高橋さんの唐突な一言で星野君たちはセミナーを受講することに。いままでのおさらいをするにはちょうどいい機会なのですが、集合場所にはまだ誰も来ていないようです……。
赤坂さん 「ごめーん。待ったぁー?」
星野君 「遅いですよ〜」
赤坂さん 「ごめんねー。ちょっと寝坊しちゃってー」
赤坂さんはいつになく眠そうだ。
星野君 「いっつも寝坊してますよね」
赤坂さん 「まあ、いいじゃないー。間に合ったんだしさー」
星野君 「そうですね。さて……」
赤坂さん 「じゃあ、行こうかー」
星野君 「え。行っちゃうんですか?」
この日、星野君たちはセミナー会場に来ていた。テーマは「Web開発とセキュリティ」。なぜセミナー行くことになったのかといえば、例のごとく高橋さんの思いつきのような発言がきっかけだ。
高橋さん 「ねぇ。そろそろ仕事一段落するよね?」
星野君 「え?あ、はい」
高橋さん 「じゃあさ、今度の金曜にセミナー行こうよ、セミナー」
星野君 「いいですよ。でも何で急に?」
高橋さん 「赤坂さんもヒマだよね。決まり、みんなで行こう」
赤坂さん 「ヒマじゃないですけど……」
高橋さん 「あんまり堅苦しいセミナーじゃないから私服でいいよー」
しかし、まだ、肝心の高橋さんが来ていないのだ。
赤坂さん 「置いてくよー」
赤坂さんは目を擦りつつ、フラフラと会場へ歩き出した。
星野君 「あー。行きますっ。待ってくださいよー」
星野君と赤坂さんは2人だけで受付を済ませ会場に入った。星野君の予想に反して会場は結構広く、参加者の半分以上の人がスーツ姿だった。平日に開催されているので仕事で来ている人が多く、当然といえば当然であった。
星野君 「(うわ……。この服装、ちょっと浮いてないかな……)」
赤坂さん 「後ろの方空いてないねー。前の方行こうかー」
星野君 「……そうですね」
星野君は、私服で前の方に座るのはちょっと気が引けるなぁ、と思いながら席に着いた。
司会 「それでは……」
席に着くのとほぼ同時にセミナーが始まった。ギリギリだったようだ。星野君がふと横を見ると、セミナーが始まると同時に赤坂さんは熟睡していた。こちらもギリギリだったようだ。
星野君 「(この人は……)」
1つ目のセッションが終わり、休憩に入った。
星野君 「赤坂さん、寝過ぎ……」
赤坂さん 「だって……、眠かったんだもん……」
星野君 「それにしても高橋さん、まだ来てないみたいですねぇ……」
赤坂さん 「あー、次のセッションはちゃんと聞かないと……」
2人が席に戻ると、程なくして次のセッションが始まった。
司会 「続いての講演は、高橋誠さんによる『Webアプリケーションに対する攻撃と回避策』です。それではよろしくお願いします」
高橋さん 「ご紹介にあずかりました高橋です。本日は……」
星野君 「(ええっ?!高橋さん?!)」
驚いた星野君は赤坂さんに話し掛けようと横を見た。しかし、赤坂さんはすでに眠りに落ちていた。
星野君 「(ええっ?!)」
高橋さんのセッションが終わり、午前の部が終了。星野君と赤坂さんは昼食を取ることにした。
赤坂さん 「あー……。寝ちゃった……。後で怒られる……」
星野君 「1秒たりとも起きてませんでしたね。それにしても、高橋さん、講師として来てたなんて……。赤坂さんは知ってたんですか?」
赤坂さん 「うん。もちろん知ってたよ。あ、高橋さんが何話してたか教えてよ」
星野君 「いいですよー。えっと……」
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