律子さんの会社では、基本的に1人1台マシンが支給されているのですが、プロジェクトの都合やリース期間切れなどで、意外と頻繁にマシンの変更が行われます。
そんなこともあってデータの移動は手慣れたものですが、つい忘れてしまうものがあります。パスワードです。
特にメールのパスワードなんかは最初に管理者に渡されたものを設定して(設定さえ管理者に任せっ切りの人もいますが)、それをアプリケーションに記憶させている人がたくさんいます。もちろんそういう人はマシンを移動するときにはパスワードは頭の中からすっかり抜け落ちているのです。一度しか打ち込んでいないので仕方ありませんが、そういう人に限って、なぜか渡されたパスワードが書かれた紙を紛失しています。発行したパスワードですが、管理者は発行後に廃棄して、基本的に本人しか知らないようにしているので、毎回再発行するしかありません。
また、律子さんの管理するネットワークでは、ユーザー自身のパスワードは自分で変更することができるようになっています。ユーザーが自分でパスワードを変更してしまった後では律子さんはまったくどうすることもできません。
困ったさん 「律子さん。またパスワードなくしちゃった」
律子 「またまたまたパスワードを再発行ですか」
困ったさん 「そう、よろしくね」
律子 「今度こそ、なくさないでくださいね。再発行するのも面倒なんですから」
しかも、プライベートのメールアドレスのパスワードが分からない……、なんてことをいってくる人もいます。そんなもの律子さんにも分かるはずがありません。
ただでさえ忙しいのに、このような人たちをいちいち相手にしているので、律子さんは家に帰るのがどんどん遅くなっていきます。忙しさがピークになるに従って、律子さんの声もだんだん殺気立ってきます。
そんな中、新しいPCを手に入れた手下の博君がやって来ます。
博君 「すみません、律子さん、ちょっといいですか?」
律子 「はあっ!?」
博君 「パスワードを再発行して……」
律子 「また?」
博君 「あの……、正確にいうと、OutlookExpressのパスワードに掛かっている******に隠れてるパスワードを教えてほしいのですが……」
律子 「もしかして、いつもパスワードをなくしたって、それのことをいっているの」
博君 「いやあ、いつも見えないからあきらめるんですよね」
あ、それならパスワードはネットワークに流れるから、メールの受信をキャプチャしたら分かるじゃない、ということで、パケットキャプチャをインストールして、パスワードを見て解決です。とはいえ毎回やるのはどうにも大掛かりで面倒です。これならパスワードを再発行した方が手間が掛からないような気もします。
律子さんはこのようなネットワーク便利屋稼業の積み重ねでいいかげん疲れてきました。もしかするとパスワードの再設定に追われて過労死してしまうのかも。律子さんはそんな怖い考えが頭の中をぐるぐると回りはじめてきました。それと同時に意識も飛んでいきます。
律子 「ああ、どうしよう」
しばらくして目を覚ました律子さんは、無意識のうちにNirsoftのページを開いていました。おお、もしかしたらここに私を助けてくれるツールがあるのかもしれない。
律子さんがサイト内をいろいろ見ていると、Protected Storage PassViewというツールがありました。これを使えばパスワードが取り出せると遠くから声が聞こえてきたような気がしますので、早速使ってみることにします。
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