルを使用します。

 「Database files closed」(クローズされたデータベース・ファイル)の値が「0」になるまで、この値を増やします。(次ページに続く)

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