この連載では、100人くらいのユーザーのいる小規模ネットワークに起こるさまざまなトラブルを、ネットワークツールを用いて解決していきます。主人公は、社内の管理者兼プログラマーの律子さん。前回のトラブル・シューティングの模様は第1回「LANから外に出られない」と、第2回「どうして課長だけプリントできない」をご参照ください。
ある朝出勤してくると、同僚の福嗣君が律子さんに話し掛けてきます。
「ちょっと話があるんだけど、いいかな?」
えっ、そんな、朝から。ちょっとドキドキしてしまう律子さんですが、される話は相変わらずネットワークの話です。
「なんか、たまに僕のマシン、ネットにつながらなくなるんだよね」
「たまに?」
「あ、そういやなんかたまにダイアログも出るんだけど、気にせず使ってたよ」
「それって、何かおかしくない?」
不安定なネットワーク接続をなんとかしてあげなきゃ。律子さんは管理者の使命に燃え上がりますが、何が起こっているのはあまり理解できていません。とりあえずpingを撃ってみたりして調査してみましたが、今のところ、特に問題は起こってないようです。
原因を究明するためにも、福嗣君のマシンにダイアログが出たときに呼び出してもらうようお願いしました。そして待つこと数日、忘れたころに呼び出しが掛かりました。福嗣君のマシンに出たメッセージを読んでみると、どうやらIPアドレスが重複しているようです。
こちらでホストのIPアドレスは重ならないように管理しているはずなのに……。さすがにネットワークに同じIPアドレスを持つマシンが2台あるのは管理者として許せません。
早速探し出してアドレスを変更してもらおうと思いますが、その前にどうやってIPアドレスが重なっていることを示せばいいのでしょう。相手によっては証拠を示さないと相手にすらしてもらえないかもしれません。
どうしよう、相変わらず律子さんはあたふたしてしまい、何も考え付きません。しばらく頭を抱えていると、メッセンジャーからメッセージが飛び込んできます。
「arp -aでIPアドレスとMACアドレスの対応表が見られますよ」
そうだ、MACアドレスが福嗣君のものと違うことが分かればいいのか。
証拠をつかむためにここで福嗣君にはいったんネットワーク接続を解除してもらいます。次に律子さんのマシンから、本来福嗣君が持っているはずのIPアドレスに向かってpingを打ちます。
そして、メッセンジャーからのメッセージに従って、コマンドを打ってみます。
arp -a
すると、以下のような対応表が現れました。
arp -a実行結果
C:\>arp -a Interface: 192.168.0.2 on Interface 0x1000005 Internet Address Physical Address Type 192.168.0.1 00-e0-00-66-2b-32 dynamic 192.168.0.5 00-90-99-bb-89-19 dynamic 192.168.0.7 00-03-93-d6-af-76 dynamic 192.168.0.120 00-40-63-c1-7b-2f dynamic
確かに何かが、福嗣君に割り当てられたIPアドレスを名乗っているようです。とはいえこの物理アドレスは福嗣君のマシンのものかもしれません。でも、どうやってマシンのMACアドレスを調べればいいのでしょう。
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